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裏金づくりを証言!原田宏二元釧路方面本部長が明かす道警の腐敗体質 後編


 
「警察は警察のためにあると思っているんです」
自身の体験をもとに道議会総務委員会で、道警裏金問題の実態を証言した原田宏二元道警釧路方面本部長。
以下、原田氏インタビューの後編。
――道警は裏金づくりの存在をなぜ認められないか。
原田 認めたくないという意識はないと思う。私の体験から言えば、いつから始まったのか、わからないが、裏金システムはしっかりしたものが出来上がっていて、誰が何かを指示しなくとも延々と続いてきたわけです。普段やっている仕事とリンクしないだけで、平行してずっと水面下で密かに続けられて来た。ですからやめるとか、やめないとかではないんです。強いて言うと、もう道警にはこの問題についての当事者能力が無いのではと思います。
旭川中央署の問題が発覚した時、書類(支払い清算書や領収書のコピー)が出てきた。(書類は)誰が見ても本物のコピーだと分かる。よほど酔狂な人でないかぎり、偽物をつくる訳がない。私は在職中に何回か目にした書類と似ているため、本物のコピーだと思います。
――いまも裏金づくりは続いているか。
原田 辞めたあとのことは私には分かりません。記者会見でも、私の退職後のことは分かりませんと答えた。私の在職時は(裏金づくりが)あった。道警は、何年までは続いたが、いまはやっていないと、そういう言い方ができればベターだったのではないか。
警察の予算と現場の仕事は、乖離しているような部分があった。典型的な例では、超過勤務手当の予算は非常に少なかった。私の在籍時は支給率が30%ということすらあった。それでもみんな文句を言わずに仕事していた。
ごく最近では江別署でパソコンから流出した個人情報の問題がありますが、あれは個人のパソコンですが、ほとんど仕事で使っていたんです。たまたま家に持ち帰って繋いだら情報が流れてしまった。持ち出したらいけないなどと言う前に、仕事で使うものなのだから、備品なら備品として予算措置を取るべきです。
携帯電話もそうです。昔、我々の時代は無線機を持たされました。当時の無線機はかなり大きくて、そんなもの持ってたらすぐ警察官だって分かるし、非常に使いにくかった。それでも通信手段はそれしかなかった。
いまはほとんど事件現場からの報告も携帯でやっているはずです。仕事に使う携帯については無線機と同じような扱いでいいんです。そういうことさえしておらず、何も変わってないな、結局現場の負担で終わる。それで、何かあるとこうなる(下の責任になる)のは、おかしいでしょう。
――警察の上下関係についての話が出たが、以前、原田さんは、キャリアに対して道警が寛容だと述べた。それは具体的にどのようなものか、伺いたい。
原田 私の言った寛容という意味は、他県に赴任した時の例を挙げると、県というのは定員が2,000人程度で、規模が小さい。道警は1万人以上いるし、地域が広く、かなり規模が大きい。
北海道警察で私が防犯部長だった時に部長会議というのがあったが、9人のメンバーの内、6人がキャリアでした。地元は3人。組織にとって主要な部分にキャリアが配属される。
地方警務官と言うのですが、北海道はそういう人が非常に多い。そのほかに主要な警察署長は、3年以上警察庁に出向した警視正以上でなければいけない。しかも人事権は向こう(警察庁)にある。ほかの県を含めて国の関与を非常に受けているんです。その点で、北海道は外部(の人材)を受け入れることについて寛容なんです。人数が多いのと地域が広いので、割とフランクといえばフランク。派閥もあまりない。
――原田さんは、5月25日、仙台地裁で市民オンブズマンが、宮城県警の2000年度捜査報償費に不正支出があったとして、当時の県警会計課長に計約1,950万円を県へ返還するよう請求した訴訟で、宮城県警の支出状況について裏金づくりの分析などを証言した。宮城県警と道警の違いはどう感じたか。
原田 宮城県警のことは分からないが、仕事の面ではほとんど違わないと思う。ただ宮城県警は、古い伝統があるため、非常にしっかりしたアイデンティティーを持っている。地元の人たち(警察官)も言うべきときは言うというスタイルを持っているかもしれませんが、宮城のことはよくわかりません。
――道警のノンキャリアの人たちは、キャリアに対して、言えないということか。
原田 個人差があると思う。キャリアの人たちに対して、ものを言う人がいないとは言わないが、私が経験したほかの県から比べると、どちらかというと少ないなと思う。これは私を含めてです。
道警は、良く言えば非常におおらかだし、キャリアの側から言えば住みやすいところだと思います。ですから退職された方でも随分北海道に遊びに来られます。酒の席でも「北海道は良かった」という人は多い。そういう意味では北海道は寛容だったのではないかと思う。
――報償費に関して、第2、第3の原田さんが出てくることは。
原田 どうなのかな。何人出てきたって結局何も進んでない。重要な会計書類を持ち込んでどうだっていうなら別だが、私のように過去にあった体験だけを話しても事態は同じでしょう。私の言った事だって(道警には)軽く聞き流されている。
斎藤(邦雄元弟子屈署次長)さんのような書類を持ってきて実際に金庫番やってた人の話が出てくれば別です。斎藤さんのような人たちが今後、続々と出てくれば事態は少しは変わるかもしれない。
――裏金づくりの責任は、誰が取るべきか。
