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ジャーナリスト・惠谷 治「独裁者の秘密を徹底検証ドキュメンタリー金正日」
独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第14回


02月09日(木) 00時00分
文:惠谷 治 



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「苦難の行軍」ルート図(原図製作・惠谷治、デザイン・鍵本博子)
 第1部 金正日の出生の秘密を暴く

 第1章 抗日パルチザン時代の金正日の母親の活躍

 「苦難の行軍」に参加した金正日の母

 1938年11月25日、中共東北抗日連軍第1路軍総司令の楊靖宇は通化省濛江縣の南牌子密営で、金日成と初めて対面した。この会談で楊靖宇は、7月に決定した「方面軍」への改編を伝えた。

 前年の6月、楊靖宇がもっとも信頼していた第1路軍第1師の「師長」だった程斌が、部下を連れて関東軍に投降するという衝撃的な事件が起こり、第1路軍の軍事機密が日本側に漏洩したために、楊靖宇は、急遽、第1路軍の編成替えをおこなったのだった。第1路軍の第1から第6師までを解消し、第1路軍を警衛旅団1個と第1から第3までの3個方面軍とし、第1路軍第6師の「師長」だった金日成は、改めて「第1路軍第2方面軍」の「指揮」に任命された。

 第2方面軍の参謀長は、ひき続き林水山が務め、金日成を護衛する警護中隊が新設され、呉白龍がその中隊長となった。この時点で、金貞淑は警護中隊に転属させられたと思われる。第2方面軍は、第7連隊(呉仲洽)、第8連隊(孫長祥)、第9連隊(馬徳全)、第10連隊(徐学忠)の4個連隊で構成された。

 その直後の12月初旬、金日成は濛江縣南牌子から、警護中隊、第7連隊、第8連隊を率いて、北朝鮮で有名な「苦難の行軍」を開始した。

 「苦難の行軍の内容を一言で要約すれば、厳酷な自然とのたたかい、ひどい食糧難と疲労とのたたかい、恐ろしい病魔とのたたかい、奸悪な敵とのたたかいが一つにからみあったものであったといえます」(『世紀とともに』第7巻・平壌版147頁)

 以上は金日成の解説である。「檀の木も裂ける」といわれる満洲の酷寒の冬季行軍に参加した金貞淑について、戦友の金明花は次のように回想する。

 「苦難の行軍の時にも、かの女が釜をかついで歩きながら、敵との激しい戦闘のあいまあいまに、戦友たちのために湯を沸かしたり、食事を保障したりした」(金明花「金貞淑同志を回想して」『朝鮮人民の自由と解放』362頁)

 金貞淑は児童団指導員や潜入工作員としてだけではなく、炊事隊員としての任務も忠実に果たしていたのである。

 満洲の関東軍は、猛烈な攻撃と執拗な追撃を組み合わせた「猛攻長追戦術」で抗日パルチザンたちを苦しめたが、壁蝨のように執拗に喰い下がる日満軍警の戦法を、金日成たちは「ダニ戦術」と呼んでいた。

 「われわれの部隊は雪中行軍をつづけ、1939年の1月初には、ついに長白県七道溝の奥地に至りました。〈略〉結局われわれは、〔第2〕方面軍を3つの方向に分散することにしました。司令部は警護中隊と機関銃小隊を率いて青峰密営を経て佳在水方面に向かい、呉仲洽の第7連隊は長白県上崗区一帯に進出して活動し、第8連隊と独立大隊は撫松県東崗区一帯で活動することにしました」(『世紀とともに』第7巻・平壌版153、155頁)

 金日成と行動することになった警護中隊と機関銃小隊には、古参隊員は少なく、少年中隊出身の若い隊員がほとんどだった。

 このときの若い隊員たちが、現在の朝鮮人民軍のきらめく将星になっている。判明している隊員は、伝令長の金鳳錫、伝令兵の池鳳孫と全文燮、李乙雪、李斗益、白鶴林、李五松、金成国、姜渭龍、金龍淵、崔仁徳、韓千秋、金基洙、金元逸などである。そして、警護中隊長の呉白龍、金日成と同年の韓益洙も常に行動をともにした。(つづく)







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