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週刊新潮「疑惑の新千歳空港」記事の“いいかげん,, 前編


11月29日(水) 16時50分
文:楠本 



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新千歳空港
 在京コンサルタントと地元月刊誌社長をネタ元にした“偏向報道”。

 週刊新潮10月26日号に「特集 疑惑の新千歳空港 知事を悩ませる巨額焦げ付きと癒着」と題する4頁の記事が掲載された。筆者はノンフィクション・ライターの森功氏。

 記事は北海道空港、道庁、国土交通省航空局の関係者にこそ幾分かの影響を与えたものの、そもそも北海道空港の疑惑とは一体何なのか、さらに筆者が何を伝えたかったのか、という要諦部分を理解できなかった読者は少なくあるまい。

 タイトルこそ読者の関心を引くものだが、いざ「疑惑」と「癒着」の存在となれば、文中にそれを立証する記述は皆目見当たらないシロモノである。

 記事がこうした内容に仕上がった要因は、取材不足なのか、或いはある種の意図を持って書かれたためかは分からぬが、事実と異なる記述が多いことだけは確かだ。「疑惑」や「癒着」に関して、問題が生じそうな箇所は、地元の銀行関係者、東京在住の事業家のコメントが多用され、訴求力を欠いた観は免れない。

 わけても記事の構成は、読者に北海道空港の関連会社である「セントラルリーシングシステム」の財務内容が悪化し、メインバンクも頭を抱えていると印象付ける内容。さらには、その記述をもって、あたかも親会社である北海道空港に「疑惑」と「癒着」が存在する根拠としようとするものだ。
 
 歴史と権威のある週刊新潮がどのような理由からこうした記事を大々的に載せたのか、首を傾げているのは筆者だけではあるまい。

 森氏の取材に応じた北海道空港の森糸猛常務は、「こちらは隠したり、ごまかしたりすることなく、数字を含めて誠意ある対応をしたつもりですが、何か最初から偏見を持って取材に臨んでいるような印象を受けた」と憤慨する。

 以下、長くなるが、記事に記載された重要部分とそれに反論する北海道空港の見解を併記する。

1. 記事1頁5段目 

 地元の銀行関係者が言う。

 「新千歳では、セントラルリーシングシステムという関連会社の不明朗な経営が数年前から問題になっています。いわゆるノンバンクですが、ピーク時には500億円以上の負債を抱え、経営難が囁かれた。以前、それを問題視しようとする動きもあったが、うやむやのまま。おかげで今年に入ってから、空港のメインバンクである北洋銀行でさえ融資に難色を示していると、空港側が大慌てしていました」

 森糸氏は、「セントラルリーシングは、今年に入っても北洋銀行から数度にわたり融資を受けている。不明朗な経営の企業に融資する金融機関など、もちろんないと思うが、コメントにあるような話は事実として全くない。従って当社が大慌てしたということも事実に反する。そのことはきちんと説明したのに、どうしてこういう記述になるのか」と、戸惑いを隠さない。
 2. 2頁4段目 

 かつて、この空港問題にメスを入れようとしたのが、堀達也前知事。本人が振り返る。

 「(セントラル)リーシングは、私の知事時代から問題になっていました。道庁で先輩にあたる元副知事の我孫子健一さんが空港の社長だった時ですが、金融機関からも、あの会社を不安視する声がありました。そのため00年には、我孫子さんに代わり、私が信頼する丸山達男副知事を社長として空港へ送り込んで調査をしてもらおうとしたのです。しかし、ちょうどこの年の3月、有珠山が噴火し、さらに道建設部長の汚職事件が起きた。結局、そんな余裕はなくなり、副知事を送り込むことはできませんでした」
   
 森糸氏は、「本当に堀前知事が公式コメントとして話したのか疑わしいが、2000年には、当時、取締役候補者を決定する5月の取締役会の2カ月も前の3月18日付の日経新聞が『丸山副知事が北海道空港の6月の総会で同社の社長に就任することが固まった』と報じた。その後、新聞各社が後追い記事を掲載したという事実はある。しかし、当社にとっては全く寝耳の水のことで、完全な誤報だった。大体、有珠山が噴火した3月31日の当日に丸山氏は副知事を退任しており、また、道建設部長(当時)が道警によって逮捕されたのは4月17日である。堀知事のコメントにある有珠山の噴火や汚職事件が理由となると、全く整合性がとれない」と、当時の状況を説明する。
 3. 2頁5段目

 「空港はリーシングを通じて千歳駅周辺の再開発をはじめとした不動産事業をやりすぎた。不明朗な経理内容も指摘されていましたから、大株主である道として見過ごすわけにはいかなかったのです」(同)。※筆者註・同とは堀前知事のこと。

 「2000年頃はリーシングが地域や出店者の要望を受けて、大型商業施設の建設などで事業を拡大した時期。北洋銀行をはじめとする各銀行から融資を受けていたが、その後借入金は約定通り返済しており、各行とは現在も良好な関係にある。大株主の道は、そういった情報を常に持っているはずで、なぜ、堀前知事があのようにコメントするのか、全く理解に苦しむ」と、森糸氏

 4. 2頁5段目

 「空港は、そもそものメインバンクが拓銀でした。それで、バブル当時から十数社の子会社や関連会社を設立し、多角経営の拡大路線を突き進んでいきました。いわば、その負の遺産が今も経営に影を落としている。なによりグループ企業の間で資金操作がおこなわれてきたため、実態がつかみずらいのです」

