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独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第27回


 
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| 金日成たちによるソ連逃避行ルートの風景(著者撮影)。金日成たちは安図縣から和龍縣、汪清縣を通り、琿春縣からソ満国境を超えてソ連領に入ったが、途中で白壁が特徴の朝鮮人の集落に立ち寄ったことだろう。写真は汪清縣で目撃した朝鮮族の家屋で、典型的な満洲の光景のひとつである |
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第1部 金正日の出生の秘密を暴く
第2章 ソ連逃避行の途上で父母は電撃結婚
独断でソ連領への逃避行を開始 「その後、われわれは司令部の位置を孟山村の奥地に移しました。小部隊と工作班は、任務を遂行し次第ここに集結しました。呉白竜の小部隊は数百石の食糧を手に入れて秘密の場所に貯蔵しておきました。トウモロコシ畑を丸ごと買っては実を取って麻袋につめ、富爾河から20キロほど離れた密林の奥に倉庫をつくって蓄えておいたのです。〈略〉ところが、その食糧が全部敵の手に渡ったという報告が飛んできたのです。畢〔書文〕連隊長〔正確には第3中隊部長〕の裏切り行為のため、食糧を貯蔵しておいた場所が露呈したというのです。〈略〉連隊長まで務めた彼が、試練に耐えることができず変節したのです。食糧貯蔵庫の位置を探り当てた敵は、山に火を放ち、人びとを動員して倉庫をぶちこわし、食糧を全部運び出していったのです。数か月間の苦労が一朝にして水の泡になってしまいしました」(『世紀とともに』第8巻・平壌版75頁)
日本の官憲記録からは、この食料庫摘発事件の事実を確認できず時期は不明だが、金日成はこの事件を理由に「ソ連領に入る」ことを決意したという。金日成は敢えて、「わたしは部隊を率いて極東入りするのがこの時点では正しいと考えました」と書いているのは、上部からの指示はなく、また許可も得ずに、ソ連領への逃避行を独断決定したことを示している。それは中共抗日連軍の組織においては、明らかな軍規違反だった。
このことに関して、金日成研究で知られる東京大学の和田春樹教授は、次のように金日成を擁護している。
「金日成の決断と行動は党上部の許可をえない非組織的、非党的行動であったが、実質的にみれば合理的な決断、行動であったと考えられる。力が弱まった時には強力な敵との闘いを回避して逃げるのは当然のことである」(『北朝鮮-遊撃隊国家の現在』43頁)
和田春樹教授はロシア・ソ連史が専門であるが、こうした論理がソ連共産党や中国共産党において受け入れられると考えて、書いているのだろうか。
「われわれが極東入りの準備を終えて車厰子の奥地を後にしたのは十月の末ごろでした。出発に先だって、〔直属上司の〕魏拯民と〔第1中隊部長の〕呉白竜に連絡員を送りました。魏拯民も呉白竜も病床の身で、極東入りは不可能でした。〈略〉その後、呉白竜の小部隊も後を追って極東入りしました」(『世紀とともに』第8巻・平壌版79頁)
金日成たちは、討伐隊の追及から逃れるため、日中は林のなかに隠れ、夜間に行軍しながら、延吉縣老頭溝付近で京図線の線路を越えたという。そして、石人溝を経由し、新豊洞あたりから汪清縣に入り、百草溝に向かった。
「百草溝方面へ行く途中で『討伐隊』と遭遇しました。われわれが一列縦隊になって峠を越えかかったとき、谷間の下手から敵が登ってきたのです。われわれはいま来た道を逆戻りし、また尾根に駆け登りました。そのとき、多くの荷をかついでいた金正淑が隊に後れて危うい目にあいました。尾根を越えたあとで隊列を確かめてみると、金正淑が見えないではありませんか。私は再び尾根に駆け登り、敵が向かってくる丘の下手を見下ろすと、彼女は大きな背のうのためかかろうじて歩みを進めていました。敵は、『生け捕りにしろ!』と叫びながら追い詰めてきました。わたしはモーゼル拳銃を引き抜いて追い手を撃ち倒しました。警護隊員たちも駆けつけ、機銃掃射で金正淑を掩護しました。こうして彼女は無事に救い出されたのです」(『世紀とともに』第8巻・平壌版80頁)
金日成の危機をいつも救っていた金貞淑が、金日成に助けられたというエピソードは珍しい。
「敵をやっと振り切った後、蛤蟆塘付近で宿営することにしました。その日は敵の機動がはげしくて、日暮れどきまで村の近くの粟畑の畝間に伏せていました。都合よく粟畑の畝間に白菜と大根が植えてあったので、それで空腹をまぎらわせましたが、寒くてたまりませんでした。それで、ろうそくに火をともしてかじかむ手をあぶったものです」『世紀とともに』第8巻・平壌版80頁)
ここに書かれている「蛤蟆塘」という地名は、後にとんでもないところで登場する。この地名こそが、金正日出生の秘密の鍵を握っているといっても過言ではない。(つづく) 






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