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独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第17回


 
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| 青峰宿営地のスローガン樹木。左上は1961年に発見された当時のスローガン樹木。金日成回顧録『世紀とともに』第7巻のグラビアでは「金正淑同志の筆跡」という説明がある。樹木は保存するためガラスケースで被われ、通常は布でカバーされている。遠足の少年団 (右下)や観光客が訪れるときに、布カバーが引き上げられ、樹木表面の文字を見ることができる(カラー3枚は著者撮影) |
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第1部 金正日の出生の秘密を暴く
第1章 抗日パルチザン時代の金正日の母親の活躍
朝鮮国内で樹木にスローガンを刻む 北朝鮮で「苦難の行軍」と呼ばれる越冬逃避行が終った直後の1939年4月7日、満洲国に駐屯していた関東軍は「関東軍司令官命令」(関作命第1483号)を布告し、「昭和14年度関東軍治安粛正計画要綱」を策定した。その1週間後の4月14日、満洲国治安部も抗日連軍幹部に対する捕殺賞金規定(満作命13号付表)を発表し、楊靖宇(総司令、第1軍軍長)、金日成(朝鮮独立革命軍長)、周保中(2路軍軍長)など抗日パルチザン幹部13人に対して、1万円の懸賞金をかけたのだった(公表された肩書きは正確ではない)。
こうした状況のなかで、金日成が率いる第2方面軍の主力(独立大隊)は、北大頂子から十三道溝に移動し、1939年5月18日、鴨緑江と小白水が合流する付近の「5号鉄砲堰」から国境である鴨緑江を渡河して、朝鮮国内に侵入した。
初日の夜は、白頭山南麓の青峰で野営した。金貞淑が「日帝のスパイ」の濡れ衣をかぶせられた青峰は、通化省臨江縣にあったが、北朝鮮にも青峰という地名がある。満洲や朝鮮には同じ地名が各地に散在しており、混乱することがあるので注意しなければならない。
青峰周辺の林のなかで、1961年に樹木の皮を剥いで書かれたスローガンが19本発見された。そのなかには金貞淑が書いたものがあるともいわれているが、真偽は定かではない。調査報告書によれば、3号樹木には、「日本のファシスト軍閥を打ち負かそう。我らは東北抗日連軍第1路第2方面軍独立営(大隊)営部宿営地」と刻まれているということだが、私が現地で読み切れたのは「抗日大戦勝利万歳」というスローガンだった。
このスローガン樹木を保存するため、樹木の上部を切断してアルゴンガスが注入されたガラスケースで樹木を覆い、通常は日光を避けるために布でカバーされている。スローガン樹木は、その後にも各地で大量に発見されたと報じられたが、青峰以外のほとんどは文面などから判断して、近年に捏造されたものである。事実、その捏造作業に関係した亡命者証言もあるのである。
金日成たちは、青峰から乾滄、枕峰を経て、5月21日、三池淵に至った。そして、朝鮮総督府がゲリラ対策のために建設した40キロあまりの「甲茂警備道路」を白昼に通り抜け、その夜は茂浦で野営した。5月23日明け方、大紅湍で日本軍と遭遇し、1時間ほど交戦したのち、戦闘現場から遁走した。5月末、金日成の部隊は豆満江を越えて、満洲側の長山嶺に脱出した。この朝鮮国内での日本軍との遭遇戦は、北朝鮮の正史では「茂山地区戦闘」と呼ばれている。
「1939年6月、茂山地区の戦闘がおこなわれた直後であった。この時わたしは、病気のため部隊をはなれなければならなかった。急に腕がぶよぶよとはれあがり、そのうえ熱病にまでかかって、からだを動かすことができなくなった。〈略〉わたしを看病するために残った金貞淑同志は、司令官同志の教えたように湯でわたしの腕を洗ったり、松やにと、えぞ松のやにをとってきては火で溶かしてぬってくれたりした」(張哲九「司令官同志のあつい信任といつくしみのなかで」『朝鮮人民の自由と解放』425頁)
最年長の古参女性隊員の張哲九(当時38歳)が病に倒れたため、金日成は朴正淑(青のジョンスク)と白鶴林に看護を命じた。張哲九は安図県五道楊岔の谷間で療養していたが、その後に金貞淑も看護に加わったのだった。ちなみに、白鶴林は1985年から2003年まで長期にわたって社会安全部長(内務相)を務め、人民軍次帥にまで出世している。
金日成は有能な工作員でもあった金貞淑を休ませることなく、次の指示を与えた。1939年6月下旬、金貞淑は4度目の朝鮮潜入を命じられ、第7連隊第4中隊の崔一賢中隊長の掩護班とともに咸鏡北道延社郡に向かった。またもや、金貞淑は女性工作員として活躍したのだった。ちなみに、伝記『金正淑伝』では、張哲九看護と延社郡潜入の時期が逆になっている。(つづく) 






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