 との解説は、地元経済通。

 森糸氏は、「取材時には数字も提示してきちんと説明した。その結果、森さん御自身の持っていたネタの信頼性がなくなり、『グループ企業間で資金操作がおこなわれてきたため、実態がつかみずらい』と、曖昧としか受け取れない記述になったのではないでしょうか」と、あきれ顔だ。
 5. 3頁1段目

 「とりわけ、セントラルリーシングは、不動産業者や産廃処理業者などへの無理な融資を繰り返していた。あげくそれらの会社が倒産し、かつては50億円近い不良債権を抱えたともいわれていました。それらをどう処理したかわからないまま、一方で自ら不動産事業に乗り出し、千歳や札幌市内の商業ビルやワンルームマンション、ホテルなどを次々と建設・購入していった。北海道内だけでなく青森や仙台にまで進出する始末です。そうして借入が膨らみ、ピーク時は500億円、現在も400億円ほどの負債になっています」<地元経済通>

 「何度も言いますが、こちらはきちんと説明して、森さんが指摘する内容は明らかに間違っていることを伝えました。にもかかわらず、コメントという形で記事にしてしまうのは、なぜなんでしょうか。リーシングの抱える不良債権が50億円近くあった事実はない。一部不良債権はあったが、すでに全て引当処理している。リーシングにおける借り入れ残高は300億円であり、仙台や青森などの賃貸施設を手がけてきたからこそ、現在の安定した収入源となっている。また、リーシングが取得、建設した大半の物件は、バブル崩壊後の物件が多く、極めて安価に仕込んだものであって経営上何ら支障はない。さらに、リーシングと旧北海道エコテックスとの合併は、両社とも利益を挙げていた企業同士の合併であり、事業の合理化と基盤強化を目的としたものであって、森さんにきちんと説明したんですが…」と、森糸氏。
 6. 3頁4段目

 「そこで、(04年)6月の株主総会で、この際役員を大幅に入れ替えてはどうか、と、東京在住の財界人から提案があったのです。空港の株主になっている民間企業幹部たちの意見ですが、道出身で影響力のあるJR東日本の松田昌士・現相談役も賛同していました。具体的な役員人事まで提示されたため、道庁の幹部が上京し、いったんは話がまとまりかけました。しかし、高橋さんが(筆者註・高橋さんとは高橋はるみ知事のこと)動かず、沙汰やみになってしまったのです」

 そう打ち明けるのは、東京在住のある事業家だ。(中略)

 先の事業家が続ける。

 「部長や副知事が何度も上京し、打合わせを重ねました。そうして株主総会前の5月13日に担当の副知事が上京し、役員案を東京事務所で話し合った。社長人事は道に任せる代わり、副社長と会長を民間の財界人から出すという案を提示。副社長は大手食品メーカーの常務、会長は鉄鋼メーカーの元社長を推薦し、副知事も納得した様子でした。それを高橋知事に報告し、了解を得る、という話まで進んでいたのです」(中略)

 「そうこうしているうち、空港の住吉副社長が“知事に話をつけたので今のままで株主総会を乗り切れる”と周囲にもらしているという情報が入ったのです。それを聞いた松田さんは、直接高橋知事に聞いてみる、と怒り心頭でした(中略)。そうして6月22日の10時半に知事と松田さんの電話会談するという約束をしたのです」

 このあたりになると、森糸氏は、あまりにもアホらしくて話もしたくないといった様子がありありだった。「民間企業株主全社に確認しましたが、空港役員の大幅入れ替えについて、その当時、言及した企業は一社もありませんでした。3人いる副知事のどなたが、東京事務所で誰と話し合ったのか、全く見えてこない。そもそも株主でもない民間の一事業家が、ほかの企業の役員人事に関与することなど一般的に有り得ないこと。週刊新潮が発売された後、道の山本邦彦副知事より、そのような話は一切ない旨の連絡をいただいた。また、その際にJR東日本の松田氏より道庁宛にもそのような事実はない旨の連絡があったことも聞きました」
 7. 4頁5段目

 「国際線ターミナル計画に備え、リーシングの財務内容を取り繕うため、銀行団を募ったのでしょう。だが、メインバンクの北洋銀行が融資に乗り気でない、と空港の岡社長に伝わった。そこで自ら“駄目なら三井住友一行でもそれくらい融資すると言っている”と直談判したと聞きました。半ば脅しですが、メインバンクとして断ることもできず、しぶしぶ了解したと聞きました」(前出・銀行関係者)

 森糸氏がうんざり顔で説明する。「シンジケートローンの締結にあたって、リーシングが銀行団を募った事実はありません。また、北海道空港のシンジケートローンの締結に最初に賛意の表明をしてくれたのは北洋銀行さんです。従って当社の岡社長が北洋銀行さんに直談判する必要もなく、そのような事実はないと取材時にも回答している。北洋銀行さんで裏を取ればすぐに判明することではないでしょうか。全体的に週刊新潮の森さんは、何かいかがわしいことがあると最初から決めつけ、こちらがきちんと誠意ある姿勢を示しても聞く耳を持っていないように見えたし、記事も本当にデタラメが多い。週刊新潮は歴史があり信頼度も高いので、取材に誠心誠意、応じたのですが、もう信用出来ない気持でいっぱいです」
 以下、中編に続く。







関連サイト

中編
http://www.bnn-s.com/news/06/11/061130115128.html

後編
http://www.bnn-s.com/news/06/12/061201112502.html






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