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恵庭OL殺人事件 控訴審第11回公判 後編 取調官からの自白強要を訴えた大越被告


 
「首を横に振ると、横に振れるなら縦にも振れるだろうと言われた」
平成12年3月17日午前8時20分頃、恵庭市北島の道路わきで、苫小牧市に住むOL・橋向香さん(当時24)の焼死体が発見された。
逮捕、起訴されたのは、橋向さんの同僚で日本通運札幌東支店キリンビール千歳工場内構内課に勤務していた大越美奈子被告。15年3月26日、札幌地裁の遠藤和正裁判長は、殺人と死体損壊の罪に問われた被告に対し「犯行は合理的な疑いを挟む余地なく認定できる」と断罪、懲役16年の判決を言い渡した。
被告は捜査段階から一貫して無実を主張、1審判決を不服とし札幌高裁に即日控訴した。
札幌高裁(長島孝太郎裁判長)は、1月31日午後1時15分から「恵庭OL殺人事件」の控訴審第11回公判を開いた。
以下、弁護人による被告人質問の後編。
秋山賢三弁護士(以下、秋山) この墨てきについてお聞きしたい(伊東秀子弁護士が大越被告に2つの墨てきを見せる)。この2つの墨てきに覚えはあるか。
大越美奈子被告(以下、大越) 何となく覚えている。
秋山 買った覚えは。
大越 はい、あります。
秋山 あなたの部屋に置いていたものと同じか。
大越 両親が持ってきたものであれば、同じだと思う。
秋山 あなたの部屋を写した写真12、14ですが、ここに墨てきは写っていますか。
大越 はい。写真12の左上の赤い瓶のところにあるのがそうだと思います。14では右側の箱の横にあるのが青い(墨てき)ものです。
秋山 検察官から、墨てきのどちらかが3月15日に買ったものでないかと聞かれ、あなたは違うと答えている。覚えていますね。
大越 はい。
秋山 甲331号証の写真左側に写されているビブロスのレシートは、文具315円となっており、あなたが買い物をしたというのが検察官の主張だ(と2つの墨てきを示し)。これはいくらですか。
大越 300円です。
秋山 こちらは。
大越 300円です。
秋山 2つの墨てきは一緒に買ったのか。
大越 はい。
秋山 あなたは札幌で買ったと言っているがどこか。
大越 大丸(藤井)で買った。
秋山 その時のレシートは。
大越 あるかどうか、覚えていない。
秋山 2つの墨てきを一緒に買えば、600円に消費税を加え、630円になりますね。
大越 はい。
秋山 3月15日のビブロスのレシートはまず値段が違う。ビブロスのレシートは消費税込みで330円になっている。
大越 はい。
秋山 3月15日のビブロスのレシートは、あなたの買い物と関係ないのか。
大越 はい。関係ありません。
秋山 場合によっては偽物ということか。
大越 私には関係ないものです。
秋山 (殺害後)橋向さんの車は、JR長都駅の南側にあった。平成12年2月5日、職場の送別会があり、女子だけで2次会をした。
大越 はい。
秋山 1次会の場所は。
大越 キリンビール千歳工場内のレストランでやりました。
秋山 2次会の後、あなたは自分の車で橋向さんを長都駅に送って行ったのか。
大越 はい。
秋山 その時、橋向さんの車はどこに置いてあったか。
大越 線路を挟んで駅の北側の駐車場にあった。
秋山 2月5日以外に橋向さんがあなたの車に乗ったことは。
大越 はい。ありました。
秋山 いつ。
大越 平成12年1月に女子だけでした新年会で乗せた。
秋山 新年会の帰りは。
大越 橋向さんの車は会社の駐車場にあったので、そこまで乗せていきました。
秋山 (元同僚女性の)Aさんの送別会の時は。
大越 11年秋に札幌でやりました。
秋山 帰りは。
大越 私はJR千歳駅に車を止めてJRで行きました。橋向さんは車を長都駅に止めて行った。帰りはまずAさんが車で私と橋向さんを長都駅まで送ってくれた。長都駅から千歳駅までは、橋向さんの車で送ってもらった。
秋山 その時、橋向さんの車が止めてあった場所は。
大越 さきほど話したのと同じ、長都駅の北側の駐車場に止めていた。
秋山 ところが本件発生後、橋向さんの車はいつもの北側の駐車場ではなく、駅南側のしかも道路上に止まっていた。普段の橋向さんの行動から考えられることか。
大越 私はさきほどの2回しか見ていないので、ほかの時は分からない。
