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恵庭OL殺人事件 控訴審第10回公判 後編 大越被告が「私は犯人ではありません」


12月21日(火) 20時35分
文:東  



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橋向さんの所持品が焼かれていた早来町の「町民の森」
 長島裁判長が捨てた灯油に言及。

 平成12年3月17日午前8時20分頃、恵庭市北島の道路わきで、苫小牧市に住むOL・橋向香さん(当時24)の焼死体が発見された。

 逮捕、起訴されたのは、橋向さんの同僚だった大越美奈子被告。15年3月26日、札幌地裁の遠藤和正裁判長は、殺人と死体損壊の罪に問われた被告に対し「犯行は合理的な疑いを挟む余地なく認定できる」と断罪、懲役16年の判決を言い渡した。

 被告は捜査段階から一貫して無実を主張してきており、1審判決を不服とし、札幌高裁に即日控訴した。

 12月20日午後3時から札幌高裁(長島孝太郎裁判長)で「恵庭OL殺人事件」の控訴審第10回公判が開かれた。

 以下、高橋勝検察官による被告人質問の後編。

 高橋検察官(以下、高橋) あなたはドライブ好きということだが、夏場は土日にかなり走りますか。

 大越被告(以下、大越) それはいつ頃のことですか。

 高橋 平成11年の夏は。

 大越 11年頃だと(以前交際していた)板持(貢)さんのバイクレースがあった場合は、板持さんの車で出掛けることがあったため、付き合う前より自分の車を運転することは少なかった。

 高橋 あなたは土日に1人でドライブする時、(国道)274(号)を通ったりするんでしょ。

 大越 平成11年以前は利用した。

 高橋 274の南(恵庭市北島付近)、地図で言えば下の方が田園地帯だったことは知っていたんでしょ。

 大越 暗かったという記憶はある。(274号が国道)234とぶつかる手前は暗い状況だったことを覚えている。

 高橋 昼間に走ったら田園地帯だって分かるでしょ。

 大越 (田園地帯)だったと思います。

 高橋 (大越被告の自宅)早来町から(国道)337(号)を通って274に行くとか、あなたがドライブで通るコースは何通りもあったのですね。

 大越 274は(札幌市)厚別に友人がいるので通っていた。

 高橋 平成10年、11年にあなたは30キロ未満と41キロオーバーの速度違反をしてますね。この2回の前にも違反がありますね。

 大越 はい。

 高橋 その前は。

 大越 1回あります。

 高橋 何キロオーバーしたのか。

 大越 覚えていない。

 高橋 反則金か、罰金か。

 大越 2万円ぐらいの罰金だったと思う。

 高橋 平成11年の41キロオーバー、101キロで走行した時は急ぐ理由があったのか。

 大越 出勤前で時間がなく、急いでいた。

 高橋 平成10年は。

 大越 欲しかった買い物を終え、ウキウキしてスピードを出してしまった。

 高橋 元々、あなたはスピードを出す方だね。

 大越 道にもよるが制限速度を守ることはなかった。

 高橋 あなたはスピード出して警察官を振り切ったことがあるでしょ。

 大越 振り切ったというか……。

 高橋 警察官が付いて来たと思ってスピードを出したことあるでしょ。

 大越 (事件発生後、大越被告を追尾した車を)当時はマスコミの人だと思った。

 高橋 事実は。

 大越 常に誰かの車が付いて来たので、すべての車を振り切れたことはなかったと思う。事件後、変な車が付いて来たので振り切ったことはあるが、前の車に激突しそうになったので、安全を考えて走るようになった。

 高橋 橋向さんの所持品が焼却されたことは知ってますね。

 大越 はい、知ってます。

 高橋 場所も知ってますね。

 大越 図面で見たので、大体知っている。

 高橋 貯水池のそばでしょ。

 大越 貯水池?

