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控訴棄却か、逆転無罪か 明日、恵庭OL殺人事件控訴審判決


 
被告は一貫して無罪を主張してきたが、1審は有罪判決が下された。
平成12年3月17日午前8時20分頃、苫小牧市に住むOL・橋向香さん(当時24)の焼死体が恵庭市北島の市道脇で発見された。
道警は同年5月23日、事件発生直後からマークしていた大越美奈子容疑者(当時29)を殺人と死体損壊の疑いで逮捕した。
大越容疑者は、日本通運の札幌東支店キリンビール千歳工場構内課に勤務する橋向さんの同僚だった。大越容疑者は、橋向さんが殺害されるまで交際していた同僚・板持貢氏のかつての恋人だったため、殺害の動機はこの男性を橋向さんに奪われた怨恨とされた。
逮捕から公判まで一貫して容疑を否認してきた大越被告は、最終弁論でも「私は橋向さんを殺害したとして起訴されましたが、殺したり遺体に火をつけて燃やしたりしていません」と証言したが、札幌地裁(遠藤和正裁判長)は15年3月26日、懲役16年(求刑・懲役18年)の有罪判決を言い渡した。
札幌地裁は判決文の「犯罪事実」で次の2点を認定した。
第1 被告人は、平成12年3月16日午後9時30分ころから同日午後11時5分ころまでの間、北海道千歳市、恵庭市又はその周辺において、橋向香(昭和50年4月2日生)に対し、殺意をもって、その頸部を何らかの方法で圧迫し、同人を窒息死させて殺害した。
第2 被告人は、同日午後11時5分ころ、北海道恵庭市北島39番先市道南8号路上において、前記橋向の死体に灯油をかけ、そのころ、同死体に火を放って焼損し、もって死体を損壊した。 大越被告は、1審で非通知で被害者に多数回の無言電話をかけたこと、事件前日に灯油を購入し、この灯油を捨てた後、さらに別の灯油を購入したことを認めた反面、起訴事実を否認し、札幌高裁に控訴した。
1審・札幌地裁は、上記「犯罪事実」に記載したように凶器や殺害場所を特定できず、被告と犯行を結び付ける直接証拠を欠いたが、多数の状況証拠をもとに被告の殺人と死体損壊を認定した。
主な状況証拠は、次のようなものだった。
・被告人は3月16日午後9時30分頃、被害者と連れ立って勤務先を退出、一緒に駐車場に行った最終接触者。
・殺害後も使用された被害者所有の携帯電話は、千歳市や早来町で電波を捕捉されており、3月17日の被告人の移動経路と一致する。
・被害者の携帯電話は、3月17日午後3時5分頃、勤務先2階の女子従業員休憩室内の被害者使用ロッカーから発見されており、同日午前中に1人で休憩室に入った被告人が携帯電話をロッカーに戻した可能性がある。
・被告人所有の日産「マーチ」助手席グローブボックスから被害者が女子従業員休憩室ロッカーに使用していた鍵が発見された。
・被害者の遺留品であるエンジンキーや眼鏡ケースなどが、4月15日、「早来町民の森」で残焼物として発見された。当時、逮捕前の被告人は警察官の監視下にあったが、監視は車両を中心とする間断的なものにすぎず、被告人が監視を免れ、遺品を焼損投棄することは可能。
・被告人車両の助手席床マットから灯油成分が検出された。運転中の振動などで漏れることは不可解であり、被害者の焼損に使用した灯油が付着した可能性が高い。
・被告人は3月16日午後11時36分に恵庭市内のガソリンスタンド「ガソリンキング」で給油しているが、遺体発見現場で午後11時5分頃着火し、11時10分頃に出発すれば、制限速度を厳守しても、23分ないし25分で「ガソリンキング」に到着し、11時36分に給油伝票を受領することは優に可能。
・被告人は被害者と駐車場で別れ、5分ないし10分後、恵庭市の書店「ビブロス」で立ち読みしたと供述しているが、夜間勤務の店員6人全員と客100人から聞き込み捜査をした結果、供述を裏付ける目撃情報はなく、アリバイは成立しない。
上記の状況証拠を踏まえ、札幌地裁は「被告人単独で被害者を殺害し、その死体を焼損したことは合理的な疑いを差し挟む余地なく認定できる」とした。
しかし、13回に及んだ控訴審公判では、新たな事実も判明している。
控訴審第5回公判では警察が証拠として提出しなかった「ガソリンキング」の監視カメラが客を撮影したビデオテープが放映された。このテープには、3月16日に給油した被告人の車が写っており、ビデオテープに表示された時間は、11時28分50秒と11時30分20秒だった。弁護人は原判決で遺体発見現場を離れたのが11時10分頃と認定している以上、被告人が現場から「ガソリンキング」に到着することは不可能である重大な証拠と主張している。
また弁護人がブタを使った燃焼実験の録画テープも法廷で公開されたが、10リットルの灯油を用いて1時間30分余り焼いた結果、遺体と同様にブタの内臓が炭化することはなかった。
ただし、ブタの燃焼実験の結果を事件での遺体焼損と同様に論じることができるのか、は裁判官が判断することである。
またドライブを趣味としていた被告人は、平成10年と11年に30キロ未満と41キロオーバーの速度違反をしており、裁判官が遺体発見現場からガソリンキングまで20分で到着することが可能と判断することもあり得る。
一方、被告人は被害者に対する多数回の架電、灯油の買い替えなど自身にとって不利となる事実を認めた上で、犯行を否認している。
また遺体発見現場では被告人車両のタイヤ痕や被告人の足跡が検出されておらず、車両内からも被害者の血痕や毛髪などは出てきていない。
さらに警察は日本通運関係者51人に対し、アリバイ捜査を行ったが、それは被告人が逮捕された後の6月9日のことであり、捜査報告書に虚偽記載されたものは13人に及んだことが公判で明らかになっている。
弁護後側は控訴趣意書で、原判決の中では、「被告人は殺人を犯した」との事実認定はなされてはおらず、「被告人は殺人を犯した可能性がある」との認定だけしかなされてはいない。であるのに一審裁判所は、あえて憲法・刑訴法に違反し、被告人に対して不当な有罪判決をしてしまったと指摘している。
札幌高裁は9月29日午後1時30分から控訴審判決公判を開き、長島孝太郎裁判長が大越被告に判決を言い渡すが、前述したようにこの事件には、被告人の殺人と死体損壊を証明する直接証拠が見られない。
札幌高裁は刑事裁判の原則である「疑わしきは被告人の利益に」従い逆転無罪を言い渡すのか、それとも控訴を棄却し1審判決を支持するのか――判決は明日下される。







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シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/news/series_cd13.html






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