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恵庭OL殺人事件 控訴審第8回公判 中編 大越被告が吐露した橋向香さんへのジェラシー


 
「私は背が小さく、ロングブーツのサイズがなかった」
11月16日午後1時15分から札幌高裁(長島孝太郎裁判長)で「恵庭OL殺人事件」の控訴審第8回公判が開かれた。
以下、弁護側の大越美奈子被告に対する被告人質問の中編。
主任弁護人・伊東秀子 平成12年2月頃、あなたは板持貢さんの車の中で、板持さんの携帯電話のアドレスをメモ用紙に書き写したと証言しているが、これはなぜか。
大越 私と板持さんの関係はぎくしゃくしていました。板持さんは私と一緒にいる時、誰かから電話が掛かってくると、うその居場所を言うことがあった。板持さんの携帯が(車中に)置きっ放しだったので(アドレスを)見てしまった。板持さんの携帯電話のどこかを押せば、あ行から(アドレスが)出てきた。(板持さんは)あまり友だちがいないと言っていたのに、私の聞いたことがない名前が出てきたので書き写した。
伊東 平成12年の2月27日は。
大越 2月27日はデートの約束がなかったので、私は自宅の電話から居ないはずの板持さん宅の留守電に入れるため電話をした。すると板持さんが居たので、(札幌市清田区の大型書店)コーチャンフォーで会うことになった。
伊東 板持さんに会ってどうしようと思ったのか。
大越 立ち読みをし、隣のミスタードーナツで普通に話をした。その後は、板持さんの車で話しをした。
伊東 そこで言い合いになったのか。
大越 はい。なりました。仕事や(私の)性格のことで怒鳴られたと記憶している。
伊東 あなたは板持さんに「苦労もしないで生きてきたんでしょう」と言わなかったか。
大越 直接、そういうことは口にしなかったと思う。以前から板持さんには私が会社の悪口を言うと怒られた。板持さんは常にお兄さんの後を追いかけていた。お兄さんがアルバイトを辞めたら、その後を板持さんがやり、(就職先の)日通もそうだった。
直接的ではなくても、板持さん自身、「俺がこんなに腹が立ったのは初めてだ」と言ったので、そう言ったのだと思う。
伊東 なぜ、言ったのか。
大越 その前から私の中で募っていた気持ちがあり、腹が立っていたのだと思う。
伊東 あなたの言葉に対し、板持さんはどのように反応したのか。
大越 怒って怒鳴られたことは覚えている。
伊東 そのほか、板持さんに何か言われたことはなかったか。
大越 「このまま付き合っていいのか、考える時間をくれ」と言われた。
伊東 それまでに板持さんがあなたに結婚という言葉を使ったことは。
大越 1度もない。私自身が(2人で会っていると)イライラしてしまうことがあったと思う。板持さんもそういう私と居ても楽しくないと考えたのではないか。
伊東 あなたも板持さんと一緒に居て、面白くなかったのか。
大越 楽しい時は楽しい。本当に楽しい時と、無理して板持さんに合わせて楽しまなければならないと思う時があった。
伊東 ほかに板持さんは何か言ったか。
大越 「考える時間がほしい」ということと、「きょうはこれ以上、話をしても無駄なので帰ってほしい」と言われた。
伊東 あなたが板持さんに言ったことは。
大越 仕事のことも言われたので、私も考えるから、板持さんにも考えてほしいと言ったと思う。
伊東 板持さんと別れた後、あなたはどうしたのか。
大越 その日は(友人の女性)Iさんの誕生日だった。後味が悪く、板持さんに電話を掛けなければ良かったと思った。
伊東 あなたの性格について、日頃、あなたが板持さんに言っていたことは。
大越 女性は月に1度生理がある。私はその前にすごくイライラし、ストレス食いをする。分かってほしいのでそういうことを話した。
伊東 (平成12年)3月4日から8日までのことを伺う。あなたの携帯電話の通話料金明細書を見ると、3月4日の17時48分に板持さんの携帯に電話をしている。なぜか。
大越 夕方、自宅の電話でも話をした記憶があるので、自宅の電話か、携帯から掛けたのかは分からない。板持さんから「時間がほしい」と言われ、1週間が経ったので私から電話した。
伊東 板持さんは何と言ったか、返事は。
大越 「もう少し時間がほしい」と言っていた。
伊東 別れようと言われるとは思っていなかったのか。
大越 (そういう思いは)あった。
伊東 そう言われたらどうしようと思ったか。
大越 言われたらきちんと話をしたいと考えていた。板持さんには相手が私でなくても、約束をすっぽかすのはやめた方がいいと言おうと思っていた。
伊東 3月6日はあなたが初めて公衆電話から橋向(香)さんに電話をした。さらに(大越被告が板持氏と交際する前に付き合っていた男性)A君に電話し、(大越被告がかつて不倫交際をしていた)Hさんにも電話をしている。この2人になぜ、電話をしたのか。