秋山 あなたが真犯人だとすれば、橋向さんの車が長都駅にあった以上、どこかに行かないと殺害できないことになる。
大越 はい。
秋山 あなたが橋向さんの車に乗ったならば、歩いて戻らなければならないことになる。
大越 はい。
秋山 橋向さんの車種は。
大越 三菱のパジェロ・ジュニアです。
秋山 特徴は。
大越 四角い形です。
秋山 4輪駆動で車高が高い。
大越 はい、そうです。
秋山 あなたと橋向さんが2人でどこかに行くとなれば、あなたが橋向さんの車に乗るのか。それとも分からないか。
大越 はい(分からない)。
秋山 あなたが橋向さんの車で長都駅に行ったことはあるか。
大越 ありません。
秋山 検察官のストーリーによれば、あなたが橋向さんを殺害し、火を点け、ガソリンキングで給油したことになっている。この場合、いずれかの時点で橋向さんの車を長都駅に1人で戻したことになるが、現実に可能なことか。
大越 考えられません。
秋山 あなたは検察官から橋向さんの車を戻したかどうか、聞かれたか。
大越 聞かれたことはありません。
秋山 車のことを立証しなければ、あなたを犯人として断定できないのでないか。
大越 そうだと思います。
秋山 遺体発見現場と長都駅は直線距離でも20キロはある。時間的に無理ではないか。
大越 行き来したことがないので(自分には)無理だと思う。
秋山 1審判決ではこのことに触れられていない。あなたは知っているか。
大越 知っています。
秋山 1審で裁判所は何も説明していない。どう考えるか。
大越 私が犯人だと言うならば、なぜそこに車があったのか説明してほしい。
秋山 控訴審第9回、第10回公判の検察官尋問で、あなたが答えたA君(大越被告が元同僚の板持貢氏と交際する前に付き合っていた男性)のことに対し、誤解があると思うので聞く。あなたが結婚しても良いと思っていた相手はだれですか。
大越 A君のことです。
秋山 あなたが1審で結婚したかったと言ったのはA君で、あなたは板持君とはすぐに結婚したかったのではないということを言いたかったのか。
大越 はい。
秋山 控訴審で(初めて)A君の名前を出したいきさつは。
大越 1審判決の認定は、私の結婚願望(を持つ相手)を板持さんにすり替えられるかのように解釈された。そうではないことを分かってほしかった。
秋山 1審判決はあなたが犯行を犯す動機のように認定されたということか。
大越 はい。
秋山 あなたは私にも最初から洗いざらい話してくれなかった。ひとつひとつ答えるタイプではないということか。
大越 そう感じられたならばそうなのでないでしょうか。元々自分のことあまり話さないタイプなので、そうだと思う。
秋山 誤解されてはいけないので、あなたはA君の名前まで出して述べたのか。
大越 はい。
伊東 私から2つ聞きます。あなたが札幌の大丸と言ったのは、大丸藤井からセントラルに名前を変えた店のことではないか(正式な店名は大丸藤井セントラル)。
大越 はい。
伊東 セカンドバッグとは手の付いていない小さなバッグのことを言うのではないか。
大越 バッグの呼び名を聞かれても、ショルダーバッグやリュックくらいし分かりません。
ここで長島裁判長が20分の休憩を宣言した。
休憩を終えて、まず長島裁判長が弁護団に顔を向け、「1月31日は(1月14日に裁判官、検察官、弁護人の3者が次回公判の打ち合わせをした)前回の打ち合わせで、検察官の被告人質問は終わらなくても、弁護人の被告人質問はきょうで終わらないかということを話し合いましたね」と確認。
弁護団は弁護人の被告人質問が1月31日で終わらないことを裁判長に報告。
続けて裁判長は弁護団に対し「必要だということでずるずると被告人質問が長くなっている。裁判所としては被告人質問が必要だと言われれば、結構ですというスタンスでやってきたつもりです。言い方は乱暴かもしれないが、際限なくということにならず、可能ならきょうで終えてほしい」と告げた。
ここで弁護団の7人が協議、迅速に被告人質問をすることを裁判長に伝えた。
秋山 (遺体発見現場付近の地図を被告に見せて)あなたが、発見現場に行ったことはありませんね。
大越 はい。ありません。
秋山 この辺の農業用地に行ったり、車に乗せてもらったことは。
大越 ありません。
秋山 (道道46号の)江別恵庭線の東側の農業用地に知人や親戚はいますか。
大越 いません。
