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after Saddam〜イラク渡航記 第十二章


07月04日(金) 19時30分
文:東  



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ポンプはなし。ペットボトルを切り裂きじょうご代わりに
 イラク国境で携帯電話のゲームに興じていた米兵。

 5月26日午前6時、バグダッド。下痢と腹痛に襲われながらも、暴飲暴食を続ける我々にイラクを去る日がやって来た。まずはGMのRV車3台で、ヨルダンの首都・アンマンを目指した。

 すでに触れたように無政府状態が続く、イラクの出国は米軍の一元管理。アンマンまでは高速道路が通じているものの、米軍の空爆で道路や橋は所々破壊されたままだ。

 イラクは世界でも指折りの石油産出国だが、バグダッド市内ではガソリンを給油するため、車が長蛇の列をつくっているし、高速道路の路肩にはドラム缶をトラックに積み、ガソリンを売る人々が存在する。

 路肩で売られるガソリンの価格は、スタンドのおよそ10倍。それでも需要があるのは、並ぶことなく時間を節約できるためだ。しかし、たばこを吸いながらポリタンクを抱えて給油する人には仰天させらた。

 国境では往路と同じく、米兵が検問のため待機。ヨルダン人運転手が我々のパスポートを兵士に渡す。その後、我々は車に積んでいたすべての荷物を調べらることになるが、イラク出国者が多く、1時間以上待たされた。長らく、経済制裁下にあったイラクは、現在、関税もかからないため、隣国のヨルダンやシリアからさまざまな物資を運ぶ車が出入国を繰り返す。

 肩から銃を下げる米兵には、銃による威圧感というよりも、携帯電話のゲームに興じていることで醸される倦怠感の方が強い。無理もない。兵士の多くは童顔。暑さとホームシックでウンザリなのだ。

 そのためか、待ち時間こそ長かったが、トラブルが生じることはなかった。

 ところが直後にアクシデント。高速道路を時速170キロで疾走していた我々のRV車のタイヤが突然、バーストしたのである。車は何とか、事なきを得て無事停車することができたが、これも4輪駆動だったおかげの命拾い。

 タイヤは、スキンヘッドのヨルダン人運転手・イスマイルの頭と同じにブロックは見る影もなく、ツルツルになっていた。どこの国であろうと、命を失う危険が高いのは交通事故である。

 アンマンに到着したのは夕刻。最初に訪れたアンマンは、私の目に人と車が多く、活気に満ち満ちた街に映った。ところが、2度目のアンマンは私の中で大きく豹変した。

 とにかく車は立派、フロントガラスなど割れない。もちろん、道路にはごみもない。そして何より、のどかな雰囲気。イラクが漂わせている危険な匂いは微塵もなかった。

 「国境を越えただけで、かくも国は違うのか」

 とはいえ、ヨルダンは小国である。これまでイラクから輸入していた石油の半分は無償で提供されていた。そのため、イラクには逆らうことができないし、金を借りている欧米諸国にも配慮は欠かせない。しかも、国民の7割はパレスチナ人だという。

 複雑なアラブ事情をよそに、下痢と腹痛を“飼いならした”我々は、カナヅチでもプカプカと浮かぶ「死海」に向かった。(敬称略)






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高速道路の脇ではこんな光景が


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米軍の「検問所」。真ん中の兵士は携帯電話でゲーム中(野添博雅提供)


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フセインの肖像はその多くが銃で撃たれ、蜂の巣状態にされているが、これは珍しい“土木スタイル”






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