 高橋 十字路のそばでしょ。所持品を焼却したのは分かってますね。

 大越 何となく分かっています。

 高橋 遺品が焼却された付近の十字路に行ったことは。

 大越 あると思う。

 高橋 どういう時に。

 大越 ドングリの会の森林観察の時だと思う。

 高橋 あなたは平成12年になっても十字路に行ったでしょ。

 大越 かんじきツアーで行ったと思うが、人の後を付いて行ったので(十字路だったか)よく分からない。

 高橋 (大越被告が通っていた喫茶店Tの)Tさんは、あなたが行ったと述べている。

 大越 自分で(場所を)分かって行ったのではない。

 高橋 1月16日の冬山探検で、あそこが除雪されていたことを知っていたのではないか。十字路の場所知ってるんでしょ。

 大越 はい。

 高橋 そこまではあなたが3月や4月に行くことは可能でしょ。

 大越 行こうと思えば、行けたと思う。

 高橋 いずれにしても(十字路につながる道を案内する)看板は道路から少しそれるので、地元の人でなければ分からないのでは。

 大越 私は元々地元の人間なので分からないが、早来に山菜を取りに来る人はいるので、知ってる人は知ってると思う。

 高橋 あなたが警察官に見張られていると思ったのはいつか。

 大越 初めはマスコミの人だと思ったが、3月22日にTさんから聞いた。

 高橋 4月10日以降は常時、車があなたの周りにいたわけではないんでしょ。

 大越 朝は必ず自宅に近いローソンの駐車場にいた車があった。どこかかしこから見られていたと思う。

 高橋 あなたは4月に入って(以前住んでいた)社宅に何回か行ってますね。そういう車は社宅まで付いてきたか。

 大越 中まで付いてくることはなかった。

 高橋 社宅は(喫茶店)Tの近くですね。

 大越 1キロぐらいは離れていると思う。

 高橋 数百メートルでしょ。Tから社宅、社宅から遺品が発見された場所に行くのは簡単ですね。

 大越 行こうと思えば簡単です。

 高橋 橋向さんの所持品が灯油で焼かれたことは知ってますね。

 大越 はい。

 高橋 社宅にあった(10リットルのポリタンクに入った)灯油が500ミリリットル足りなかったことは、現時点でも分からないのか。

 大越 分かりません。

 高橋 あなたが使ったのではないか。

 大越 違います。

 高橋 所持品はポリタンクの灯油で焼いたのではないか。

 大越 そういうことは一切ないし、私は橋向さんの所持品を持っていない。

 高橋 社宅にあった5つのポリタンクはどこから持って来たのか。

 大越 いただいたものです。

 高橋 あなたは社宅の90リットルタンクの灯油は、11年から12年の間、補給していないと述べている。

 大越 はい。

 高橋 任意同行された4月14日の段階で、タンクには5分の1くらい残っていたんでしょ。あなたはタンクに補給するために10リットルの灯油を買ったと述べている。

 大越 はい。

 高橋 4月1日に灯油を買い直してから4月14日までに灯油のメーターを見たことは。

 大越 見たことはあると思うが、針がどこだったかはいま思い出せない。

 高橋 4月14日まで何回も社宅に行ってますね。

 大越 何回かは行っています。

 高橋 あなたは社宅で灯油をたきますよね。

 大越 その時々です。

 高橋 何回も灯油を使っているのに4月14日の段階でもタンクにはある程度灯油が残っている。捨てた灯油も新しく買った灯油も、タンクに給油していないのはおかしいのでないか。

 大越 最初に灯油を買って事件が起き、(社宅の)部屋を片付けようという気持ちでなかった。セイコーマートで買ったのは、灯油を給油する目的もあったが、家にあるタンクは大きく重たいので、10リットルの小さなものを買った。

