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「インモーさん」


05月11日(火) 21時50分
 



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インモーさん

 俺の親友を紹介する。

 小学校三、四、五、六年、中学二、三年で同じクラスだった高塚智だ。

 俺がランドセルを背負って、小学校に通っていた頃、少年チャンピオンに連載していた鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」が人気だった。俺のクラスにも、この「マカロニほうれん荘」を愛読していた奴がいた。高塚智だ。

 高塚は、「マカロニほうれん荘」の登場人物、金藤日陽(きんどうにちよう)の物マネが好きで、クラスでは「きんどーさん」と呼ばれていた。

 しかし、俺は「マカロニほうれん荘」の漫画が嫌いだった。よって、高塚を「きんどーさん」と呼ぶことには抵抗があった。

 何より、マカロニとは似ても似つかず、小四とは思えないほど黒光りした巨大な下腹部のホースを持っていた高塚を「きんどーさん」と呼ぶのは、不自然極まりなかった。だから俺はエロガキ・高塚のあだ名を「陰金」(いんきん)に決めた。いつも金玉をいじっていたからだ。かろうじて「きん」の部分だけは残してやったわけだ。

 そうこうするうちに、高塚も第二次成長期を迎えた。昔でいえば、元服間近の年頃である。幼名を廃し、新たに命名してやらねばなるまい。一晩考えた俺は、小六の高塚に「陰毛さん」と命名した。いつも陰毛をいじっていたためだ。

 それでも「さん」と敬称まで付けたことを踏まえれば、高塚にとっては大変な出世だろう。だが、元服した以上、生涯、この名を背負っていかねばなるまい。

 中学に入った高塚は、学ランの裏に龍をまとい、ドカンをはきだした。しかも、資生堂の男性化粧品「タクティクス」のポマードで髪型をリーゼントにし、変身したのである。

 年齢以上にフケていた高塚は一見すると、怖いオニ―サンだった。しかし、あだ名は「インモ―さん」のままである。怖い高塚にビビッていた他校の生徒も、俺が「インモ―さん」と呼べば、呆然とした。強いのか、弱いのか、ただの陰毛好きなのか、不良学生の知能では判別できなかったようである。

 高校に入学、スズキのバイクGSXを買って暴走族となった高塚にアクシデントが襲った。バイク事故だ。

 残念なことに高塚はガードレールに衝突、失明した。

 もともとガードル好きの高塚ではあったが、「レー」が余計だった。

 しかし、である。持ち前の旺盛な性欲を活かし、高塚は昭和63年に鍼師、灸師、按摩、マッサージ、指圧師の資格を取得。平成5年にはベッピンの誉れの高い香澄さんと結婚、二児の“乳”となった。さらに翌6年には、札幌で治療院を開設した。

 現在は6人のスタッフを雇用する親分である。性欲旺盛なインモ―さんは、荒淫がたたり、頭髪は寂しいチリチリの陰毛状態。

 それでも視覚障害者となったインモ―さんは、逞しいインチョー(院長)さんになった。 







関連サイト

流星館治療院
http://www.ryuuseikan.jp/






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