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「命」 第十講


 
神戸淡路鳴門自動車道の大鳴門大橋で強風に揺さぶられ、鳴門の渦潮に飲み込まれるか、とハラハラさせられた俺ではあったが、日も暮れた頃、何とか無事に四国の徳島に到着した。
徳島と言えば、言わずと知れた阿波踊り。しかし、開催期間は8月。まだ2カ月先のことだった。
じゃあ“夜の阿波踊り”と、旅館のタウンページを開いてみれば、「秘●室」、「桃●御殿」「迎●館」と、ススキノに負けず劣らずの特殊浴場がズラリ。
ウキウキ気分で財布を開いてみたものの、福沢諭吉翁はいらっしゃらなかった。金を引き出すには遅すぎる。
クレジットカードを使えば、請求書は自宅に直送される。
じっと堪え、晩飯を待った。
テーブルには山海の珍味が並べられた。主役はマダイ。鳴門ダイである。鳴門海峡の激しい潮流にもまれ、身の引き締まった逸品である。綺麗な桜色の魚体は「海魚の王」と呼ばれるにふさわしいそうだ。
酒をあおりながら、鳴門ダイに舌鼓を打った俺は、「海魚の王」ならぬ「桜色の女王サマ」を夢見ながら徳島の夜を過ごした。 










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