 高橋 あなたが20リットルのポリタンクを運べないなら、いつものようにお父さんに頼めばいいだけでしょ。

 大越 いつもというわけではありません。

 高橋 あなたの車のタイヤが損傷していることについて、イエローハットの店員からは、「燃えたものでも踏んだんじゃないですか」と言われたのでないか。

 大越 そういうことは言われていない。

 高橋 2人の店員がそう証言している。

 大越 (平成12年)3月20日にそう言われたことはない。

 高橋 実際には店員が正しいのではないか。

 大越 そういうことは言われていない。

 高橋 あなたはA君(大越被告が元同僚の板持貢氏と交際する前に付き合っていた男性)に「タイヤを交換してやる」と言われて断っている。なぜか。

 大越 近くに新聞社の人がいたため、話し掛けられるのが嫌だった。

 高橋 すぐにタイヤを換えてもらえばいいじゃないか。

 大越 人が寄ってくるのが嫌だった。

 高橋 4月14日、あなたは赤いホイールのタイヤを車に積んでいる、なぜなのか。

 大越 降ろすのが面倒だった。

 高橋 タイヤを換えたのはいつか。

 大越 私が任意同行される週だったと思う。

 高橋 誰に換えてもらったのか。

 大越 板持さん、Sさん、Iさんなど同僚4人だったと思う。私は換えるところは見ていないので、よく分からない。

 高橋 いまの時点では名前が出てくるが、原審では出てこない。いつ思い出したのか。

 大越 ……いつ思い出したのか、記憶にない。

 高橋 タイヤはどこかに捨てるつもりだったのか。

 大越 どのタイヤのことですか。

 高橋 赤いホイールのタイヤだ。

 大越 捨てるつもりはなかった。

 高橋 車の洗車は普通どこでやっていたのか。

 大越 自宅近くのローソンの駐車場。

 高橋 千歳にいくつも洗車場があるが、そこではしないのか。

 大越 昔はした。

 高橋 平成12年の3、4月に洗車したことは。

 大越 私は冬に洗車しない。

 高橋 (大越被告に写真を見せ)写真のナンバー2、3、5、6、7あたりを見るとあなたの車のタイヤは汚れている。車体の後ろも泥がはねたようになっている。

 大越 はい。

 高橋 これはいつ頃の汚れか。

 大越 タイヤ交換した後です。

 高橋 日にちは思い出せないか。タイヤ交換は大雨の後か。

 大越 任意同行された後としか思い出せない。

 高橋 先ほど、見せたタイヤの汚れは、被害者の所持品を焼きに行った時にはねたんでしょ。

 大越 違います。

 高橋 思い出すことは。

 大越 事件後、配車センターに行く前の舗装していないところの泥水ではねた汚れだと思う。

 高橋 車の運転席のマットの汚れは。

 大越 車を自宅に駐車した際、車の前や横が汚れていたので、マットに汚れが付いたと思う。

 高橋 あなたは3月16日、(会社の駐車場で)橋向さんと別れた時、橋向さんがクリーム色の手提げバッグを持っていたと話しているが、正しいのか。

 大越 はい。

 高橋 ダーク系のバッグではなく?

 大越 はい。

 高橋 バッグの中身のことも細かく検察官に説明してますね。

 大越 はい。

 高橋 どういう機会にバッグの中身を見たのか。

 大越 見せてもらったわけではなく、昼の化粧直しの時に見えた。

 高橋 あなたがバッグの中を手に取って見たのではないか。

 大越 違います。

 高橋 橋向さんの携帯をあなた自身が手に取ってみたことは。

 大越 あります。

 高橋 いつ。

 大越 橋向さんが携帯の機種を換えた3月。

 高橋 橋向さんから携帯電話の操作方法を聞いたことは。

 大越 ありません。

 高橋 あなたは平成8年から携帯電話を使っているのか。

 大越 はい。

 高橋 あなたの前の機種は橋向さんと同じようなものか。

 大越 いいえ、違います。

 高橋 携帯電話の操作はこなれていたか。

 大越 通話はできるが、メールをしたことはない。

 高橋 あなたはほかの機種でも使えた方?

 大越 ほかの人の電話を使ったことはないので分からない。

 高橋 あなたのドコモと橋向さんの機種の操作方法は大差ないと思うが、双方の(操作)マニュアルを見てますね。

 大越 見てます。

 高橋 橋向さんの携帯の左側面にモードスイッチがなかったか。

 大越 覚えていない。

 高橋 あなたは発信記録が残るかどうかは、料金請求の際に選択できると言っていた。

 大越 はい。

 高橋 通話できなかった場合に残るかどうかは知っていたのか。

 大越 いいえ。

 高橋 受信、発信の基地局が分かることは知っていたか。

 大越 知らなかった。

 高橋 あなたは橋向さんの携帯に非通知の電話を掛けたことをずっと隠していた。(平成12年)9月26日、あなたは泣きながら弁護士にそのことを話したというが、間違いないか。

 大越 間違いないです。

 高橋 どういういきさつから弁護士に話したのか。

 大越 (話すように)説得されたことはない。何かのきっかけがあって、素直に心を開くことができたと思う。

 高橋 そのきっかけは。

 大越 ……先生たちに自分から立てていた壁がなくなり、(拘置所に)移管されてなくなっていた記憶が少しずつ戻ってきた。

 高橋 弁護士に灯油を買い直したことを話したのも同じ9月26日か。

 大越 はい。

 高橋 検察官が出した証拠の中身を弁護士が知ったために話したのではないか。

 大越 そういうことではありません。

 高橋 橋向さんが板持さんと交際しているのではなかろうか、ということは最初から弁護士に話していたか。

 大越 していたと思う。

 高橋 弁護士があなたと初めて接見したのは、4月15日だと思うが、その頃から弁護士はあなたに事実を話してほしいと言ったでしょう。

 大越 聞かれたことには話したと思うが、4月15日にどういうことを聞かれたかはよく覚えていない。

 高橋 事実を話して欲しいと言われたでしょ。

 大越 はい。

 高橋 あなたが犯人でなかったら事実は話しても支障ないでしょ。

 大越 はい。

 高橋 あなたは長い間、事実を隠していたでしょ。

 大越 はい。

 高橋 本当にあなたは、弁護士が(事実を話せば)離れていくと思って隠していたのか。

 大越 隠したというよりも言いそびれていた。積極的な意思で隠したのではない。

 ここで主任弁護人の伊東秀子氏が異議を申し出るが、長島裁判長は「僕の考えではウソをついていたのですかという主旨の質問に(被告が)はいと答えたのと同じだと思うので異議は棄却します」と制した。

