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雪まつり陸自支援の舞台裏 入隊編2


 
5時30分起床で、いよいよ作業に参加。
雪像制作ルポのため、第11師団に特例中の特例である「生活体験入隊」の許可を受け、3泊4日の体験入隊を敢行した。
我々が雪像制作に参加するのは、大通西8丁目の「雪のHTB広場」だ。ここで大雪像制作に取り組んでいるのは第18普通科連隊。同隊は毎年、松本城や安土城など難易度の高い歴史的建造物を制作している。
今年は江戸幕府の開幕400年目にちなんで、江戸城がテーマに選ばれている。すでに制作現場では、1月9日から作業が開始。雪像の高さは15メートル、幅20メートル、奥行き25メートルで、使用する雪の量は3,200トンにも及ぶ。
完成までは大まかに、雪積み→粗削り→細部削りという工程で進められる。さらに、第18普通科連隊では細部をよりリアルに表現するために、雪のブロックで鬼瓦などの装飾部を別に作り、削った雪像に貼り付けていく「ブロック工法」を採用している。手間と時間がかかる大変な作業だ。携わる隊員は1日平均150人。ブロック班、技術班、作業班に分かれ、効率的に作業が進められる。
初参加の朝、我々は7時に駐屯地内の食堂で朝食を済ませ、7時40分には大通会場に向け出発しなくてはならなかった。起床時刻は6時だったが、自然と5時30分に目が覚める。極寒の作業に耐えられるよう、まだ薄暗い中、何枚も重ね着をして身支度を整えた。着慣れない防寒作業衣に袖を通したところで、北口陸曹が部屋まで迎えにやって来た。北口陸曹はすっかり着膨れた私たちを見て、「バッチリっすね」と爽やかに励ましてくれた。
婦人自衛官隊舎から食堂までは徒歩5分ほど。何しろ真駒内駐屯地は、約5,000人の隊員を抱えるマンモス基地。食堂は東と西の2ヵ所にある。私たちは「西食堂」で朝食をとった。テーブルにある献立表を見たところ、1日の摂取カロリーは3,000キロカロリーを軽く越えている。日々訓練で体を鍛えている隊員に合わせて献立が作られているのだ。
朝食後、第18普通科連隊の伯田忠雄広報室長に集合場所まで同行してもらうと、すでに隊員たちは集合完了している。「いよいよだ」と改めて身を引き締め、ホロ付きのトラックに乗り込む。真駒内駐屯地から大通会場まで隊員を運ぶトラックは合計6台。それぞれに20人ずつ分乗する。
トラックに乗っているのは、駐屯地内の隊舎で生活する隊員。見たところ20代前半のピチピチの隊員が多い。それもそのはず、結婚した自衛官は、駐屯地外で生活しなければならず、陸曹、幹部クラスはトラックでは移動しない。
自衛官は特別職の国家公務員で、入隊は志願によるもの。入隊後は陸士、陸曹、幹部と昇進する仕組みになっている。陸士は兵、陸曹は下士官、幹部は士官と考えるとわかりやすい。もちろん昇進するには試験をクリアする必要がある。一方、防衛大学などを卒業後、入隊した隊員については陸士、陸曹は経験せずに幹部候補生としてスタートする。
真駒内駐屯地から大通西8丁目までは約30分で到着。隊員たちはプレハブの制作本部のほか、木工班の作業場、ブロック班の作業場、隊員の休憩室がある。
我々が作業に参加したのは1月24日。すでにその時点で、天守閣部分の粗削りが完了しており、ほぼ形が現れていた。
我々は小村祐輔一曹の指導を受けながら、早速作業を開始した。まず参加したのは「ネタづくり」。ネタとは、まだ結晶が残るほどサラサラとした新雪の「化粧雪」と水を混ぜて作り雪像に塗るもので、仕上げ作業には欠かせない素材だ。雪像のシミや凹凸を隠し表面をキレイに見せるという点では、文字通り女性の化粧と似ている。
作り方は大きな水槽に「化粧雪」を入れ、水を注いでからスコップでかき混ぜる。チャキチャキと重たい剣先で雪を混ぜる隊員を見ていると、作業は簡単そうに思えるのだが、水をたっぷり吸い込んだ雪を均等に混ぜ合わせるには大変な力を要する。さらに素早く混ぜ合わせないと均等に水分が行き渡らない。なんとか始めてみるものの、すぐに二の腕がだるくなる。
そんな我々のふがいなさにお構いなく、隊員からは「ネタ4個お願いします」「ネタ3個お願いします」という声が次々と飛んでくる。そのオーダーに応えようと、無我夢中で作業を進める。
すっかり疲労困ぱいしたところで、ようやく昼休憩が到来。現場での食事は全て飯ごうだ。ここで一つ発見した隊員の知恵がある。飯ごうを洗わなくてもいいように、ビニール袋を敷いて配膳してもらうのだ。こうすることで洗浄水を無駄にすることもなく、時間も省けるという。
昼食のメニューは、具だくさんの味噌ラーメンとサラダ、それに五穀米。さらに「増加食」と呼ばれる栄養ドリンクやカップラーメンなど、結構な量だ。慣れない飯ごうでの食事だったが、午後からはブロック班での作業が待っている。ここで力を蓄えなくてはとすべて口にした。
制作中の江戸城には、石こうで作られた型に雪を押し込みながら作るブロックが2,500個と、一つ一つ隊員が手作業で彫刻を施す2,341個のブロックが使われる。暖気や雨、落下などで壊れることを想定し予備も作る。そのため期間中には、計5,000個を超えるブロックが作られる。
我々は午後から、一つ一つ手作業で彫刻するブロック班で作業をすることになった。道具を見てまずビックリ。大小取りそろえられたノミやノコギリ、定規、チェーンソー、ドリル、刺身包丁など、様々な道具が用意されているのだ。
体を激しく動かす必要がないため最初は楽で良かったのだが、すぐに体がつらくなる。手先だけの細かい作業を続けるうちに、体がジワジワと冷え切っていくのがわかるのだ。おまけに神経は手先に集中させなければならない。ブロックの仕上がりは気温にも左右される。温かすぎると雪が融けだし、繊細な彫刻ができないためだ。制作現場の中でもっともストレスがたまる部署だろうと、心底思った。
以下、次回に続く。







関連サイト

シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/news/series_cd33.html

陸上自衛隊第11師団
http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/






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