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「命」 第八講


 
京都の「DX東寺劇場」に長居した俺は、JR京都駅のコインロッカーに入れていた荷物を取り出し、再びオンボロバイクに跨った。目指す先は兵庫県の明石海峡大橋。
大阪から国道43号を西に向かうと、ほどなく芦屋市。信号待ちでいかにも有閑マダムといった“芦屋夫人”に目を奪われていると、野太い排気音を響かせて横に並んできたのが、ホンダのCB1300。
何と、このバイクの排気量は、俺の5.2倍。青信号と同時にフル加速してみたが、CBは2速に変速する前に遥か彼方。獲物?に逃げられた俺は再び、“芦屋夫人”をウォッチング。どうも東寺の“残像”が消えていないようだ。
96年の阪神淡路大震災から5年。細長い神戸の街は一目見る限り、端から端まで震災などなかったかのように新しい建築物が立ち並んでいた。
探すは、神戸淡路鳴門自動車道の入り口。なぜか看板を見落としてしまった俺は、間違って明石市にまで行ってしまった。
青森県八戸からバイクで日本列島を南下してきたが、これだけ道路が混雑していたのは初めての経験。明石を通る国道2号は大渋滞である。こんな時、バイクは車の横を追い越すことができるから便利だが、いま、思い起こせば、俺が明石を通ったわずか1カ月後の2001年7月22日、花火大会を見物して帰宅途中の人々が、歩道橋で将棋倒しとなる惨事があった。
この近辺は、札幌では考えられないほどの人だかりとなることがあるようだ。
結局、国道2号を東に引き返した俺は、高速道路の入り口を六甲の山の上に見つけた。神戸淡路鳴門自動車道は、淡路島を通り、四国の徳島県・鳴門市まで続く、高速道路である。
鳴門海峡大橋は、海綿から95メートルほどの高さに架かり、眼下にタンカーや鳴門の渦潮が見えた。 










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