 高橋 誰が考えてもあなたが弁護士に話すことは大切なことだ。大事なことだったから言えなかったんでしょ。

 大越 弁護人からはほかにも聞かれたが(橋向さんに対する)電話のことも、灯油のことも、私はすべていっしょにしか考えられなかった。

 周りの人からすれば、すごい事をした犯人と思われているかもしれないが、鉛筆ひとつ自由に握れない中で、何が本当なのか分からなくなっていた。結果はそうかもしれないが、大事なことを隠していたわけではなく、(隠すために)あれやこれやと考えていたわけではありません。

 高橋 たまたま隠していたことが事件にとって重要だったと考えたのか。

 大越 はい。

 高橋 (橋向さんに掛けた)電話のことは、弁護士に何度も聞かれているでしょ。大事だから何度も聞いたと思わないか。

 大越 ……。

 高橋 事件の重要な点を正直に弁護士に言ったら、弁護士もあなたを犯人だと思うと考えませんでしたか。

 大越 (弁護士が)離れて行ってしまうという気持ちはあった。

 高橋 あなたが犯人だから言えなかったのではないか。

 大越 私は犯人ではありません。

 高橋 (元同僚の)Aさんの証言でも、あなたは20キロ近いダンボールを運んでいるんでしょ。

 再度、伊東氏が「ダンボールは持ち運んだのでなく、引きずったということです」と異議を唱えた。

 長島裁判長は持ち運んだ事実があるのか、答えてくださいと異議を制し、被告に詰め寄った。

 大越 ほんの数メートル持ち運んだことはありました。

 高橋 そういう力があったのではないですか。

 大越 Aさんが言っていたダンボールは、もっと軽いものです。

 高橋 あなたは10リットルや20リットルの灯油タンクを持ち上げていたんでしょ。

 大越 はい。全身作業ではあるが、何とかこなした。

 高橋 橋向さんの頭には80センチくらいのタオルが巻かれていたんでしょ。

 大越 はい。

 高橋 社宅に無地の白いタオルはありませんでしたか。

 大越 ちょっと記憶にありません。

 高橋 社宅からは白い80センチのタオルが見付かっているが、記憶にないか。

 大越 ありません。

 ここで長島裁判長(以下、長島)が被告に質問。

 長島 あなたは4月1日に灯油を買い直していますね。

 大越 はい。

 長島 あなたはそのことを弁護人に伝え、(捨てたポリタンク)探してもらっていますね。

 大越 はい。

 長島 大体、買った(店の)見当はついていたんですね。

 大越 はい。

 長島 弁護人に(灯油の)レシートがあるかなど聞いたことを確認してますか。

 大越 はい。

 長島 どうでしたか。

 大越 その店には記録がないということでした。

 長島 3月31日に灯油を捨てた場所は、弁護人に話していますね。

 大越 はい。

 長島 原審であなたは中に灯油の入ったまま捨てたと話しています。

 大越 はい。

 長島 普通、中身の灯油は(事前に)捨てるのでないですか。

 大越 (捨てる際、自分の車の)前後に車が来ていなかったので、怖くなってそのまま捨てました。

 長島 灯油を川に流すことは考えませんでしたか。

 大越 はい。考えませんでした。

 長島 (弁護人と検察官を見て)双方、新たな証拠申請は考えていますか。

 裁判長の質問に弁護人、検察官とも「検討中です」と答えた。

 長島 1月14日に3者で打ち合わせをします。次回は1月31日午後1時45分から行いますが、打ち合わせでその次の予定を決めます。

 午後3時から開かれた公判は、午後5時30分に終了した。

 ※平成12年4月15日、早来町の町民の森で、橋向香さんの遺留品(眼鏡ケース、ヘアピン、車の鍵など)が焼損された状態で見付かった。早来の町道本郷通り線は、4月10日夜から11日にかけて、大雨で土砂崩れが生じたと報道された。 







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