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辻正仁の「音ラインにゅ?す」<CDとライダー・スナック その1>


 
音楽ビジネスにおける「ライダー・スナック商法」について。
皆様、GWはいかがお過ごしでしょうか?僕は普段とまったく変わりない生活を送っております。思えば、社会人になってからの十数年間で3連休がわずかに何度かあっただけ、それ以上の長期休暇のない生活だった。そのかわり会社を辞めた昨年の前半までは半年に及ぶGWだったけど(笑)。
そんなワケで、すでに今年もGWが無い状態の僕だけど、ここの記事はちょっとしたお休み気分で、今回は情報ではなく音楽にまつわるエッセイのようなものを書いてみようかなと…。
ところで、「仮面ライダー・スナック」というお菓子を知っているだろうか?
もう30年以上も前の話になるが、「ライダー・スナック」は僕らが子供の頃、大人気のスナック菓子だった。スナックの袋にはオマケとして「ライダーカード」が入っていて、僕ら子供はそれが欲しくてお菓子を買ったものだ。
「ライダーカード」というのは要するに仮面ライダーのトレーディング・カードだ。シリーズに登場するキャラクターの写真がスナックに一枚ずつ入っていて、袋を開けるまでどの写真が入っているか分からない。カードは全部で200種類以上あると聞いた記憶がある。
子供たちは当然自分のお目当てのカードを手に入れるため、あるいは全種類を集めるためにスナックを買いつづける。お菓子の袋を開けカードを確認し、また一袋買いカードを取り出す…。その繰り返しだ。そしてスナックは手をつけられることもほとんどなく、袋と共に捨てられる。その頃子供だった方は記憶にあるかと思うが、当時は社会問題にもなり、学校でも「食べ物を粗末にしないように」といった指導がされたりもした。
さて、音楽の話。
もう10年程前になるが、僕はちょっとしたアルバイトで、とある紙面にCDレビューのようなものを書いていたことがある。
あるとき、チャートの1位になったアルバムを話題に取り上げて、こんな内容の文章を書いた。
「このCDには14種類の特典があって、全て揃えるために一人で同じCDを14枚購入する人もいる。100万枚売れたからといって、100万人に支持される音楽とは限らない。」まぁ、特典の数や売上枚数は正確に記憶しているわけではないが、おおむねこんな内容だ。
そしてこの文章を読んだ、話題となったアーティストの熱烈なファンの方たちから幾つかの抗議が寄せられたらしい。「特典の何が悪いのか?なぜ文句を付けるのか?」と。
残念ながら、当時僕に弁明の機会が与えられなかったので、この場を借りて説明したい。
というか、内容を読めば分かる通り僕は特典をつけるのが悪いとも言っていなければ、文句もつけていない。あの文章は、「チャートインしたCDの売上枚数が買った人間の数ではない」という事と「CDを買う動機は音楽だけではない」ということが言いたかっただけだ。たとえ理由は何であれ、商品を売る以上、売上がいいのは悪い事ではない。売り場で働いている以上、文句などあるはずもない。
CDのチャートを見ると、我々はつい、売れた枚数分の人々に、そのCDの音楽的内容が支持されていると思いがちになる。僕は、そこには誤解と錯覚があるという事を伝えたかった。ライダースナックがあれだけ売れたのが、スナックの味ではないことを身を持って知っている者として、また実際に売り場で働いていて、かのCDをまとめて買う大勢の人たちを見ている者として。
僕のこの考えは今も変わっていない。ただ、正直に言えばその文章を書いた頃、僕は「商業音楽」の「商業」と「音楽」のバランスの悪さに多少違和感を感じてもいた。勝手に命名させてもらえば、音楽を売る手段として「ライダー・スナック商法」が流行した時代だったのだ。
それについてはまた次回。
■辻 正仁(つじ まさひと) 1966年生まれ。 中学生の頃、ビートルズに憧れ自らも作詞作曲を始める。大学時代は、バンド活動と友人の映画作りの手伝いに没頭した挙句、単位の修得を失念。北海道のCDショップチェーン「玉光堂」の社員として10数年勤めた後、2004年退社。現在は自らの音楽活動、執筆活動に勤しむあまり、生計を立てるのを忘れがち。 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。







関連サイト

シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/bnns/series/seriesList.jsp?series_cd=96






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