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検証 「恵庭OL殺人事件」 第3回


04月05日(金) 00時00分
 



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 女性記者が車内でタオルによる\"絞殺”を試みた。

 「恵庭OL殺人事件」――敢えて説明するまでもないほど世に知られたこの事件を改めて振り返る。

 弁護側は冒頭陳述で「被告人と被害者との体力差・体格差からくる不合理性」と題し、以下(抜粋)のように問題点を指摘している。

 被害者の身長は160センチメートル以上・体重約60キログラム・握力45で、中学時代はテニス・高校時代は陸上部に所属し、体力のある24歳の女性であった。一方、被告人は身長147センチメートル・体重47キログラム・握力20である。身長の差約13センチメートル以上、体重差約13キログラム、握力の差は25もある。その体格差・体力差は2人が写っている写真を見ても一目瞭然である。人間は殺されそうな場面に遭遇すれば、本能的に全力をふりしぼって抵抗する筈である。双方の体力差からいえば、被告人は被害者の強い抵抗に合い、そのため被告人の衣服ないし身体にはかなりの損傷が残る筈である。ところが、甲第130号証によれば、被告人は事件直後頃にガソリンスタンドで給油しているが、その時応対した店員は、捜査官に対して、「被告人を覚えていない」と答えている。店員は被告人と給油量の指示及びお金のやりとり等で身近に接触しているが、被告人に灯油臭がしたり、衣服等の損傷や挙動不審があれば当然記憶に残っている筈であり、この事実からも被告人が犯人でないことは明白である。
 第2回で報じた通り、BNN記者が“現場検証”のため、JR長都駅を出たのは午後9時45分。事件発生当事、大越が所有していたのと同じ日産マーチ(2ドア)のハンドルを握り、遺体発見現場である恵庭市北島に向かった。到着は午後10時17分。所要時間は32分だった。

 到着後、現場に花を添え、黙とう。続いて“実験”の準備を開始した。体格・体力で劣る大越に橋向を殺害することが可能だったのか、を検証するための“実験”である。

 現在まで公判で明らかになっていることは、事件当夜大越と橋向が一緒に勤務先のキリンビール事業所を退社していること、恵庭市北島の農道で橋向の遺体が焼損された状態で見つかったという2点である。

 裏を返せば、頸部圧迫により窒息死した橋向の殺害場所が遺体発見現場と同じであったか、という点、さらに犯行に用いられた凶器の特定、発見はされていないままだ。

 3月20日に開かれた「恵庭OL殺人事件」第34回公判では、証人として出廷した警察官が、被告所有の日産マーチと同じものを使用し、殺害状況を再現、写真に収めたことを明らかにした。この時、警官は凶器をタオルと推察したと答えており、大越は後部座席から助手席の橋向を絞殺したとも推察している。また焼死体となって橋向が発見された際に、目隠しされていたタオルが凶器だったか、という点には分からないと答えている。

 実のところ、日産マーチで現場に赴いたBNN女性記者2人にも、橋向と大越同様、大きな体格差がある。橋向役の浅野は168センチメートル、大越役の石野は155センチメートル。奇遇なことに2人の身長差は橋向と大越の差と同じ13センチメートルだった。

 まず、大越役の記者が警察官の証言通り運転席を倒し(2ドアのため)、後部座席に移動し、橋向役記者の首にタオルを巻いて絞めた。小柄な記者が、体格で勝る橋向役の記者の首を8割方の力で絞めても、多少の圧迫感を感じる程度。もがき苦しむには至らなかった。

 もちろん、全力を注いで首を締めることはできないため、橋向役記者は大越役記者の頭部にタオルを巻き、全力で絞り上げたが、橋向役記者は痛みすら感じなかった。しかも、この“実験”は、橋向、大越の両者に争った痕跡がなかったことを前提に再現、無抵抗の被害者を絞殺するというものである。

 仮に橋向がシートベルトをしていたとしても、抵抗して絞殺を阻止することは可能な状況だった。手足が自由なため、橋向が大越をひっかくなどして傷つけることは十分可能だったが、その痕跡は示されていない。

 さらに付け加えれば、薬物を用いて眠らせたり、衝撃を与えて気を失わせるなどすれば、殺害は可能だったはずである。しかし、被害者の遺体から、薬物の反応や衝撃を与えた事実は見つかっていない。加えて、検察が犯行に用いたとする大越の車内には、争った形跡がなく、橋向の指紋、毛髪、ルミノール反応(血痕を検出する検査)も検出されていない。

 そのため、“無抵抗”の橋向を大越が絞殺することは、難しいというのが、“実験結果”である。

 続いて、大越が橋向を殺害したと仮定し、遺体をマーチから路上に降ろす作業を試みた。大越役の記者が運転席から、助手席に座る橋向役の記者を懸命に押しても、路上に落とすことは困難だった。

 そこで、1度車から降り、橋向役の記者の腕をつかみ、足を車に掛けて力いっぱい引っ張った。この場合は比較的容易に橋向役記者を落とすことが可能だった。

 また、殺害が可能だったかどうかという点とは別のことだが、あまりに殺伐としたこの場所で、女性が深夜に殺人を犯すには、相当の度胸が必要となることだろうというのが正直な思いである。(敬称略)






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力いっぱい引っ張れば車から降ろすことは可能


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後部座席から首を絞めても・・・



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