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恵庭OL殺人事件 法医学評論家・上野正彦証人が強姦殺人を示唆


 
「鑑定書としては極めて不十分」
「恵庭OL殺人事件」の控訴審第3回公判が、5月25日午後1時10分から札幌高裁(長島孝太郎裁判長)で開かれた。
大越被告は、いつものように髪を編み込みにして後ろでまとめ、クリーム色のブラウスと茶色のスカートで入廷した。
午後5時まで続いた証人尋問で証言したのは、弁護側が申請した上野正彦元東京都監察医務院院長。上野氏は、退職するまでのおよそ30年間に、検視で1万5,000、解剖で5,000の遺体を扱った法医学者。現在はベストセラー「死体は語る」の著作で知られる法医学評論家だ。
弁護側は上野氏に遺体鑑定意見書の作成を依頼、「単独での殺害は不可能。複数か、男性による事件」と主張してきた。
まず、弁護人の房川樹芳氏と上野氏の質疑応答。
房川 どういう気持ちで監察するのか、遺体からどのようなことが判明するのか。本件は遺体が焼却して発見された。一般的にはどういうことか。
上野 死体は語らないが、丹念に検死、解剖すれば、(殺害までの)あらましを語る。体が炭化し、筋肉の熱凝固で関節が屈曲した。
房川 今回は足がかなり広がっているが、(焼却したことによって)左右に広がることはあるのか。
上野 ほとんどない。
房川 死ぬ前に開脚したのか。
上野 そう思う。
房川 足が開いた女性に対し、法医学で考えられる犯行は。
上野 婦人の場合は、強姦殺人が考えられる。強姦殺人は抵抗されるので、相手が右腕が動かないように重点的に押えることは考えられる。
房川 本件は顔があまり焼かれていない。
上野 灯油があまり(目隠しをされたタオルに)染み込んでいなかったのではないか。
房川 遺体を焼く行為は一般的にどう考えられるか。
上野 理由として(被害者の)身元を不明にすること、あるいは証拠の隠滅が考えられる。
房川 具体的な隠滅とは。
上野 傷などを消滅させること。(橋向香さんの遺体は)陰部が開脚状態で炭化が激しく、暴行の事実を隠すためかなと私は考えた。
房川 (遺体の)舌が出ていたことは。
上野 首を締めた時は舌根が圧迫され、押し出される。本件は舌の飛び出しが激しいので、首を締めた際というよりも、焼却による胸腔の内圧で飛び出したのではないか。
房川 (殺害時の)糞尿については。
上野 神経が麻痺すると膀胱括約筋が弛緩するので、内容物があれば出てもおかしくない。
房川 それが車のシートに着くことは。
上野 あると思う。
房川 頸部圧迫ではどのくらいの時間で死に至るのか。
上野 教科書的には5分だが、抵抗されるため、実際には10分程度。
房川 車の中で10分、首を締めれば犯行の痕跡は残るか。
上野 髪が落ちたり、漏れた尿がシートに残るなどの痕跡はあって然るべき。
房川 (大越美奈子)被告の車両からは髪の毛、血痕などは見つかっていない。犯行現場と考えられるか。
上野 それは行き過ぎだと思う。
房川 (死体を焼く時に使ったとされる)灯油が加害者の体に着くことは。
上野 足の裏などに着くと思う。車のアクセルやブレーキ、手袋をしていなければ、ハンドルに灯油が付着してもおかしくない。(殺害するために)格闘した時、死体を車外に出した時に痕跡が残るはずだ。
続いて、弁護人の今村核氏が質問。
今村 (上野氏に橋向さんの解剖結果が記載されている公第9号証を見せ)ここには頸部圧迫による窒息死となっているが、根拠が書かれていない。窒息死と断定できないのでは。
上野 これだけでは特定できない。
今村 (甲第9号証の所見から)頸部圧迫による窒息死を見出すことはできるか。
上野 積極的な所見はない。
今村 無理があるということか。
上野 重要な点を抜かして(遺体の)溢血点だけで断定しようとしていることには無理がある。
今村 女性が開脚状態で暴行された疑いがあったにもかかわらず、解剖では被害者体内の精子の有無などを科捜研(科学捜査研究所)に任せている。
上野 サック(コンドーム)を使用していれば精子は検出されず、それ(検出されていないこと)をもって暴行がないとは言えない。
今村 ここに(甲第9号証)膣や子宮についての記述がなされているが、損傷はない。
上野 子宮内膜にゼラチン状の血栓があるが(解剖時には)月経によるものか、暴行か、あるいは棒などを使った暴行かの区別がなされていない。
今村 鑑定書にはどのような問題があるのか。
上野 (鑑定医)自身の考察もなく、鑑定書としては極めて不十分。
続いて、弁護人・伊東秀子氏の質問。
伊東 本件の鑑定、写真を見てどのように考察されるか。
上野 ご遺体が発見された時に開脚していたことからして、暴行殺人事件を視野に鑑定しなければならない。判決では10リットルの灯油で焼却していると言っているが、検査データからして結論が飛躍している。
さらに(犯行場所とされる被告の)車内には当然、被害者の血液や尿、加害者の靴の裏には、灯油が付着していると思われるので、ブレーキやアクセルあるいはハンドルには灯油が付着しているという考察があって然るべき。極めて疑義がある。
続いて、検察官が証人に質問。
検察官 証人は強姦殺人を疑うべきと言ったが、犯行場所はどこだと思っているのか。
上野 強姦殺人であれば、ご遺体の発見場所ではないか、と思っている。
検察官 雪が積もっているところでそういうことは経験としてあるのか。
上野 私は(監察医としての仕事が)東京中心だったのでそういう経験はない。
以後、検察官と上野氏の尋問は続くが、検察官の質問内容は上野氏が法医学者の経験から述べた見解を「それは絶対か」などと揶揄する類いのもので、法廷では大越被告の支援者以外の傍聴者からも失笑、苦笑が相次いだ。
最後に長島裁判長は、上野証人に「開脚していたこと以外に強姦と考える根拠は。被害者の目をタオルで覆うことから考えられる犯人像は」と聞いた。
上野証人は「女性であること。(犯行が)夜中であること。一番は(犯人と被害者が)顔見知りであること。2番目は面識はないが、顔を見られたケースが多い」と答えた。
次回公判は6月29日午後1時15分から。







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