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省益先行、分権議論を欠く、道州制の隘路 前編


02月20日(金) 21時05分
 



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広畑民雄氏
 公共事業に限定されるモデル事業推進費の使途。

 小泉純一郎首相が官邸で高橋はるみ知事と会談、北海道を道州制のモデル特区にしたいと明かしたのは、昨年8月26日のことだ。

 道州制は国から権限や財源の一部を移譲される地方分権推進の新たな受け皿として期待されている。

 しかしながら、道州制そのものは全く新しいシステムではない。1957年、第4次地方制度調査会で道州制の答申がなされたためである。答申が総理大臣の任命による官選首長を置くとしたことと比較すれば、隔世の感こそあるが、都道府県合併との相違点、分権社会の構築に向けた“設計図”の作製など、その根幹をなすべき議論は乏しい。

 以下、道州制の課題について、広畑民雄・北海道総合研究調査会(HIT)理事長の寄稿。

 04年の北海道開発予算に道州制モデル事業推進費100億円が計上された。道州制については、北海道庁においてこれまで研究を重ねており、また昨年8月末の小泉首相の指示もあって、このモデル推進費の予算計上は、道州制論議を促進するものと期待が高まった。

 ところが、道州制は日を置かずして失望の声が広がっている。道州制モデル事業推進費は、今後4年間で毎年100億円ずつ予算化されるものだが、その使い道は事実上公共事業に限定され、従来の開発公共予算の枠組みから一歩も出ないことが明らかになってきたためである。

 公共事業に限ってみても、道州制移行の際に最も検討を要するのは、従来型の社会資本の整備手法や予算配分方法ではなく、地方を豊かにする新しい社会資本(エネルギーや情報データベース)の整備手法や、社会資本の管理主体の統合化に向けてのソフト開発だが、要諦であるべきソフト分野への活用は認められていない。

 加えて先般は北海道開発局長が、道州制に関して「組織改編を検討する段階ではない」と発言し、道州制論議の進行を強く牽制した。

 一見すると地方財政の三位一体改革と同様に政治主導での道州制論議を、中央官僚が、官益あるいは省益維持のために骨抜きを図っているかのごとくである。もちろん、道州制の議論は、さらに「徹底する」分権の議論であり、そのため、官益を守らんがための中央省庁の抵抗は当然のこととして予想される。

 しかし、現在の道州制論議に対する失望あるいは困惑の要因は、そのような深遠にあるわけでなく、道州制論議に入る前段階にあると思えてならない。

 それは自衛隊イラク派遣承認(案)の国会承認と同根の政治の浮薄さにあるのではなかろうか。国際平和をこれ程までに明確に宣言している現行憲法下で、初めて自衛隊の海外派遣を決めるにあたって、その歴史的意義、将来における日本国の国際的な行動原則を明らかにすることもなく国会審議を終え、スケジュール的に承認された。

 自衛隊のイラク派遣を否定するものではなく、むしろ国際貢献する上では一定の条件下での自衛隊海外派遣は当然との思いはある。とはいえ、日本の「国のかたち」を変える歴史的転換がこの程度の国会審議で決められて良いのか、そのことに危険の萌芽を感じてならない。

 小泉首相はワン・フレーズ首相と揶揄されているが、そのワン・フレーズな言動から見えるのは、「改革」原理主義者の姿でないだろうか。年金改革、道路公団民営化、地方財政の三位一体改革などの結果は、いずれもそのことを端的に示している。

 以下、後編に続く。

■広畑民雄(ひろはた たみお)氏 1939年、富良野市生まれ。北大法学部卒業後、札幌市に奉職。都市整備局長、企画調整局長などを経て退職。現在は独立系シンクタンクである北海道総合研究調査会の理事長。










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