秋山 この付近の(恵庭市道)南9号など道路の名前を聞いたことは。
大越 いいえ、ありません。
秋山 (元同僚女性の)Aさんの家をこの地図のどの辺か、指し示すことができるか。
大越 いいえ、できません。
秋山 あなたは1審で国道274号を通ったことはあると述べている。国道274号の南側田園地帯に行ったことは。
大越 ありません。
秋山 (地図に記載されている範囲で)千歳川には橋がありません。国道274号と現場は距離的に近いが、橋がないため、現場に行くことは容易でありませんね。
大越 行ったことがないので分かりません。
秋山 現場には目印となるような建造物がないので分かりにくくないか。
大越 行ったことがないので分かりません。
秋山 取り調べのことについて数点聞く。逮捕前から任意で調べられていましたね。
大越 はい。
秋山 あなたが犯人として疑われていると気付いたのはいつか。
大越 3月22日に(早来町で喫茶店Tを経営する)Tさんに教えてもらった時です。
秋山 4月14日の任意同行の頃は、被疑者として捜査が進められていることを分かったか。
大越 任意同行された頃に分かりました。
秋山 自分の車から出てきた物のことを警察官から聞かされたか。
大越 いいえ、ありません。
秋山 車に被害者の指紋や毛髪がなかったことは。
大越 知らされていません。
秋山 現場で行ったタイヤ痕の対照結果は。
大越 知らされていません。
秋山 現場にあなたの車のタイヤ痕がなかったことは。
大越 知らされていません。
秋山 取調官から自白を求められたことは。
大越 あります。お前がやったんだろうと言われたので、やっていないと首を横に振ると、横に振れるなら縦にも振れるだろうと言われた。
秋山 あなたが犯人である明確な証拠は提示されたか。
大越 示されていません。
秋山 どのような証拠があると言われたのか。
大越 いっぱいあると言われたが、何も明確には示されなかった。
秋山 あなたは4月26日に入院して、5月22日に退院し、5月23日に逮捕されている。この間、体調は良くなかったのですね。
大越 はい。
秋山 あなたが自白しなかった原因は。
大越 私はやっていないからです。
秋山 自白すれば、楽になると考えたことは。
大越 あります。
秋山 あなたのひとつひとつの弁解は聞いてくれましたか。
大越 ほとんどありませんでした。
秋山 弁解の時間は十分にあったのか。
大越 ほとんどありませんでした。
秋山 あなたが午後11時30分頃、ガソリンキングで給油をしていたことを踏まえれば、11時15分までしか(遺体発見)現場に存在することはできない。警察官や検察官にこのことは聞かれたか。
大越 一切、聞かれていない。
秋山 あなたが2ドアの車の後ろ(の座席)に回って首を締めたことの動機は取調官に聞かれたか。
大越 何も聞かれていません。
秋山 原判決では遺品を焼かず、家に持ち帰った後、町民の森で焼いたことにされている。このことは聞かれたか。
大越 聞かれていません。
秋山 殺害後、橋向さんの携帯を奪い、板持さんや職場に電話したことの理由は取調官に聞かれたか。
大越 聞かれていません。
秋山 橋向さんの携帯は電源を切って、橋向さんのジャンパーに入れたことになっている。これは聞かれたか。
大越 聞かれていません。
秋山 あなたとしては原判決を到底承服できないが、弁明する機会も与えられず、調書を作成されている。
大越 はい。
秋山 1審判決が認定したようなことはやっていないのか。
大越 はい。
伊東 だんだん裁判の終わりが近づいているので、元気良く答えてください。
大越 はい。
伊東 橋向さんが殺害されたことをあなたが確定的に知ったのは、3月18日の昼頃か。
大越 はい。知人の新聞社の人から記者発表があったと教えてもらった。
伊東 その時、どう思ったのか。
大越 まさか、信じられないという思いだった。
伊東 携帯電話のことなどから自分が疑われるとは思わなかったか。
大越 思いませんでした。
伊東 なぜ、自分が容疑者と思われることはないと考えたのか。Tさんからあなたの名前が犯人として出ていると聞いた時の理由はどのようなものだったのか。
大越 板持さんとの三角関係のもつれと聞いた。
伊東 あなたはそのことを聞いた時、(橋向さんの携帯に)リダイヤルしたことと関連して考えなかったか。
大越 考えませんでした。