大越 A君にはなぜ電話をしたか、記憶にない。Hさんに電話をしたのは、以前、お金を貸して返してもらえないことがあったのと、ガールフレンドとの関係がどうなったのかな、という思いもあった。私は板持さんとけんかをしていたので、誰かに聞いてもらいたいという気持ちもあった。Hさんとは以前、付き合いがあったので、話しやすいということはあった。
伊東 Hさんは当時離婚して1人暮らし。Hさんに何か言ってほしいことがあったのか。
大越 板持さんとはいずれ別れるだろうという気持ちはあった。(別れることは)自分で決めなければならないが、誰かに後押しをしてほしい気持ちがあった。
伊東 Hさんは後押しをしてくれたのか。
大越 いいえ。板持さんとの話をHさんにすると、私のことをきちんと考えてくれる人ではないと言われた。
伊東 あなたの方で板持さんが隣の席の子(橋向さん)と会っているみたいと、Hさんに話したことは。
大越 平成11年の秋に板持さんと橋向さんが一緒に食事をしたという話はしたかもしれない。
伊東 隣の女の子とデートをしているみたいだ、という話をした記憶はないということか。
大越 思い出せない。
伊東 あなたはその後、公衆電話から橋向さんの自宅に電話を掛けたのか。
大越 その前だと記憶している。
伊東 なぜ、橋向さんに電話を掛けたのか。
大越 平成11年秋に板持さんと橋向さんが仕事帰りに食事に行ったと聞いた。橋向さんの板持さんに対する態度が普段と違って、少し可愛い子ぶった態度で接していた。
3月6日も秋と同じ様子で、橋向さんは板持さんに接していたため、また2人でご飯を食べたのかなと気になった。
橋向さんは家に帰ってからか、寝る前に携帯の電源を切ると言っていたので、気になって電話を掛けてしまった。
伊東 なぜ、公衆電話から掛けたのか。
大越 橋向さんの携帯電話の番号を知ったのは、板持さんの携帯から勝手に見てしまったため。何か話をするのではなく、橋向さんが家に居るかを知りたいだけだった。罪悪感から公衆電話で掛けた。
伊東 橋向さんは電話に出たのか。
大越 いいえ。
伊東 話はしていないのか。
大越 はい。
伊東 あなたは3月8日のドライブ中、橋向さんの家の近くで板持さんの車を見たと証言している。これは偶然見たのか、わざわざ見たのか。
大越 偶然。
伊東 2人が話しているところを見たのか。
大越 いいえ。板持さんの車らしいのが橋向さんの家の方に行くのを見て、あれっと思った。
1度、橋向さんの家の前を車で通った時は、板持さんの車らしきものを見た。私は(橋向さんの自宅周辺の)土地感がなく、また(橋向さんの自宅前に)戻ってしまった。もう1度見ると、敷地内にある車の影が見えた。
伊東 その影を板持さんの車と確認したのか。
大越 (敷地の)中まで入らないと確認できないので、確認はしていない。
伊東 あなたはこの時も、Hさんに電話している。何かしてほしかったのか。
大越 2日前にHさんから、板持さんは「若い子の方が良くなったんじゃないか」と言われ、動揺して電話した。
伊東 あなたはHさんに電話した後、(新千歳)空港近くのローソンで板持さんに会うことになっていた。
大越 はい。
伊東 この日、あなたはA君に2回電話をしているが、何の用だったのか。
大越 明確ではないが、19時台(の電話)は、仕事が終わったので何となくしたと思う。
伊東 23時台の電話は。
大越 覚えていないが、(板持さんとの)待ち合わせ場所のローソンに向っている最中、(自分の)気持ちを抑えるために掛けたのではないかと思う。
伊東 あなたはA君に板持さんのことを相談したのか。
大越 A君には板持さんのことは話していないので、相談していない。
伊東 ローソンで会った時の板持さんの様子は。
大越 特に変わったところはなかった。
伊東 この時に男女関係をもったのはなぜか。
大越 最終的にではないが、板持さんが手を出してきたので…。
伊東 最後までしていないのは、あなたが拒否したのか。
大越 はい。
伊東 あなたが3月9日18時51分にA君、その後、Hさんに電話したのは何のためか。
大越 A君に電話した理由は記憶にない。Hさんに電話したのは、前日に電話し会う約束をしていたが、その直後、板持さんから電話がきて、キャンセルしたため。Hさんにはお詫びと板持さんに会った時のことを話すために電話した。
伊東 3月11日、あなたはA君と(交際相手だったH氏とは別の友人)Hさんの3人で飲み会をする約束だった。12日の深夜、あなたがA君に自宅まで送られた時の気分は。
大越 3人で誕生会をすると前々から約束をしていたので、楽しみにしていた。しかし、2次会の場で知り合いの役場の女の子が吐いて介抱したため、ストレスを発散しようと思っていたが、逆に疲れた。
伊東 それで(帰宅後)ドライブに出たのか。
大越 次の日が休みだったので、ドライブに出た。
伊東 検事が言うように板持さんと橋向さんの行動を確認するためだったのか。
大越 いいえ。
