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辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ?す」<the tip connection vol.2>


09月11日(月) 11時00分
 



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企画の林立夫さん(写真左)と私(辻)
 和やかなオーディション。

 

 以前このコーナーで、ユニークなオーディションとして紹介した「the tip connection vol.2」が9月10日に開催された。

 既成のオーディションの枠にとらわれず、いわゆる「商業主義」に偏りがちな昨今の音楽状況とは違った形で、音楽の創造性や豊かさを育もうという、このイベントの趣旨が気になっていた僕は、BNN金子氏と共に会場へと出かけた。

 場所は札幌市の「大倉山」札幌ウィンタースポーツミュージアム。かつて札幌冬期オリンピックの競技が行われた、スキージャンプ台横に建てられた記念館である。

 当初は18時スタートで、選出された4組が出演の予定だったが、2回目となる今回は早くも応募が多数あり、急遽本番前に特設ステージを用意し、14時から7組が出演したそう。僕は残念ながら、18時からの本番だけ観賞させていただいた。

 会場に着くまで僕が想像していたのは、やはり通常のオーディションのように、幾分緊張した空気の流れる中で演奏が行われ、1組ごとに主宰の林立夫氏などから寸評を聞かされるといったものだったのだが、実際はまったく違った。

 会場に着くなり、いきなり案内されたのは手作りのタンドリーチキンやお好み焼き、それにドリンクなどが用意されているテント。関係者もお客さんも出演者も判別がつかないほど入り乱れて、和やかなムードで料理や飲み物を手に談笑が交わされる。

 ライブ会場も同様で、全体に「手作り」の暖かみを感じる。そんな中でスタッフの方とご挨拶して、林氏に紹介される事になった。

 「僕が中学生の頃から胸躍らせて聴いていた数々のアルバムでドラムを叩いていた、日本の音楽シーンを支えてきた一人でもある、あの林立夫氏だ」と、緊張するヒマもなくあっさりと本人が迎えてくれてご挨拶。まったく構えたところのない、気さくでおおらかな方でした。「リラックスしてザックバランに楽しみましょう」といった気持ちが伝わってくるよう。

 ここまでで既に僕の思い描いていた「オーディション」のイメージは崩れ去り、いよいよ演奏が始まる。

 出演したのは、登場順に浅野友寿、MUSIC WAVE、池庄、ma-maの4組。

 通常こうしたイベントというのは、出演者も観客も緊張しがちなものだが、セッティングの合間に自ら司会を務める林氏のユーモラスなトークがそうした空気を和ませ、さりげなく出演者のチャームポイント(「セールスポイント」ではない)を紹介。その軽妙な語り口が会場を「音楽を楽しむ」モードにしていく。

 演奏した4組いずれもジャンルもアプローチの仕方もまったく違う個性的な音楽を聴かせてくれた。中には、こうした機会がないと普段なかなか出会えないものもあり、改めて北海道のミュージシャン達の多彩さや独創性、それに音楽の豊かさを実感させられる。

 林氏がこの企画を札幌で開催し、北海道で活動するミュージシャンを募集している意図が分かったような気がする。

 さらに、会場のロケーションが素晴らしい。山の上にあるミュージアムのガラス張りのフロアで、出演者は札幌の夜景をバックに演奏する。そのそれぞれ個性的な音楽によって、同じ夜景が違った景色に見えてくるような気がした。「この街で育つ音楽」という気分が味わえる風景であった。

 4組の演奏が終了した後は、スペシャルゲストとして前回のこのイベントに出演後、湘南に拠点を移し活躍中のけんたのステージ。なんと、林氏、そして息子の林一樹氏、さらにサディスティックミカバンドのキーボードとして知られる今井裕氏が参加しての、まさにスペシャルな演奏。林、今井両氏の名プレイヤーの共演をこんなに和やかな会場で間近で聴けるとは…。鳥肌立った。

 全ての演奏が終了しても、審査の総評もなければ、賞の発表もなし。だってこれだけ個性的なそれぞれの素晴らしい演奏を一まとめにして評価したり、順位をつけたりする基準なんてあるワケがない。音楽の豊かさに気付き、楽しむ事。一番大事な「総評」は、既に演奏によって伝えられている。

 最後はスタッフも出演者も一緒になって後片付け。林氏もせっせとドラムセットを解体している。ふと辺りを見回せば、手伝っている人達のあちこちに、以前に見かけた顔が。いずれも、様々な場所で「ああ、この人本当に音楽が大好きなんだな」という印象を持った人達だった。もう、オーディションというよりは、「楽しい音楽サロンにやってきた」という気分で会場を後にした。

 ちなみに余談だが、今回の演奏のために使用された音響のミキサーは、かつてとある場所で、約10年近くに渡って僕が愛用していた機材だということが判明。

 ずっと気になっていたのだが、こんなに素敵なイベントで活躍しているなんて、なんだか安心するのと同時に誇らしい気分である。

 ■辻 正仁(つじ まさひと)

 1966年生まれ。

 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。

 






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クラブミュージックにクラリネット。千歳のMUSIC WAVE


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ギターデュオ「池庄」


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東京から半年ぶりの凱旋「けんた」の熱いライブ



関連サイト

the tip connection
http://www.ttc-music.com/2006index.html






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