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上田文雄市長に聞く、札幌市の「市役所改革」 後編


 
「歳出削減はいま行っている事業を縮小することですが、そのまま縮小することはもう限界です」
札幌市は「財政構造改革プラン」によって、当初見込まれた265億円の収支不足を解消した。それでも、財政状況は依然厳しい。平成22年度には341億円の不足が生じる見込み。これまで市が担ってきた業務は、大幅な見直しを迫られている。以下、上田文雄札幌市長が語るインタビュー後編。
――札幌市は長年にわたり、朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の関連施設に対する固定資産税を全額免除してきました。今年6月、市は現地調査を実施し、「公益性のある施設」との理由から今年度も固定資産税の全額免除を決めました。しかし、北朝鮮は7月にミサイルを発射、続いて10月には核実験を実施するなど状況は大きく変わっています。
上田 私は北朝鮮が核実験をしたこと、あるいはミサイルと朝鮮総聯の活動そのものは、どこもリンクしていないと思っています。市民と一緒に平和的に生活し、外国人である北朝鮮に母国がある住民のみなさん方がコミュニティーをつくっているわけです。施設を平和的、合法的に使い、そこに変化がない以上、私は評価を変える必要はないと考えています。
(核実験に関連し)北海道朝鮮学校の子どもたちに、いろいろな嫌がらせをしたり、「出て行け」というような非常に反人権的な活動がなされていると聞いています。私のところには市民からメールが送られてきますが、そういう不適切な言動を取られる方々がいることは気の毒なことだとの感想を書かれたものも頂戴しました。
いろいろな事情があって北朝鮮から日本に来て定住されている方がいます。爆弾をつくるとか、違法な取り引きをするということであれば話は全然別ですが、合法的、平和的に生活をされている方々が、自分たちの会館として情報交換したり、祖国への思いを語り合ったりする場として使われている以上、それを札幌の町内会が持っている町内会館や地区会館と違うと言う必要はないと思っています。
――札幌市は厳しい財政状況を強いられています。歳入を増やすことは容易でない以上、歳出をどれだけ削減するかが有効な改善策になります。
上田 歳出を削減するということは、いま行っている事業を縮小することですが、そのまま縮小することには、もう限界があると思います。札幌市は(収支不足となる)265億円を削減しなければならず、一生懸命頑張り、2年間で8億円多い273億円の削減に成功しました。私は市の職員が本当に頑張ったと思います。
さらに22年度は341億円が足りなくなる見通しです。あと5%歳出を削減しようなどということを考えていますが、段々厳しくなり(削減の)限界が見えてくると思います。そうした中で、人件費を含めた総経費を全体的に見直さなければなりません。その場合、何を見直すかといえば、仕事です。役所でなければできない仕事と、民間や市民が肩代わりできる仕事を峻別する。これは国が言っていることと同じですが、そういう形にならざるを得ないと思います。
――8 月に福岡市で飲酒運転をした同市職員が一家5人の乗った車に追突、子ども3人が水死しました。以後、各自治体は飲酒運転をした職員に対する処分を厳格化しています。それでも、飲酒運転が発覚した際、職員本人が自発的に申告しない限り、役所が飲酒運転の事実を知るすべはなく、事実を隠蔽することも懸念されます。市長はこの点をどのように考えられていますか。
上田 不祥事の申告義務というのは、自白を強要してはいけないことと同じように、非常に難しい問題があります。不利益な事実を言わざるを得ないというのは、あまり文化的ではありません。刑事法等の理論がそのままこの問題に当てはまるとは思いませんが、かなり厳しい制約の中で適正な処分をしなければなりません。
ただ「飲んだら絶対(運転は)ダメ」というのは常識中の常識です。私は飲んだらというよりも、「(酒を)口に付けたり、においをかいだらもうやめろ」(笑い)と言ってます。飲酒運転をして事故が起きて、定年間近の人が懲戒解雇になれば、人生設計は全部狂ってしまいます。私は弁護士時代にそのようなことばかりを見てましたから、職員にもそう注意を呼び掛けをしています。これまで、(市職員による)非常に悪質な事故が何件かありましたが、自覚を促すしかありません。
――次に札教研(札幌市教育研究協議会)の問題を伺います。札教研は昭和25年に教職員団体と札幌市教育委員会、校長会の3者で設立した任意団体です。各学校の校内研究を基盤とし、研究授業を他校教員に公開、批評や指導を仰ぐことで教育集団が実践的共同研究を行うことを目的としています。札教研の副理事長を務める4人の市立小・中学校教員は、所属校の校長から外勤の職務命令を発令され、勤務校の授業をそこそこに札教研の連絡調整業務をしていたことが明らかになりました。札幌市の教員給与は、義務教育費国庫負担法により、国と道がそれぞれ2分の1を負担し、札幌市は支出していません。札幌市教育委員会は長年、この行為を「公務」としてきましたが、文部科学省は4教員の外勤を公務と認めず市教委に是正を指導しました。道教委は支出した4人の給与の返還を市に求め、札幌市は 9月、道に約3,500万円を返還する申し入れしました。
上田 歴史的な経過からして札教研の役割、研究・研修をしてきた成果は非常に大きなものがありました。他に類を見ない、代替する制度がない中、今日まで活動が続いています。歴史的な経過はもとより、現実に何をしてきたかという内容を教育委員会が評価した場合、公費できちんと補助しなければならないものだと考えています。私はその判断を間違っていないと思っています。
ただ、それが給与という形で道から頂戴する県費負担ですることについて、良いのか、悪いのか、解釈が分かれたと理解しています。(道と)共通の理解が得られなければ、札幌は札幌なりに考えて今後、対処したらいいと考えています。
―― 市長が公約に掲げ、任期中の制定を目指していた「札幌市自治基本条例」が、10月3日、成立しました。これで市民の生活はどのように変わることになるのでしょうか。また北海道新聞は、市が自民、公明両会派から出された修正案を前面的に取り入れた「丸のみ」だと指摘しています。
上田 あれは(北海道新聞の記事)非常に問題のある表現だと思います。
まず、条例がどのように市民生活に関わりがあるか、ということですが、第一義的には市役所の仕事のやり方を変え、主人公は市民になるということです。それなりの行動と判断能力のある市民にみんなで育っていこうよ、我々もそれをサポートする仕事のやり方に変えようよ、とういのが基本条例の内容です。市民が市政に対して関心を抱き、ものを考え発表する場所を用意するため、市役所は分かりやすい情報を市民に提供し、共有する。いままでも職員は一生懸命やってきましたが、仕事のやり方をより戦略的に変えていくことが必要です。
条例制定過程で修正案が出され、それを取り入れさせていただいたことを「丸のみ」、「理念が大幅に後退」と報じられていますが、私はどこも後退していないと考えています。批判のための批判のように思います。修正案は本質を理解している上、自治を進める方法として好ましい形のものです。市は修正案の方が市民のみなさまに理解していただきやすいと考えました。かえって、まちづくりセンターの位置づけは、はっきりしており、私は修正案が非常に良い案になったと思っています。
――どうもありがとうございました。







関連サイト

札幌市長のページ
http://www.city.sapporo.jp/city/mayor/

シリーズ一括読み
http://www.bnn-s.com/news/series_cd107.html






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