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掘り出せ海底炭! “最後の秘境”釧路コールマイン 第2回


09月24日(金) 14時40分
 



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1日の仕事を終えた炭鉱マン
 日々、自然環境が様変わりする坑内で頼りになるのは、熟練した炭鉱マンの判断力。

 国内唯一の坑内掘り炭鉱を続ける釧路コールマイン。その炭層は、釧路市中心部から7キロメートル以上にわたり、5度から6度の傾斜で海底に伸びている。炭層の緩やかな傾斜は、機械化の導入に適し、掘進や採炭には最新の機械が導入されている。

採炭業務は24時間体制。炭鉱マンは3班に分けられる。1班は100人から120人で編成され、勤務時間によって、「1番方」「2番方」と呼ばれる。

炭鉱マンは、ともすれば荒くれ者とのイメージが強い。

しかし、太平洋炭礦時代から勤務する保安監督室の門馬哲哉室長は「昔は友子(ともこ)と呼ばれる制度があり、炭坑マンは親分子分の間柄だったと聞く。しかし、この制度は昭和2年に廃止され、いまの炭鉱マンは普通のサラリーマンと変わらない」と明かす。

班長は毎回、入坑前に行われる点呼で「今日も1日ゼロ災害!」と呼び掛け、すべての炭鉱マンが呼応する。点呼後は入坑者が機械に登録され、階段を下りて、人車が待ち構えるホームに向う。

炭鉱マンは太平洋の海底下320メートルまでの4キロメートルを約5分間、人車に揺られ、さらに採炭現場まで20分ほど歩く。

狭い坑内には、防爆対応のランプや掘削機械、保安のための各センサーなどの電源ケーブル、空気を送る送風のパイプなどが張り巡らされている。坑内には屈まずには通れない場所や、浸水で足元がぬかるむ箇所もあるが、炭鉱マンは慣れた足取りで現場に向かう。

新しい坑道を作る際は、コンティニアスマイナーと呼ばれる機械で切羽(きりは)を掘進する。切羽は坑内で掘り進む面。掘進時に発生する石炭や粘土、岩石はシャトルカーでベルトコンベアに移される。

釧路コールマインでは、SD採炭方式と呼ばれる長壁式採炭法を採用。切羽に1台で738トンの重さに耐える、幅1.5メートルのシールド枠を通常100台から120台ほど繋げて設置する。シールド枠の設置で一層狭くなったこの場所が、坑内では最も安全な場所だという。

ドラムカッターの先端には、直径50ミリメートルの超硬合金チップを埋め込んだビットが96個取り付けられ、切羽を掘り進む。

坑内の自然環境は毎日大きく異なる。四方八方からかかる地圧で、地面や壁が脹れるためだ。炭鉱マンはこうした変化を鋭敏に感じ取ることができる熟練した判断力の持ち主。刻々と条件が変化する坑内の作業は、マニュアルなど通用せず、炭鉱マン一人ひとりの経験が不可欠だ。

坑内の温度は外気と変わらない。夏は汗が額をつたい、冬は吐く息が白い。炭鉱マンは細心の注意を払い作業に励み、坑内に設けられた休憩所で取る食事の時間が唯一ほっとできるひとときだ。

釧路コールマインの炭層は比較的新しい。多くの炭鉱における炭層は、8,000万年から2.5億万年前であるのに対し、5,000万年前の石炭だという。炭層が若い分、発熱量は少ない。

炭質は発熱量から純一般炭と原料炭に分類される。釧路コールマインで採炭されるのは発熱量の低い純一般炭で、平均発熱量は6,100キロカロリー。硫黄分が少なく、低公害炭であることがメリット。ここで採炭された石炭はJパワー(電源開発)や北海道電力の火力発電所に販売される。

現在、国内の石炭需要は年間約1億6,000万トン。国内生産量は釧路コールマインの約70万トンと空知地方の露頭炭約60万トンを合わせて130万トンで、全体の0.8%に過ぎない。残りの石炭のほとんどはオーストラリア、中国、インドネシアなどの海外に依存している。

こうした状況下、国は01年度に「炭鉱技術移転5カ年計画」を策定した。釧路コールマインは、中国、ベトナム、インドネシアの炭鉱従事者に、日本の炭鉱技術を教える研修事業を受託した。この事業は、保安技術や坑内掘り生産のノウハウを研修生に指導し、安定した海外炭の供給確保を目的としたものだ。

現在、中国では電力事業が伸び、昨年秋から価格が上昇している。これまで海外炭は地表近くを掘る露天掘りが主流だったが、掘削が進んだ結果、坑内掘りの比率が上がり、石炭の価格は上昇傾向にある。

1999年8月に、国の諮問機関である石炭鉱業審議会にて、04年下期までに国内炭の石炭価格を1トン当たり1万円以下に下げることを条件に、各電力会社が06年度まで国内炭を買い取る答申が出された。

釧路コールマインは努力を重ね、03年に1トン当たり1万1,250円だった石炭価格を今年は1万円に抑えた。だが、07年度からは自由競争が始まるため、1トン当たり5,000円から6,000円で推移する海外炭との競争が控えている。

一般に炭鉱の原炭における平均石炭量は70%から80%だが、釧路コールマインの地層は石炭以外の岩石や粘土が多く、50%と低い。そのため採炭に労力を費やす上、硬い岩石の掘進による機械の磨耗も著しい。

これらの課題を抱えながら、釧路コールマインはコスト削減に注力した。その結果、今年3月の決算で初めて黒字となり、1億1,900万円の純利益を計上した。

以下、次回。






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坑内の様子


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休憩室の横には酸素ボンベで空気を入れ、避難用に使う黄色の気密室を常備


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パンツァーコンベアで石炭を運ぶ


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停止している機械の横をすり抜けて進む炭鉱マン


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シールド枠の下で作業する様子


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96個のビットでドラムを回転させながら採炭するドラムカッター


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人車に向かう炭鉱マン


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班長の指差し確認






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