|
雪まつり陸自支援の舞台裏 入隊編3


 
いよいよ明日は、「雪像引渡し式」。
雪像制作ルポを目的に、陸上自衛隊第11師団に「生活体験入隊」の許可を受けたBNN取材班は、3泊4日の体験入隊を敢行した。1月24日から大通西8丁目「雪のHTB広場」で「江戸城」を制作する師団の第18普通科連隊一隊員として、雪像制作を体験したのである。
「江戸城」の制作期間は、1月9日から2月3日までの26日間に及ぶが、決して時間的に余裕があるわけではない。雪像制作は屋外での作業だけに、進行具合は天候に左右される。夜間作業は完成予定日まで残り13日と迫った1月22日からスタート。
取材班は、参加初日に早くもクタクタ。夜間作業を終え、午後8時20分ごろ真駒内駐屯地に到着。早速、借りた防寒作業衣着から私服に着替え、風呂でホカホカ、明日の準備を整えると、瞬く間に消灯時間の午後11時となった。
村上は慣れないヘルメットを長時間かぶっていたために首が回らなくなり、記者はウイークポイントの腰をやられた。やはり付け焼刃での参加には無理があるようだ。日夜、厳しい訓練を重ねている隊員だからこそ、音を上げずに取り組めることに遅まきながらも気づいた。
取材班は、2日目に雪のブロックづくり、3日目は天守閣4層目と最上部での作業に当たった。雪を削りやすいように加工されたスコップで屋根の部分を削る作業や、チェーンソーで細かく切り分けられた雪の固まりを排雪し、壁を削り出していくなど地味かつ根気がいる作業が続く。 作業の合間、第2中隊長の三浦拓望3佐は「休みもなく、隊員の疲労もピークに達しているところですが、ようやく全体の形が見えてきた。これまでの苦労が形になりつつあることで、これまで以上にモチベーションを上げて制作に取り組めるんです」と、そそり立つ雪の江戸城を見上げていた。
また、雪ブロックの型枠制作からプレハブの組み立て、不足したパーツを作る木工班には、18年もの間、雪像制作に携わり続けてきた樋口1曹がいる。今年を最後に引退するという職人の雰囲気が漂う樋口1曹は「私は今年で最後になるが、私が続けてきた作業はこれからもずっと引き継がれていく」と黙々と作業を続ける。雪像制作は長丁場になる上、同じメンバーが同じ現場で同じ作業に取り組む。こうしたことは、通常行われる訓練ではまずないことだという。経験を重ねた先輩隊員はここで若い隊員に技術を教え、その隊員も後輩隊員へと技を伝えていくのだ。
雪像制作はすでに終盤。人手が足りない班にはほかの班員が手伝うという応援体制が組まれている。作業中は70分ごとに休憩が取られることになっているが、日増しに作業現場は慌しくなる一方で休憩もままならない。完成を間近に誰もが作業に熱中していた。我々も体力不足は承知の上だったが、その姿を目の当たりにすることを楽しみに懸命に働いた。
「雪まつりのために、なぜ、あれほど自衛隊が協力しなくてはならないのか」−−当初、記者はこう思っていた。取材班が作業に参加したのは、わずかに3日間。しかし、体験して実感したことは、「さっぽろ雪まつり」が185万都市の一大イベントとして毎年多くの人びとを呼ぶことができる背景には、隊員一人ひとりの獅子奮迅の活躍が隠されているということ。
第18普通科連隊が制作する「江戸城」の完成は間近。2月4日の引渡し式を前に足場が解体され、今では精巧に再現された雪の天守閣が大通西8丁目に姿を現した。
「まつりが終われば雪像は跡形もなく壊される」−−だからこそ隊員たちの苦労を胸に刻み、取材に快く応じてくれた謝意としたい。







|
 |



| 雪でできたほこらの中には、できあがったブロックが並べられている |
|
 |



| 体調を崩したり、ケガをした隊員がいる場合は衛生班がすぐに駆け付ける |
|
 |
|



| 昨年は暖気で大部分のブロックが溶けたため、今年は雪でほこらを作って収納した |
|
 |



| 江戸城に飾るシャチホコは合計2個必要だったが、予備を含めて6個作られた |
|
 |



| 天守閣上層部から2層、3層と、それぞれに隊員が作業を進めていく。上から削った雪や道具が落ちてくることもしばしば |
|
 |
|



| 屋根を補強するために、チェーンソーで雪を切り出し木の柱を埋め込む。これ以外は全て雪 |
|
 |



|
 |



| 天守閣の最上部。雪や雨をよけるためにパラシュートがかけられている |
|
 |
|



関連サイト

シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/news/series_cd33.html

陸上自衛隊第11師団
http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/






このページのTOPへ




|
| ■ |
当サイトは、リンクフリーです。バナーが必要な方は下のバナーをお使いください |
|