原田 私は責任ある立場にあったので、もちろん覚悟してます。何らかの形で責任を負わないといけない。決して許していただいたと思ってはいないですが、議会という場所で皆さんに謝罪する公の場を与えていただいた。とりあえずはお詫びという責任のとり方はあると思うので、それを一つやった。まだ全部果たしたわけではないと思っています。これは死ぬまでいかなる非難を浴びても、甘んじて受けなければならない。これは止むを得ない。
――何か責任を取ろうと考えているということか。
原田 それはあるけど今はまだ言えない。自分なりに今後の推移を見ながら、自分でどうするか決めないといけない。思っていることはある。
ただこういう問題は、その人の考え方があると思う。私がしたのと同じ事をしろとは、私自身、全然思っていないし、それはその人の人生観と関係してくるのではないかと思っている。私もたいした人生観を持っているわけではないですが、もう66歳です。人生の終盤に差し掛かって長年続けてきた自分の間違い、それを甘んじて受けていた自分について、本当にこれでいいのか自問自答していた。
――警察官になって、初めて不正に手を染めていたと自覚したときの気持ちはどのようなものだったのか。
原田 相当昔の話なので当時のことは鮮明に憶えていません。(裏金づくりは)ごく当たり前に行われていたことなので、罪悪感が生じるとかそういう感覚はないんです。書類が出てきたから書いてる。そして見返りとして一部の金をくれるわけです。
全体がそうですから若い頃は「こんなことやってるんだ」という感じでした。次第に立場が上がってきたら部内外の会合など、そういう場合に自分で金を出してないので分かるわけです。自動的にセットされた会合をこなすだけでも大変で、酒を飲む機会のない日があると「ああ、今日はまともに帰れる」と、それくらい激しかった。だからそんなことを考えている暇がない。
そんな状態で、こんな問題のあることはやめないかという話になったらパンクしてしまいます。もう会合は一切行かないとか、俺もやめる代わりにあなたたちも一切(裏金づくりを)やめなさいとか、仮に言ったとすれば組織としてパンクします。必要な事としてずっと行われてきたのをがらっと変えてしまうということになれば、相当な覚悟がいる。やはり辞めないといけない。
――仕事に関する会合以外で裏金を使ったことはなかったのか。
原田 そのあたりは難しい。ほとんど部外か仕事に絡んでいる。たぶん正規の予算だったら、交際費で賄える会合かどうかチェックしたと思います。しかし実際にはひとつひとつ、この会合は公的かどうかを全く検討していない。そんなこと頭に浮かびもしません。
いまになって考えると捜査費、報償費には使用基準がない。捜査協力者と言っても、どの範囲を捜査協力者というのか、具体的な定義がない。情報提供に対し、お金を払いますと言っても、どのような情報にいくらのお金を払うのかということは、決めていないといけません。
警察には普通の官庁にはないとんでもないことがある。通常、税金を使ってひとつの事業をするとしたら、それを使うときに厳密にそれが予算を使ってもいい事業なのか、まず考えるべきです。予算を使ってはならないところに使ってることが、後になって問題になるんです。現場の協力者、あるいは情報提供に関して現場が判断するシステムは何もありません。なぜないのかと言えば必要がないからです。
(覚せい剤法違反・銃砲刀剣類所持等取締法違反で懲役9年の判決を言い渡された稲葉圭昭元道警警部の)稲葉事件もその辺に問題があって、協力者とは何で、単価をどうするか、両方とも決めないといけない。銃器捜査には協力者は絶対必要だし、その秘密を警察は絶対守ってあげなければならないのです。ですからそれらを運営していくためにはシステム管理が重要な問題になってくる。
システムができたら今度は、それに対してお金の管理をリンクさせるべき。リンクさせようとしても、一方では既に謝礼に払う予算が違う方に流れるルートが出来上がってしまっていて、そっちに(稲葉被告が関わっていた銃器捜査)に流すことができない。その中で出てきた問題だと私は思っている。
彼(稲葉被告)は誤った。けれども絶対に彼だけの問題ではない。情報管理のシステムづくりの問題と、お金とリンクさせる問題がある。そこをできないまま、実績だけを彼に任せたというところに、あの事件の根本的な背景があると私は思っている。
――道警には報償費、旅費などの裏金以外に問題にすべき点があるはずだ。
原田 私は今回の問題と道警の対応を見てると、一体警察というのは何のためにあるのだろうか、あるいは警察というのは誰のためにあるのだろうかというのが問われていると思う。
道警の対応を道民のほとんどが信用していると思いますか。そこが問題ではないですか。警察は口を開くと道民の信頼を回復するためだと言っていますが、これまでの道警の対応を見て、なるほどそうだなと思う人は少ないと思う。そこに気が付いててもそれができない。そこに問題がある。
――なぜできないのか。
原田 組織の防衛が優先するからだ。そういう考え方が長年の間に培われていて、警察は警察のためにあると思っているんです。そのひとつとして現れたのが裏金の問題であり、とかげのしっぽ切りというやり方だ。
だから私は今回の行動や発言によって、そんなに急に(道警が)変わることはないだろうと思う。この問題が解消されるまでには相当長い時間を要するのではないだろうか。裏金だけではなく、道警が言っているように、警察は国民のためにあるんだということを、名実ともに具現していくことによってしか解決はしない。







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