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ジャーナリスト・惠谷 治「独裁者の秘密を徹底検証ドキュメンタリー金正日」
独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第48回


05月22日(月) 00時00分
文:惠谷 治 



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ソ連における第88特別旅団の隊員たちと金日成。金日成回顧録『世紀とともに』第8巻のグラビアに「朝鮮人民革命軍の隊員とともにある金日成同志(2列目の真ん中)」という説明がついて掲載されている写真で、第88特別旅団(東北抗日連軍教導旅団)における冬季軍装での記念撮影と推定されるが、詳細は不明である
 第1部 金正日の出生の秘密を暴く

 第3章 1941年に生まれた金日成の子供

 追記

 「金正日の幼年時代は軍服を着た人たちのなかで流れました。彼は家族から受けられなかった愛情をわたしの戦友から受けたのです。金正日はわたしの愛情よりパルチザン隊員の愛情のなかで成長しました。戦友たちは、白頭山にもう一人の未来の将軍が生まれたと喜びを隠しきれませんでした。金策は幼年時代の金正日をいつも『幼い将軍』と呼びました」(『世紀とともに』第8巻・平壌版302頁)

 ここで金日成が言及している金策は、金正日の本当の父親ではないか、と北朝鮮事情に詳しい人びとのなかで噂されていることを、私は最近になって知った。

 しかし、金日成が回顧録で書いているように、金日成と金策の2人が初めて出会ったのは、1941年1月初旬のことである。また、満洲のパルチザン時代は、組織的には金日成は東満の第1路軍の中堅指揮官だったのに対し、金策は北満の第2路軍全体を統括する中国共産党北満省委員会の書記という最高幹部であり、接点は全くなかった。

 それゆえ、金策が金貞淑に初めて会ったのは、周保中とともに1941年3月に南野営を訪れて以後のことである。4月から約8カ月、金日成は南野営を留守にしており、その間に金策と金貞淑が親密になった可能性は否定できないものの、金正日は1941年2月に生まれているので、金策が金正日の父親なることは不可能である。「金策父親説」は1941年生まれという事実から目を逸らせる欺瞞情報、あるいは金策の不審死にともなう金日成に対する謀略情報ではないかと深読みしてしまうが、単なる噂に過ぎないのかもしれない。

 〔参考文献〕

 本稿を執筆する上で、本文に記した証言者以外にも無数の人びとから話を聞かせていただき、改めて感謝したい。また、多数の書籍を参考にさせていただき、本文にも出典を明示しているが、改めて以下に列挙し、著者、編者、訳者の労苦を想起するとともに、深い謝意を表したい。

■日本語翻訳文献共和国科学院歴史研究所編『朝鮮近代革命運動史』新日本出版社、1964年白峯『金日成伝』第1巻。雄山閣出版、1968年党中央委員会党歴史研究所編『朝鮮人民の自由と解放』未来社、1971年李命英『四人の金日成』成甲書房、1976年林隠『北朝鮮王朝成立秘史』自由社、1982年金益鉉『永遠の女性革命家』(1)(2) 平壌・外国文出版社、1989年李基奉『金日成は中国人だった』イースト・プレス、1991年徐大粛『金日成、思想と政治体制』御茶の水書房、1992年金日成回顧録『世紀とともに』第1巻--第8巻。平壌・外国文出版社、1992-1998年高英煥『亡命高官の見た金正日』徳間書店、1995年李重吉編『朝鮮の母、金正淑』平壌・朝鮮画報社、1997年編著者不詳『金正淑伝』平壌・外国文出版社、2002年

■日本語文献(新聞、雑誌を除く)現代史料集(30)『朝鮮(6)』みすず書房、1976年東アジア問題研究会編『増補アルバム・謎の金日成』成甲書房、1978年高木健夫『金日成、祖国への道』彩流社、1982年成律子『白あんずの花のように』彩流社、1989年山下正子『炎の女性』雄山閣出版、1990年和田春樹『金日成と満州抗日戦争』平凡社、1992年金賛汀『パルチザン挽歌』御茶の水書房、1992年和田春樹『北朝鮮-遊撃隊国家の現在』岩波書店、1998年

■中国語文献吉林省档案館編訳『東北抗日運動概況』吉林文史出版社、1986年胡淑英「東北抗日聯軍教導旅始末」『黒龍江省党史資料(第10集)』1987年彭施魯「在蘇聨北野営的五年」『黒龍江省党史資料(第10集)』1987年于保合「在抗聯后期的五年里」『黒龍江省党史資料(第10集)』1987年『東北抗日聯軍史料(上下)』中共史資料出版社、北京、1987年王明貴『踏破興安万重山』黒龍江人民出版社、哈爾濱、1988年周保中『東北抗日游撃日記』人民出版社、北京、1991年『東北地区革命歴史文件★集(甲61巻)』吉林省档案館、1990年『東北抗日聯軍闘争史』人民出版社、北京、1991年『東北抗日聯連第二軍』黒龍江人民出版社、1986年黒龍江省革命博物館の展示資料「抗聯整訓期間派遣遣回東北的小部隊」1995年

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