伊東 なぜ。
大越 多数、(橋向さんの携帯に)掛けた認識はなかった。
伊東 回数の問題だけなのか。電話が橋向さんにつながっていると考えなかったためではなかったのか。
大越 はい。
伊東 なぜ、電話が橋向さんに通じないと思ったのか。
大越 リダイヤル機能を使って掛け、すぐに切っているので、電話がつながったとは思っていなかった。
伊東 相手に電話を掛けている意識はなかったということか。
大越 はい。
伊東 判決では橋向さんに対する架電が220回となっている。しかし、(通話料金として)課金されたのは15回で、このうち3回は留守電につながって課金された。あなたは1回も橋向さんの声を聞いていないと証言している。
大越 はい。聞いていません。
伊東 最初は、板持さんと橋向さんが会っているのではないか、という理由で掛けたのか。
大越 初めはそうだった。しかし、それ以後、(自分が)考えていることとやってることはつながっていない。
伊東 車の中で(2人のことを)意識していたのか。
大越 何を考えていたのか、思い出せることはない。
伊東 橋向さんに迷惑を掛けているとの考えはなかったのか。
大越 はい。つながっていなかったので。
伊東 橋向さんが殺害されても、自分が電話を掛けていたことの認識にはつながらなかったのか。
大越 はい、そうです。
伊東 いつ、どこで橋向さんのリダイヤル記録を消したのか。
大越 3月16日、ビブロスの店内に入る前、駐車場で消した。
伊東 自分自身では230回という認識はなかったのか。
大越 はい(ここで長島裁判長は大きく首を左右に傾げた)。
伊東 事件直後からあなたは尾行されていたが、警察ではなくマスコミだと思ったと証言している。
大越 はい。
伊東 3月22日以降、警察があなたを尾行していると確定的に知った時期は。
大越 任意同行されてからです。
伊東 それまで尾行しているのはマスコミだと思ったのか。
大越 はい。
伊東 あなたは(会社に出入りする)ドライバーから「君が犯人だったんだね」と聞かされたと証言している。この時も、警察が尾行しているとは思わなかったのか。
大越 はい。家の前にいるのはマスコミの人だと思っていた。
伊東 あなたはマスコミにつけられていた苦しい気持ちを相談したのか。
大越 いいえ、しませんでした。
伊東 なぜか。
大越 両親も(当時は)ピリピリしていたので、しなかった。
伊東 ほかの人にも話はしなかったのか。
大越 していません。
伊東 灯油を買ったことを話したことは。
大越 いいえ。
伊東 灯油を捨てたのは、誰のアドバイスも受けずにしたことか。
大越 自分で判断してやった。
伊東 (灯油を捨てる前に)誰かに相談していたら違う行動を取っていたのではないか。
大越 誰かに相談できる性格なら、こんなことにはならなかったと思う。
伊東 相談できなかったのは自分のことを人に話せない性格のためか。
大越 そうだと思う。
伊東 あなたは4月14日に任意同行された。疑われたのが分かったのはいつか。
大越 (尾行され)一番気持ちが悪いと思っていた車が千歳署の前に止まっていたので分かりました。
伊東 4月15日の精神状況は。
大越 朝から怒鳴られていたので、投げやりな状態に追い込まれ、犯人でもいいやと思う寸前でした。
伊東 弁護人はあなたにやったのなら本当のことを言いなさいと言ったか。
大越 やったなら本当のことを言いなさい。やっていないなら、うその自白を絶対してはいけないと言われた。
伊東 あなたは(勤務していた)日通からどのような状況で解雇を伝えられたか。
大越 支店長から辞めてほしいと言われた。
ここで裁判長は伊東弁護士に「何のためにいまの質問をしているのですか」、と問いただした。
伊東 当時の精神状態を聞くためです。あなたが4月24日にH病院で診察を受けたのはなぜか。
大越 その前の週の金曜日に倒れ、伊東先生が問い掛けても、私はほとんど反応がなく、精神科の医師に診てもらった方がいいのではないか、と病院を紹介してもらったためです。
伊東 あなたは犯行を否認したまま逮捕されていますね。
大越はい。
伊東 あなたが道警に逮捕され、拘留されている時、リダイヤル電話のことが大々的に報道されたことを知っていたか。
大越 いいえ。
伊東 弁護士に聞かされたのか。
大越 はい。
伊東 弁護人に橋向さんの架電のことを初めて聞かされたのは。
