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ピースウィンズスタッフ林直光 アフガン支援帰還報告 第6回


04月30日(火) 00時00分
 



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アフガニスタン・サリプル国内難民キャンプ
 紛争下の市民生活。

 紛争、内戦、ムジャヒディン(イスラム戦士)、地雷、難民、タリバン、麻薬…。アフガニスタンに対する知識といえば、一般的にはこんなものだろうか。私も大同小異。ムジャヒディンは自由の戦士としてソ連軍と戦い、タリバン政権下で男は髭とターバン、女はブルカを強制され、自由の無い抑圧された暮らし。そう思っていた。

 現地に入ってみると、それらは間違いではないが、アフガニスタンの一側面でしかないことに気づかされた。

 都市部ではムジャヒディンの評判はすこぶる悪い。「あいつらは盗賊集団だ」こんな声を幾度と無く聞いた。ソ連軍が去った後、各軍閥は勢力争いに明け暮れ、内戦を激化。道路にはやたらと検問所を設け、通行税と称して市民から金を巻き上げる。治安は乱れ、強盗・略奪が横行。夜は危険で出歩けない、などなど。

 そんな状況下に現れたのが、タリバンである。群雄割拠する軍閥・武装勢力を一掃し、犯罪には厳罰で対処したため、当初市民から大歓迎されたという。治安維持に関してだけは、タリバン政権を懐かしむ声しきりであった。

 しかしイスラムの教えをあまりに厳格に適用し、強制したことから支持は急落。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の現地スタッフには、「こんなことならソ連の支配下の方が良かった」などと言う者もいる始末。治安はもちろん大切だが、それ以上に人々は自由を欲していたのだ。

 隠れて小鳥を飼ったり、女の子のためのプライベートの学校を開いたり、といった密かな抵抗もしたたかに続けられていた。スポーツも禁止されていたが、男たちが大好きな空手やカンフー、ボディビルのジムも公然の秘密として開かれ、盛況だったようだ。

 PWJ現地スタッフには、英語を流暢に話し、パソコンを完璧に使いこなす者もいる。皆、プライベートの習得コースで学んでいたのである。需要あるところ供給あり。パソコンが苦手な私は、彼らから習う羽目になってしまった。

 髭やブルカについては、カブールやマザリシャリフなど、都市部の特に教育を受けた人々にとっては苦痛だったようだが、地方に行くと事情が異なる。

 私たちが支援しているサリプルの避難民は、タリバン崩壊後も誰ひとり髭を剃ったりブルカをはずしてはいない。聞けばこれは昔からの習慣であるという。顔を出していたある女性は、「貧しくてブルカが買えない」と嘆くのだった。

 ソ連、ムジャヒディン、タリバン、そして暫定政権という政治状況の変化についても、彼らにとってより重要なのは、明日の食糧をいかに確保するかということ。政治どころではないのだ。

 国際社会が非難し続けたアメリカの空爆についてはどうか。結果的にタリバンを崩壊に追いやり、アフガニスタンに劇的な変化をもたらす要因になったということで、直接被害を受けなかった多くの人々は肯定的だ。それほどまでに、私たちには想像を絶する困難の中で生きてきたということなのだ。

 アフガン人といえど、私たちと何も変わらない。この20年来の紛争下でも、ごく普通の自由で平穏な暮らしを送ろうとしてきた人々がいたことを知り、私はなぜか少し、ほっとしたのだった。

■林直光■ 札幌在住。絶滅の恐れがあるニホンザリガニから、アラブ諸国で発生するクルド難民までをファインダーに収めるフォトジャーナリスト。国会で話題が沸騰した非政府組織(NGO)「ピースウィンズ・ジャパン」の非常勤職員として、アフガニスタンでの難民支援活動にも従事した。










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