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after Saddam〜イラク渡航記 第十四章


07月25日(金) 18時40分
文:東  



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顔に死海の泥を塗った大学生・野添博雅の「異形」
 やはり、アンマン国際空港での荷物検査は…。

 死海を後にした我々は、5月27日夕刻、帰国のため、アンマン国際空港に向かった。

 5月1日に五味宏基記者が爆弾事件を起こして間もなくのことだっただけに、空港での荷物検査は想像以上の厳しさだった。トランクケースの中は、小さな袋にいたるまで中身を確認され、私が所持していたパソコンは、「電源のスイッチを入れろ」と強要された。

 空港職員が「まさか、パソコン型の新種の爆弾」とでも疑いを抱いたわけでもあるまいが、とにかく検査には相当の時間を費やした。

 最も、私は早く解放された部類で、イラクでコーヒーを沸かそうとガソリンを所持していた大山謙吾は、空港職員と“セメント・マッチ”。いずれにしても、日本人に対する荷物検査はとりわけ厳しかった。

 飛行機がUAEの首都・ドバイに降り立ったのは、午後9時半ごろ。バグダッドと比較すれば、気温は10度ほど低い30度程度だが、とにかく湿度が高い。うだうるような暑さとはこのことである。

 この暑さのせいか、メンバーに覇気が感じられない。

 しかし、理由はほかにあった。どうも「イラクが恋しい」ようだ。

 ドバイはアメリカ、イギリス、ドイツ…白人たちが訪れる中東の一大リゾート地。タクシー運転手やホテルマンもインドネシア、パキスタンからなどの“出稼ぎ組”ばかりで、現地の人はごくわずか。

 ドバイにいる人々は、イラクの人々と比べれば、慇懃無礼である。すっかり、イラクに同化してしまった我々にしてみれば、ノリが悪く、どうも接しにくい。ドバイのスーパーマーケットでは、イスラム教徒が食べることを禁じられている豚肉までが並ぶ。平たく言えば西洋かぶれしているのである。同じ中東とはいえ、ドバイは別世界だった。

 それでも考えてみれば、我々はイラクで「ジャパニーズ、ベリーグッド」「ハロー、ミスター」と終始声を掛けられ、すっかり人気者になってしまった。ところがドバイでは声すらかけてもらえない。これも、ドバイがつまらなく感じた理由のひとつではあろう。

 ともかく、このリゾート地でショッピングと砂漠、さらにはベリーダンスを堪能した我々は、午前2時の便で関西国際空港に向かった。

 ちょうど九州上空に達した頃だろうか。スチュワーデスがアンケート用紙を配り始めた。日本入国者に対するSARSや赤痢、コレラのチェックである。腹痛と下痢に襲われた我々だが、「下痢」の欄にチャックする一人もなし。

 腹痛がほぼ1週間続いた私は、わが身がどうなるのか、興味津々の思いで「下痢」印にチェック。

 空港に到着、飛行機を降りた途端、案の定、関西空港検疫所の職員に呼ばれ、医師とカウンセリング。

 医師からは「これを肛門に」と棒を渡されてしまった。

 トイレで「ブスリッ」。未知なる体験で我に返った私は、ようやく無事、帰国できたことを実感した。(敬称略)






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イラク渡航メンバー全員が揃った集合写真(筆者は後列左から2人目)


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フセインの故郷・ティクリートにある大統領宮殿


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妙に周囲と同化する破壊されたイラク軍戦車






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