先日
こちらで紹介した
「HEAT WAVE」のボーカル、
山口洋のソロライヴを2月12日、札幌市中央区の「くう」で聴いてきました。
会場は満員。予想通り熱いライヴではあったのですが、予想していなかったのは、その「熱さ」を「温かさ」がくるみ込んでいるようなステージだったということ。言ってる意味が分かります?
10年ほど前にソロライヴを観た時には、本人の中でたぎるものを直接叩きつけてくるようで、それはそれで感動ものだったのですが、今回はそのたぎるものを客席には暖かいものとして伝えるようなステージだったのです。
本来の歌詞をその場の雰囲気に合わせて変更したのを始め、その場の気持ちを即興のメロディーで口ずさんだり、何かよい意味でゆとりを感じました。音楽を楽しんでいる気持ちが心地よく伝わってくる。
「人間が丸くなった」と言ってしまえば「ロックをやる人としてそれはつまらない」と思われるかもしれないので、彼の場合は「懐が深くなった」という言い方が良いかもしれない。
山口のソロツアーは今後も来月まで続きますが、どの会場でもその日その時に会場の空気を感じながら曲目を決めたり、即興が飛び出す模様。
さて今回、山口がこうしたソロツアーを行っているのは、年内に発表が予定されている「HEAT WAVE」のニューアルバムの制作のためであるそうです。
ひとつは、このツアーで全国を周りながら新しい曲を作ろうというもので、札幌でも「未完成」という断りを前提に何曲か披露してくれました。そうした曲は、ツアーを周りながら各会場で少しずつ姿を変え、アルバムで完成形が聴けることになるでしょう。また、このツアーで感じたことが後に曲になるのもあり得るのではないかと思います。
そしてもうひとつは、そのニューアルバムの制作資金を集めようというもの。つまり、アルバムを心待ちにしている人が「予約」という形で先に代金を支払い、それがアルバム制作の資金になるという事です。
試験的なスタイルでもあるしいろいろと問題もあるかもしれませんが、僕は個人的にはこの方法は「アリ」だと思う。「とにかく、やってみよう」という心意気だけにでも一票を投じたい。
会社と契約しているばかりに、またそこから資金が出されたために会社の都合で自分達の音楽が廃盤になったり、音源が不本意な扱いを受けたりで、本当にその音楽を必要としている人の手に届かないこともままあるワケです。
ならば、自分の好きな音楽を聴くために、そのファンが資金面で協力すれば、作り手と聴き手以外にその音楽をどうにかする権利を持つものはいないワケです。
こうして作られる「HEAT WAVE」のアルバムは、完成次第、予約者に直接発送され、CDショップにはその1ヵ月後くらいに並ぶとのこと。つまり、資金提供者はいち早く彼らの新曲が聴け、さらにアルバムには自分の名前がクレジットされる特典付き。
予約の申し込みは、山口洋のツアー会場及び、「HEAT WAVE」のホームページにて受付中です。
この新しい試み、「HEAT WAVE」の冒険に賛同する方、または難しく考えずとも彼らのアルバムを楽しみにされている方は、まず申し込んでみては?
■辻 正仁(つじ まさひと) 1966年生まれ。 中学生の頃、ビートルズに憧れ自らも作詞作曲を始める。大学時代はバンド活動と友人の映画作りの手伝いに勤しむあまり、単位の修得を忘れる。北海道のCDショップチェーン「玉光堂」の社員として10数年間勤めた後、2004年退社。現在は自らの音楽活動、執筆活動に勤しむあまり、生計を立てるのを忘れがち。
FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)」のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。