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性同一性障害を生きる――小幡直輝さん「…だけども僕たちの存在を認めてほしい」 中編


10月10日(火) 15時10分
文:東  写真:東 



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小幡直輝さん
 母親に告白すると「じゃあ、あんたはレズなのかい」。

 小幡直輝さん(32)が身体的な性と頭(心)で自認する性の相違に気が付いたのは、小学生の頃だった。

 「いずれ男性器が出てくると思っていた」が、小学5年生の頃には胸が膨らみ、生理になった。しかし、心は男。にもかかわず、女の子であることを演技するのはストレスだった。そのうえ小幡さんは、いじめにも直面していた。

 「自分で言うのも何ですが、僕は勉強ができました。だから先生には何も言わせない。逆に授業中は『そこは違う』『それは変だ』などと先生に口出しをしていました。そんなことから担任が僕をいじめなさいとほかの生徒に指導し、4年生から6年生まで集団でいじめられていました」

 「自分が女の子を演じることはストレスになるし、生理が始まった時は世の中が終わったと思いました。とりあえず、(男である)自分を隠そうと考えましたが、いじめられていたので誰にも構われず、かえっていいやとも思っていました」

 小学生時代は男の服、中学生時代はセーラー服だったがスラックスも認められていたため、スラックスをはき、行事がある時はガクラン(詰襟の男子学生服)を着た。

 そんな小幡さんを周囲が「おかしいな」と感じたのは中学3年の時だった。好きな女の子ができたことから、レズにみられたという。野球や空手をするスポーツ少年だったが、周りの目には“女を好きになる女”と映ったためだ。

 「レズ」とみるのは友だちばかりでなかった。

 「やんちゃな子ども」と思っていた母親に「自分は体と心(の性)が違うと言ったら、『じゃあ、あんたはレズなのかい』と言われました。結局、母親に理解してもらうまでには4年の歳月を費やしたという。

 高校進学後、けんかで2度の無期停学処分を受け、入学間もなく退学。「けんかが強ければ、同級生に何も言わせないで済む。いま振り返れば、心と体(の性)が一緒だったら、あそこまで暴れてはいなかったと思います」

 高校を中退した小幡さんは実家から追い出され、帯広市で働いた。16歳になり、周りの人たちにカミングアウト(告白)するようになった。

 「テレビや世の中では、オカマやオナベという言葉を簡単に使いすぎる。それを売り物にしている芸能人もいますが、オカマと呼ばれ、いじめられる人がいることを真剣に考えれば、安易に使うことはできないはずです」

 「性同一性障害」という言葉の意味を理解する人は年々増えている。その一方、この疾患は悩んでいる人の数と同じといっても良いほどいろいろな形態があることは、あまり知られていない。心は男性で女性に好意を抱く小幡さんのようなケースから同姓愛者などさまざまだ。

 性同一性障害は、次のように3つに分類されている。

 トランスセクシュアル(transsexual)

 自身の身体の性と心の性の不一致を最も強く感じている人たち。一致しないふたつの性を合致させるため、性別適合手術(性転換手術)を望む。

 トランスジェンダー(transgender)

 身体とは反対の性での生活を願いながらも、性別適合手術までは望まない人。

 トランスベスタイト(transvestite)

 身体の性と違う服装をする異性装者で、「女装者」や「男装者」のこと。心の性との不一致がないため、「性同一性障害者」と区別されるが、異性装をすることで、性の違和感を解消しているケースもある。

 小幡さんは自身をトランスジェンダーに近いトランスセクシュアルと分析している。

 「父は何も言わずに僕を見守ってくれました。父からは『成人式の時は振袖を着て写真を撮ってくれ』と言われました。父は僕が19歳の時に亡くなり、その言葉が遺言になったのです」

 小幡さんは現在、周りの人たちに男性として受け入れられて生活をしている。それでも身体的な性との違和感は解消できない。4年前から2週間に1度、ホルモン注射を続けており、来年の4月には乳房除去手術を予定している。







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