大越 逮捕後だと思う。
伊東 その時、あなたはどう答えたのか。
大越 掛けていないと答えた。
伊東 なぜ、うそをついたのか。
大越 私の中で電話をたくさん掛けたという認識がなかったので、掛けていないと言ってしまった。
伊東 私はあなたにNTTから携帯電話の下4けたがバツ(隠されている)になっているあなたの通話記録を見せた記憶がある。
大越 そこまで細かい記憶はありません。
伊東 あなたは弁護人に追及された記憶がないか。
大越 ありません。
伊東 弁護士との接見時に残っている記憶は。
大越 その時、その時で私の状況は伝えたと思う。
伊東 積極的にウソをついたという気持ちではなかったのか。
大越 はい。
伊東 私にもう1度、携帯電話を掛けたことを聞かれたのはいつか。
大越 8月か9月と記憶しています。
伊東 この時もあなたは、私に掛けていないと言いましたね。
大越 はい。
伊東 あなたは9月26日に泣きながら電話を掛けたことを話してくれた。その時の状況は。
大越 本当に掛けていないのか、隠していることはないかと聞かれ、話しました。
伊東 電話のことで気になっていたのか。
大越 気にはなっていました。
伊東 その時、灯油のことも話しましたね。
大越 はい。
伊東 あなたが電話を掛けたことを話す前に、通話記録や着信記録は見せられているか。
大越 見せられていません。
伊東 その時、あなたは灯油に関する資料を見せてもらったり、説明を受けたか。
大越 いいえ。
伊東 弁護人があなたに警察で調べた灯油の成分が違うと言ったことはなかったか。
大越 記憶にない。
伊東 電話や灯油のことを話せなかったのは弁護人があなたから離れてしまうと考えたためか。
大越 はい。
続いて弁護人・新川生馬氏(以下、新川)が質問。
新川 あなたは3月15日の夜から16日の未明にかけて橋向さんに電話を掛けている。この時期に社宅を片付けていたことは矛盾しないか。
大越 片付けなければという気持ちがあった。
新川 架電回数が減っているのは少し落ち着いてきたためか。
大越 自分に言い聞かせようという気持ちがありました。
新川 あなたは20リットル入りの灯油ポリタンクを運んでいたが、軽々と容易に運んでいたのか。
大越 えっちらおっちらという感じだった。
新川 社宅の玄関と(灯油を積んでいた)車の距離は何歩くらいだったか。
大越 2、3歩の距離まで近づけて止めることができた。
新川 ポリタンクをどのように給油タンクまで持って行ったのか。
大越 両手でカニさん歩きのようにして運んだ。
新川 灯油を入れるタンクは玄関の中にあったのか。
大越 はい。
新川 どのようにしてタンクに給油したのか。
大越 ビールケースを重ねて置き、その上にポリタンクを乗せ、スポイト(給油ポンプ)のようなものでタンクに入れた。
新川 あなたが買い直した(10リットルの)ポリタンクには、灯油が9.5リットルしか入っていなかったと検察官は言っている。104号証の写真7にはポリタンクの左側給油口、写真10には右側の給油口が撮影されており、両方の給油口から灯油がにじみ出ている。あなたは給油する時、両方の給油口から入れるのか。
大越 片方しか使いません。
新川 両方の口から灯油がにじみ出ている理由は。
大越 車で運んだ時に漏れたのではないか、と思う。
新川 社宅に置いてあった白のポリタンクは1種類か。
大越 1種類だと思うが、最後の方にもらってきたものは少し形状が違っていたと思う。
新川 なぜ、そう思うのか。
大越 検査を手伝いに行って、ポリタンクをくれたがんセンターの人がそういう話をしていたと思う。
新川 ポリタンクは何種類か。
大越 2種類だったと思う。
新川 ポリタンクに目盛りは付いていたか。
大越 付いていなかった気がする。
これで弁護人の被告人質問は終了した。
長島裁判長は次回公判で、被告人質問をする検察官に「質問時間はどのくらいになりますか」と確認。検察官は「正確には分かりませんが、1時間から2時間になると思います」と答えた。
最後に裁判長は大越被告に、「次回公判は2月24日午後1時15分から行います。検察官からの質問と、裁判所からも質問をさせてもらいます。それであなたに対する質問は終わると思います」と伝えた。







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