伊東 JR長都駅の近くで板持さんと橋向さんらしき車を見た時のあなたの心理状態は。
大越 2台の車は本当に板持さんと橋向さんのものだったのか、という気持ちだった。板持さんからは、お兄さんが帰って来て一緒にスキーをすると聞いていたので、うそをついたのかなと思った。
伊東 12日の昼すぎ、あなたのところに来た(友人の女性)Iさんの検面調書によると、この時、あなたは涙を流していたとなっている。あなたが板持さんに結婚を迫ったことはあるのか。
大越 そういうことを私が板持さんに言ったことはない。
伊東 3月12日の夜、あなたと板持さんのやり取りを伺う。あなたはIさんと食事をし、その後にどこかに行きましたね。
大越 板持さんは、お兄さんを空港に送った後、電話をくれることになっていた。
伊東 板持さんは電話をくれたのか。
大越 いいえ。
伊東 偶然、ローソンで板持さんを見付けた。
大越 はい。
伊東 あなたはその時、板持さんに結婚の意思を問い質したのか。
大越 最初はたわいのない話をしていたが、板持さんからは「自分はまだ結婚する気はない。誰か別の人と結婚した方が幸せになる」と言われた。
伊東 板持さんは控訴審で「別れ話をしたことはない」と証言している。
大越 板持さんから「嫌いになったわけではないが、好きな気持ちがなくなった」というようなことを言われた。直接、「別れよう」とは言われなかったが、いま思っても別れ話だったと思う。
伊東 あなたは板持さんに対し、橋向さんと昨日の夜、会ったのではと確認したのか。
大越 していない。
伊東 なぜ。
大越 (2人が会っていた)確証がないのに、板持さんに問い質すと怒られると思いしなかった。
伊東 板持さんから別れようという言葉はあったのか。
大越 そういう言葉を言ってくれなかった。そういう言葉がないと、自分の中でけじめがつかない。
伊東 あなたの方から板持さんに別れようと話さなかったのか。
大越 板持さんとは付き合っていけないなという気持ちはあったが踏ん切りがつかず、気持ちの整理がつかなかった。自分から(別れ話を)言うことはできなかった。
ここで公判は開始から2時間を経過。時計の針は午後3時15分を指し、長島裁判長は20分間の休廷を命じた。 午後3時35分、再び入廷した大越被告に対し、長島裁判長は「大きな声で答えてください。質問には簡潔に話してください」と注意した。 続いて伊東氏の質問が再開。
伊東 あなたは3月12日午前4時51分50秒、橋向さんの携帯に電話をしている。甲56号証を見ると、あなたはその後も、あなたの携帯から橋向さんの携帯にかなりの数の電話をしている。
3月12日から3月15日まで、あなたが橋向さんに掛けた数は、甲217号証によると220回になっている。ところが、甲56号証によれば、通話料金として課金されたのは15回。(電話会社の)Y証人によると、220回のうち、120回は(橋向さんの携帯電話の)着信音が鳴り、100回は鳴っていない。120回のうち、正常に通じたのは38件で課金は12回。
あなたが掛けた電話100回は、つながらないうち、あるいは3秒以内に受話器を置いたことになる。あなたは午前4時51分50秒に掛けた以降、どのように電話したのか。
大越 リダイヤル機能を使って掛けている。1度掛けたものは(リダイヤル記録として)残っているので、掛けて切るという作業だったと思う。
伊東 相手が出る前に切ったのか。
大越 はい。
伊東 相手が電話に出たと分かったことは。
大越 ありません。相手の声を聞いたことはない。
伊東 何のために電話を掛けたのか。橋向さんに嫌がらせをするためか。
大越 嫌がらせの目的はなかった。
伊東 どのような気持ちから掛けたのか。
大越 初めは12日の明け方、板持さんと橋向さんらしき車を見たことに対し、2人が私にうそをついて会っていることを確かめたい気持ちがあった。
伊東 板持さんに対する疑心暗鬼と、2人が会っていることを確かめたいという気持ちか。
大越 はい、そうです。
伊東 あなたは3月12日の夜に板持さんと会ってからも、かなりの電話を橋向さんに掛けたことになっている。(3月12日以降)気持ちの変化は。
大越 きちんと説明できないが、先ほど述べた気持ちがあった。
伊東 ほかには。
大越 2人に対するものとは別の気持ちだが、普段から橋向さんに対してもっていたうらやましい気持ちがあった。
橋向さんは背が高く、ロングコートを着たり、ロングブーツを履いていてうらやましいという気持ちがあった。私は背が小さく、ブーツのサイズがなかった。
伊東 それは橋向さんに対するジェラシーか。
大越 元々、私には背の高い人に対する憧れがあり、うらやましいことと、そういう(2人が会っているのではないかという疑念)感情が絡まったのではないかと思う。
以下、後編。







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