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10月31日(木) 16時55分
 




 前田尚一弁護士

 >>プロフィール

 最近、裁判所から「債権差押命令」という書類が送られてきたがどうしたものか、という相談がありました。中身は、従業員の給料の一定額を差し押さえたので、支払ってはいかん、というものでした。

 この手続について、プロやセミプロは、「給」料の「差」押えを略し、「キュウサシ」などと呼ぶ場合もあります。要するに、ローン会社などが裁判所に申立てをし、会社に、借主である従業員の給料の一部を支払わないようにさせ、最終的には、自分に直接支払って貰えるようにする手続です。

 ところで、相談内容ですが、本人は一括して返済することになっており、大丈夫だから給料を全額払って欲しいと言っている、というのです。相談を受けた時点では、顧問の社長に、裁判所の取下げ手続がされない限り所定の額を支払わないでおくようアドバイスしておきました。その後しばらくして、社長からは、そのような取下げの手続に関する書類が送られてきたことが報告され、私も、支払のGOサインを出したわけです。

 この事案では、幸いにも、実際に債権者と話がついたようで差押えが取り下げられ事なきを得ましたが、いつもそうとは限りません。やはり、裁判所が「支払ってはいかん」と言っているのですから、どんな場合でも、従業員のを信用できるとかできないとかいう選択ではなく、十分、安全に防衛したうえで対応すべきでしょう。

 現に、従業員の言うことを鵜呑みにして失敗した例もあります。従業員の説明を信じ、希望どおり給料を全額支払っていた。その後その従業員が退職し、すっかり忘れていたら、債権者から全額支払いの請求があり,困ったという相談でした。結論はと言えば、法律的には債権者に差押すべきであった分を支払わなければならず、要するに、二重払いせざるをえないことになってしまったのでした。初めから騙そうとしていたのかどうかは、今となってはわかりませんが、お金というのは、いくら支払う意思があったところで、現実に用意できなければ支払うことはできません。後で裏切られたと言ってみても、何も解決にはならないことになります。

 いわゆる「キュウサシ」については、しばしばお客様から相談を受けることがあり、差押され支払をしてはいけない金額の計算や供託による対応などなどより具体的なアドバイスをする場合もあります。いずれにしても、今のご時世、同様の場面、ますます増えていくことでしょう。

 以上の説明を見ると対応が一見簡単そうにもみえますが、法律的なポイントを実際に確認したうえ対応しなければ、二重払いになった例のように大変な事態にもなりかねません。わかったつもり、知ってるつもりで、失敗しないように、初めてのことは必ず専門家に相談したほうがよいでしょう。







関連サイト

前田尚一法律事務所
http://www.smaedalaw.com/






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