|
「恵庭OL殺人事件」控訴審初公判


 
「1審は欠陥判決」と弁護側が無罪を主張。
2000年3月16日、橋向香さん(当時24)を殺害、遺体を損壊させたとして、1審・札幌地裁で懲役16年の判決を受けた大越美奈子被告(33)の控訴審初公判が22日午前10時30分から、札幌高裁(長島孝太郎裁判長)で開かれた。
大越被告は髪を編み込みにして後ろにまとめ、白いニットのセーターとグレーのスカートで入廷。
長島裁判長に氏名、生年月日、本籍、住所を聞かれ、はっきりと答えた。
続いて長島裁判長が「控訴趣意書の要旨を1時間以内で述べてください」と話し、主任弁護人の伊東秀子氏が立ち上がり、朗読を始めた。
伊東氏の朗読はおよそ40分に及んだため、その概略を以下に記載する。
被告人は無実、無罪である。原判決(1審・札幌地裁)は、合理性を著しく欠いた恐るべき欠陥判決。
わずか10リットルの灯油を用いて遺体を焼き、直ちに現場(恵庭市北島の農道)を去って、被害者の遺体が炭化するのか。原判決は被告の可能性という言葉が10数カ所にわたり記載されており、犯人であってもおかしくないと強引に結び付けている。原判決には、記載されてはならない乱暴な記述、推論が随所に見られる。
被告には(被害者との)格闘痕跡が見当たらず、格闘痕跡を残さず殺害してというのは、単なる裁判官の想像の産物だ。
原判決は被告が三角関係のもつれから殺意を抱いたとしているが、被害者と恋人(当時、日本通運札幌東支店キリンビール千歳工場内構内課に勤務していた同僚)は、交際してからわずか1週間(で殺害された)。被害者と恋人は、肉体関係はおろか、キスすらしておらず、いわゆる男女の関係にはなかった。
にもかかわらず、原判決は捜査の欠陥をそのまま引きずり、有罪とすることに固執し、可能性論を駆使しただけ。(2000年)3月17日に道警が遺体発見現場で採取したタイヤ痕には被告の車のものはなかった。(遺体を発見した運転手が乗る)幼稚園バスのほか、2ないし3種の大型車、普通車のタイヤ痕が採取されたが、警察官はこれを捜査していない。
被告の車のグローブボックスから発見された鍵と被害者勤務先のロッカーキーは一致したが、捜査官はこの鍵を入手することが容易だった。ロッカーキーは、どのような状態でグローブボックスに置かれていたのか、写真も捜査報告書もない。捜査官は鍵があたかもグローブボックスにあったかのように捏造したとしか思えない。
(1審の第39回公判で証言した)証人は事件当日の午後11時6分と11時20分ごろに現場付近でボンゴ車と普通車が停車していたと話している。2回目は普通車の屋根の上に赤い光が見えたと証言している。
これは非常に重要な証言だ。2台の車は現場付近に20分程度、停車していたにもかかわらず、検察官が2台の車の捜査報告書はないと主張している。2台の車の存在が明らかになれば、被告人が無罪になることを恐れたとしか考えられない。
また、被告は3月16日午後11時30分に(恵庭市内の)ガソリンキングで給油している。ガソリンキングは監視カメラで顧客を撮影しており、被告が給油した姿も撮影されているが、検察官は証拠として提出しなかった。
原判決では2台の車が20分以上停車していたとしているが、その理由はごみ焼きなどを単に傍観していたと推認している。その場合、2台の車の運転手は犯人を目撃していたことになる。2台の車が単なる目撃者であるならば、警察に通報するはずだ。
さらに原判決では、被告が被害者の備品を(早来町の)町民の森に捨てたことがあり得るとしているが、(道警は逮捕前の被告を行動確認していた)刑事の張り込み中に堂々と危険を犯してまで、町民の森に行ったという合理的な説明がまったくなされていない。原判決は証拠に基づかない事実認定を行った。 伊東氏に続き、控訴趣意書の要旨後半部分は、元裁判官の秋山賢三弁護人が朗読した。
原判決では被告が所持していた灯油10リットルで被害者を焼損した可能性が高いとしているが、私たちの(豚に10リットルの灯油をかけて焼いた)実験からすると、犯人は少なくとも、午後11時25分ごろまで現場にいたことになる。被告は現場から車で25分かかるガソリンキングに午後11時30分にいたため、完全なアリバイがある。
本件は複数による犯行か、単独であれば被害者の体力を上回る男性の犯行である蓋然性が高い。被害者の遺体は焼損前から開脚されていたと推認される。
(1審判決のように)凶器がタオルであれば、頸部に防御創が残るはずだがない。被告は右手の指が発育不全で握力が弱い。遺体のブラジャーは乳房の位置とずれており、性的な暴行をされたことが窺える。
原判決によると、犯行現場は被告人の車とされているが、車からは被害者の血痕、尿、毛髪、指紋などは一切出てきていない。
単なる(殺害の)可能性があるというだけで、裁判所が有罪の判決を下すことがあってはならない。被告人は犯人でないため、(犯行の)痕跡がない。
道警の強い予断と偏見により、見込み捜査が行われ、時に参考人にまで強要があった。誤判の是正は控訴審の責務。本件は冤罪の特徴をすべて具備しており、被告の自白もないままに有罪とした下級裁判所の判決は常識を欠いたものだ。 秋山弁護人の朗読が終わると、1部の傍聴人が拍手。
長島裁判長は「あのような拍手をさせないでください」と秋山弁護人を戒めた。
続いて検察官は、答弁書の1部を読み上げ、次のように1審の有罪判決を支持した。
(被告人は被害者に)嫌がらせ電話を掛けるなど十分な動機があり、被告人は被害者の最終接触者だ。
町民の森は被告の自宅付近であり、被告は地理に精通し、アリバイもない。犯人であることは優に認定でき、遺品を処理した可能性は極めて高い。
弁護側の性犯罪の主張は、被告が隠蔽するために偽装した可能性が十分ある。
2台の車の目撃証言は、弁護側があいまいかつ変遷のある供述を盲信したにすぎない。(弁護側は被告の)タイヤ痕のないことを強調するが、現場はかなり踏み荒らされていた。指紋についても、必ず付着するとは限らず、採取できるとも限らない。
本件控訴は速やかに棄却されるべきだ。 弁護側は、鑑定意見書で「単独での殺害は不可能」とした上野正彦・元東京都監察医務院院長(法医学)、被害者と被告の双方と交際していた板持貢氏の証人申請を行った。
検察側は証人申請に対し、異議申立てをしたが、裁判長が棄却した。
次回の公判は4月20日午後1時15分から、次々回は5月25日午後1時10分から開かれる。







関連サイト

シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/news/series_cd13.html






このページのTOPへ




|
| ■ |
当サイトは、リンクフリーです。バナーが必要な方は下のバナーをお使いください |
|