|
掘り出せ海底炭! “最後の秘境”釧路コールマイン 第4回


 
海外からの研修生に日本の技術を指導する「炭鉱技術移転5カ年計画」。
釧路コールマインでは主となる採炭事業のほか、2002年度から国の事業としてNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する「炭鉱技術移転5カ年計画」を受託、中国、ベトナム、インドネシアからの研修生に炭鉱技術を教えている。
これまで海外の産炭国は露天掘りが主流だったが、掘削が進んだ結果、坑内掘りに転じる炭鉱が増えている。
研修事業は日本の優れた炭鉱技術を移転し、海外の石炭需要の安定、日本に対する海外炭の安定供給の確保を図ることを目的に実施されている。研修は5年間で約1,000人の研修生を長崎県炭鉱技術センター(旧池島炭鉱)と釧路コールマインで受け入れる。
中国やベトナム、インドネシアなどの産炭国では、保安技術や機械化が進んでいない炭鉱も少なくない。また、最先端の機械を所有する炭鉱もあるが、導入してからの日が浅く、経験に乏しいという。実際に海外の炭鉱では事故が多く、中国では年間6,000人から7,000人が坑内で命を落としている。こうした事情から海外の炭鉱では機械を駆使し、いかに生産性を維持するかが急務の課題となっている。
釧路コールマインでの研修は、経営管理や保安管理を学ぶ上級管理者と、坑内採掘、保安、機械、電気の技術など会得する一般管理者のコースに分けられる。研修生はカリキュラムに合わせ2週間から24週間、釧路コールマインの敷地内にある炭鉱技術センターで学ぶ。もちろん、実際に入坑し、ボーリング技術やケーブル接続などの専門実習も受ける。
研修は通訳が付く。取材時はベトナムの研修生44人に対し12人、中国の研修生36人に対し9人の通訳が対応していた。
40人の講師は、センサーで坑内各所のガス濃度を測る技術、通気管理の重要性、経営管理、生産性向上など、それぞれ模型やCAD、パワーポイントを駆使して学ぶ。
ベトナムからの研修生、ファン・バン・グエンさんは一般管理者の保安コースを修得するため、5月5日から24週間の予定で釧路コールマインの宿舎に滞在している。グエンさんはハノイにあるホン・ガイ石炭公社に勤務し、通気、保安を担当している。
グエンさんは研修の成果を次のように話した。
「ベトナムではまだ人力で採炭する方式がほとんどだ。日本の労働条件は格段に良い。釧路コールマインのような近代的な機械、設備があれば、大量に出炭できるだろう。ここの地質条件は安定しており、ベトナムの炭鉱に比べて危険な目に遭うことはない。機械化することで、より安全性が確保できる。私はベトナムで通気と保安を専門としているが、研修で坑内のガスを抜く通気の改善法を学び、大変参考になった」
研修生は敷地内に隣接する宿舎の3LDKに2、3人ずつ生活し、研修のある月曜から金曜まではセンター内の食堂で食事する。土日は自炊だ。センター内の食堂では、宗教上の戒律を配慮したメニューを作成している。
宿舎では、衛星放送で自国の番組が受信できる。各棟には談話室が設けられ、国際通話が可能な公衆電話機を設置し、研修者が集まれるスペースを確保している。
研修事業には釧路コールマインの社員の約1割を占める50人が携わっている。研修事業による人件費、施設使用料は、釧路コールマインの収入総額の1割を占める。
一方、国から受託された研修以外での技術交流も始まっている。釧路コールマインは、昨年4月に中国の双鴨山砿業集団有限公司と契約を結んだ。今年9月には研修生が訪れ、技術指導が行われた。この技術交流は1992年に同公司の社長が研修に訪れ、高い技術力に関心を抱いたことが発端だった。釧路コールマインではこうした民間レベルでの技術提供にも力を注いでいる。
「炭鉱技術5カ年計画」は06年度で終了する。現在、研修事業は3年目で、今年度は研修の成果を各国の担当機関が調査、評価する年だ。
道経済部資源エネルギー課では「太平洋炭鑛の閉山で、下請け会社を含め、離職者は1503人に上った。このうち釧路コールマインに採用されたのは509人で、980人が職を求めていた。道の8月31日の調査では980人のうち、552人が就職したが、428人はいまだ無職のままだ。炭鉱の坑内に勤務したものは、離職後、職業安定所で『炭鉱離職者求職手帳』を給付される。これは俗に『黒手帳』と呼ばれるもので、3年間、雇用保険が給付される。来年1月には雇用保険が切れる人が出てくるため、釧路の雇用問題は一層深刻になる。道は地域対策の意味からも、国に対し『炭鉱技術移転5カ年計画』の事業をさらに5年継続するよう要請している」と話す。
以下、次回。







|
 |



|
 |



|
 |
|



|
 |



| 釧路コールマインの敷地内にある炭鉱技術研修センター |
|
 |



|
 |
|






このページのTOPへ




|
| ■ |
当サイトは、リンクフリーです。バナーが必要な方は下のバナーをお使いください |
|