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ピースウィンズスタッフ林直光 アフガン支援帰還報告 第3回


 
偽装難民―困窮する市民生活。
テント配給が終わった頃から、難民の数が急増し始めた。皆、地面に木を組んで布やシートを掛け、粗末なテントを建てている。こちらの手持ちのテントにはまだ多少の余裕があるが、次の小麦配給は、新規の難民の分も確保できるかどうか、WFP(世界食糧計画) に打診しなくてはならない。
まずは実態調査。キャンプに入って行くと、どっと人々が集まってきた。しかし聞き取りで明らかになったのは、予想に反する事実。彼らは村を捨てた旱魃(かんばつ)難民などではなく、ここに来れば支援物資をもらえると期待してやって来た、サリプル市民であった。
その数1,500家族 以上。明らかに偽装難民だ。
この人々に物資を配れば、さらに人々を呼び寄せ、キャンプがどこまでも膨れあがってしまう。事情を説明し、帰ってもらうしかない。
ともかくこちらは、すでに難民登録されている人々を対象に予算を組み、支援計画を立ているのであり、それ以上の余裕はないということで押し切る。この説明は日を改めて3度行ったが、人々は納得しない。それどころか、自分たちを含めない配給には、実力行使も辞さないと言い出す始末。
彼らも偽装難民だといって無視されるわけにはいかない、切迫した困窮状態に陥っているのだった。
これらの人々の職業は、県庁や市役所職員・教員・警察署員などの公務員、軍関係者、運送業や建設業・商店などの被雇用者など様々。しかし事実上の無政府状態のため、行政が機能するはずもなく、公務員や軍関係者の給与は滞りがちだ。事実、警察署長でさえ6カ月給与が支払われていないという。被雇用者などもほとんど失業状態であり、収入はない。彼らも経済難民と言えなくもないのだ。
この状態で旱魃難民にだけ支援を続けることは、大きな混乱、場合によっては暴動も引き起こしかねない。しかしこの件で小麦配給は1週間以上も遅れている。キャンプへ来て半年以上が経過する旱魃難民は飢餓状態に近い。なんとかしなければ。
頼みの綱として、県知事および軍閥の司令官に相談に行くも、逆に、キャンプの全員に支援ができなければ、何もすべきではないと言われる始末。一見正論だが、実はサリプル市民である『偽装難民』には、彼らの支持者が多いのだ。
その後、SCA (Save the Children America) というNGOが、市民の貧困層への食糧配給を発表。偽装難民も、街に帰れば、この配給を受けられる可能性が出てきた。またピースウィンズ・ジャパンも、毛布やセーター・調理器具といった食糧以外の物資をキャンプで配給しないという妥協案を出したことで、偽装難民や知事らも合意。
当初の予定から遅れること半月、2月初旬、やっとの事で旱魃難民への小麦配給に漕ぎ着けた。
■林直光■ 札幌在住。絶滅の恐れがあるニホンザリガニから、アラブ諸国で発生するクルド難民までをファインダーに収めるフォトジャーナリスト。国会で話題が沸騰した非政府組織(NGO)「ピースウィンズ・ジャパン」の非常勤職員として、アフガニスタンでの難民支援活動にも従事した。







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| 治安維持のために街頭に立つ武装警官。給料は3カ月支払われていない |
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関連サイト

第2回
http://www.bnn-s.com/bnn/bnnTopics?news_cd=220011023856






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