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函館市の巨大クレーン撤去方針に市民団体が「待った」


 
門型クレーンでの映画を上映や“広告塔”など活用方法も試案中。
函館のランドマークとして長年親しまれてきた旧函館ドック跡地の門型巨大クレーン「ゴライアスクレーン」が、存廃問題で揺れている。
このクレーンはもともと、高度成長期の大型タンカー建造に対応するため、1975年に建設されたもので、高さ約70メートル、幅110メートル。250トンの懸下能力があり、当時は国内最大だった。
ところが、造船不況に伴い79年に函館ドックがこれを手放し、特定船舶製造業安定事業協会や北海道振興などが土地と共に所有してきた。しかし、その間、活用や補修などはなされず、93年の北海道南西沖地震ではレールが破損し、レール上を走行させることもできなくなった。
現在の所有者である函館市土地開発公社は、2004年に現函館どつく(84年に社名変更)に依頼して耐久性を調査した結果、「倒壊の危険性がある」と判断された。これに基づき函館市はクレーン解体の方針を固め、今年に入ってからプロポーザル方式での売却・解体の入札説明会を開催、クレーンは解体に進んでいる。
これに異を唱えているのが、市民有志による「ゴライアスクレーンを守る会(石塚與喜雄会長)」だ。守る会では、30年以上にわたり市民や函館を訪れる人たちに親しまれた函館の原風景を残したいとの立場から、保存の署名を集めたり市議や市に要望書を提出するなどの運動を続けている。
守る会は、「クレーンの解体撤去は『良好な都市景観をまもり、そだて、つくる』とうたう函館市都市景観条例に違反する」との主張を掲げている。
19日には、ゴライアスクレーンが国内の産業遺産としても貴重なものであるとの視点から、北海道産業考古学会との共催で「函館市産業遺産保存シンポジウム」を開催。市民約80人が参加した。講演で国内クレーン研究の第一人者である玉川寛治氏は、門型クレーンは国内に10基ほどしか残っていない現状を指摘し、「北海道の造船業の貴重な遺産。函館のクレーンがなくなれば痛恨の極み」と語った。
また、実際にクレーン建設に携わった当時の技術監督・岩佐勝男氏は、あまりにも重くて巨大なクレーンの設置にさまざまな点で苦労した話を披瀝、「解体の方針を聞いて残念に思い、寂しく思った」と市民の共感を誘った。
参加した市民からは、倒壊の危険があるのかについて質問がなされた。これに対し玉川氏は「倒壊させないための技術が結集しているのがクレーン。固定すれば、倒壊はそんなに起こりえないだろう。危険としては、エッフェル塔が倒壊する危険より少ないくらいのものだと思う」と回答。
岩佐氏は、「一番心配なのは接合部と、水が溜まりやすい平らな部分。鉄板自体は大丈夫だと思うので、ボルトを少しずつ交換するなどすれば問題はないと思う」と説明。
岩佐氏はさらに技術者の立場から、「クレーンには塩害に強い特殊な塗料を用いており、溶接部と接合部を重点的に塗り直せばクレーンはもつ」とも指摘した。
石塚会長は「市は、危険である、維持管理に費用がかかるとして撤去を決めたが、実際はそうではない」と市の見解を否定。複数の専門家により、腐食が上部の一部分のみであり本体には倒壊の危険性がないと診断されていると訴えた。続いて市の見積りでは最小限の補修でも5億円必要で、さらに維持管理費がかかるとされているのに対し、「1億5,000万で補修できるとの見積りも出ており、一度の補修で10年から20年はもつため管理費もかからない」と、市の財政を大きく圧迫するとの観測を否定した。
それでも「クレーンは危険でカネがかかる」との市側の発表から「守る会」の主張は必ずしも市民に浸透していない。この日の質疑でも会場から「私の知人には、感情論ではないのかとの見方や保存の費用はどうするんだとの考えから、保存に賛同する人はいない」との意見が出された。
「守る会」では、門型クレーンの内側に幕を張り映画を上映する企画や、クレーン上部を広告スペースとして活用するなど、保存に向けての活用法を検討中だ。
守る会の働きかけに対し、市や市議会の反応は「解体は既に決まったこと」とそっけない。玉川氏は「条例を盾にして住民の支持がもっと広がれば、土壇場でひっくり返る可能性もあるだろう」と、会の奮起を促した。










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