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コンサドーレ札幌 10年目のフロント改革 中編


07月19日(火) 15時55分
 



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HFC取締役・水澤佳寿子氏
 ベンチャー企業経営者から転身したHFC取締役・水澤佳寿子氏が明かす変革への思い。

 中編は6月にHFC取締役(営業兼広報担当)に就いた水澤佳寿子氏のインタビュー。以下、就任までの経緯や抱負を語る同氏との一問一答。  ――水澤氏がコンサドーレの役員就任を決断した理由は。

 水澤 3月21日まで実は海外に行っていました。たまたま羽田空港で時間があったのでメールを確認していたら、児玉社長から3行くらいの非常に短いメールが入っていました。

 以前から「どうだい?」と本気ともつかないようなお誘いはあったので、「外からお手伝いする分には」とお答えしていました。HFCの中に入って常勤で仕事をすることを全くイメージしてなかったためです。これまで19年間ずっと休むことなく突っ走ってきたので「今年は遊ぶぞー」と思っていました。

 ところが、頂いたメールには関係者や株主に承諾を取ってあるので、あとは水澤さんが「うん」と言ってくれるだけです。「うん」と言ってくれなかったら社長を辞退するというようなことが書いてあったので、本当に慌てまくりましたね。

 その後すぐにお会いして話したのですが、千歳から札幌に行くまでの時間にメールの内容を反芻しました。社長が決まるまでに人選のご苦労があったというのを聞いていたので、社長を辞退するとまでおっしゃられた言葉が私にはとても重たくて、私が断ったことで、また社長の人選を一からやるというのはどうなのかという気持ちがありましたね。それに対する責任を感じてお引き受けするということにしました。

 ただ、周りは大反対だし、知らない世界でもあった。私自身がのんびりしたいという気持ちもあったので、心の整理のないまま株主総会を迎えました。

 ――6月16日には取締役に就任された。

 水澤 3月25日付けでは執行役員で、6月16日の臨時株主総会で取締役になりました。執行役員という形でお受けした時、実は身辺、特に仕事面では整理できていないことが多かったのです。たまたま私が仕事を辞めたということで、講演の依頼が何本か入っていたほか、ベンチャー企業数社からコンサルティングをやってほしいというオファーがあり、やりますと返事をしていたものがいくつかあったので、中途半端にできないことがある旨を児玉社長に報告し、最初の1ヵ月間は給料を辞退してこなしました。

 ――これまでの仕事とは随分異なるが…。

 水澤 給料をもらっている以上「知らないので」「分らないので」というのは言いたくないと考えました。「1円でももらっている以上はプロだ」という認識に立てば、分らないのは自分の問題で、自分に商品価値がないということになります。そのため私はコンサドーレの執行役員で入るときに自分に一つ目標を掲げました。私はこれまで創業経営者という形でやってきて、その場面では足りない能力、足りない部分をお金で調達できたのです。例えば自分に営業力がなければ営業に長けた人を迎え入れるとか、財務の知識がなければ財務のプロフェッショナルを雇うとかです。創業経営者の場合、自分の能力が足りなくても調達さえできれば何とかできるのです。

 しかし取締役として組織の一員に入りこんだときに、自分はここの能力が足りないと分っても簡単に調達はできないじゃないですか。だとすると、私の今年1年の目標は、私自身のビジネスマンとしての商品価値を高めることだなと思ったのです。

 コンサドーレの組織の一員としてビジネスマンとしてやっていく上で、まず自分に何が足りないかなと考えたときに、プロスポーツマネジメントの知識でした。これは自分の中で早いうちに解決しなくてはならない問題だったので、ちょうど3週間後に開講する講座を見つけたので、「京都か…」と迷ったのですが、毎週金曜日に同志社大学での講義を受けていました。

 計15回のコースで、入社して3、4ヵ月の間に完了し、受けて良かったと思うポイントがいくつもあります。ただ、1回90分の授業は往復飛行機代、宿泊代、授業料を合わせて自腹で10万円以上かかりました。この講義は真剣に聞かなきゃいけないなと(笑)、ぼんやりもできない追い詰められた状況の中での受講でした。

 ――プロスポーツマネジメントを勉強し、これまでの経営と異なると感じたのはどのようなことか。

 水澤 経営という部分の原理原則は変わらないのですが、違うなと思うのが、普通の一般企業は箱の中に組織があって、その中の人たちは同じ目的に向かう人たちですよね。スポーツマネジメントの場合は同じ箱の中に2つの異なる組織が混在していて、1つ目は売る、2つ目は勝つという2つの目的がある。ところが、両輪がうまく噛み合っていないとチグハグになってしまう。そのマネージメントが難しいし、意思統一を図っていくのも難しい。この点に関する漠然とした気持ちがスポーツマネジメントスクールに行って整理できました。

 また、サポーターの位置付けもそうです。これまでは考えを上手く整理することができなかったのですが、スクールに通い「サポーターは財産」という見方ができるようにうまく咀嚼できました。

 さらには、自治体や地域との関わり方。今までは民間企業だったので、取引先だったり税金を納める関係ではありましたが、共に取り組むスタンスには立ったことがなかったので、自治体との関わりの大切さなども理解できましたね。

 それから京都まで通って勉強したことで、阪神タイガースのフロントスタッフや、神戸ラグビー部、ワコールのテニス部監督、京都パープルサンガのフロントスタッフなど、関西スポーツチームや実業団に携わる方々との新たな人脈も生まれ、とても刺激的でした。

 以下、後編に続く。







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