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本人の希望を叶えてしまった宅間守の迅速な死刑執行


 
被害者を冒涜、謝罪のないままに…
9月14日、法務省は大阪拘置所で死刑囚2人の刑を執行したことを発表した。
刑を執行されたのは、大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件で殺人などの罪に問われた宅間守死刑囚(40)と、3人の暴力団員を殺害したとして、死刑が確定していた元暴力団組長の島崎末男死刑囚(59)の2人。
連日、紙面やブラウン管をにぎわす殺人事件の多くは、残念ながら忘れ去られる場合が少なくないはずだ。しかし、池田小事件は宅間死刑囚の残忍極まりない手口と逮捕・起訴後の鉄面皮ぶりから、遺族以外の人たちにも、拭い難い恐怖と怒りを与えた。
言うまでもなく刺殺されたのは、罪もなき児童8人。さらに13人の児童と2人の教諭が重軽傷を負った。
刑事訴訟法では、判決確定後、6カ月以内に刑の執行を命令し、5日以内にその執行をしなければならないと定めている。
宅間死刑囚の死刑が確定したのは、昨年8月28日の大阪地裁判決。この時、弁護団は控訴したが、翌9月に宅間死刑囚本人が控訴を取り下げたため、判決が確定した。
死刑判決確定後、宅間死刑囚は弁護団を通じ、「3カ月以内の執行を望む」という内容の手紙を公表した。
同じく遺族も早期の執行を求めていた。
これまで死刑囚に対する刑の執行は、少なくとも数年を要していた。判決確定からほぼ1年の執行は確かに迅速と言える。
だが、反省や謝罪の言葉すら残すことなく、さらには被害者を冒涜するような発言を繰り返してきた男の“意のまま”に刑を執行したことは多くの課題を残したままの措置でもあった。
法務省は宅間死刑囚の死刑執行を事前に遺族には知らせていない。
目黒公証役場の事務長だった仮谷清志さんを拉致監禁、死亡させ、1審で死刑判決(控訴中)を受けたオウム真理教(アーレフに改称)元幹部の中川智正被告(41)は、周知のように仮谷さんの長男・実さんと東京拘置所で接見、謝罪している。
子どもを殺害された遺族が、刑の執行に際し、「苦しみながら死んだのか」「子どもたちへの謝罪は」「最後の言葉は」……知りたいことは山ほどあったはずだ。
宅間死刑囚に対する刑の執行は当然だが、結果として法務大臣は早期の執行を望む本人の要望をかなえたことになるまいか。
ともすれば被害者や遺族に対する配慮を欠き、加害者の人権や主張を尊重するかのごとき刑法のあり方を考えるべき重要な事例がまたひとつ消えてしまった。
■高塚智(たかつか さとる) 1965年、小樽市生まれ。札幌市在住。高校在学中にオートバイの事故で失明。鍼灸・マッサージ治療院を経営。スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を用いて原稿を書く。










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