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ライブドア事件、村上ファンド事件……新聞には書かれていないこと!!


12月18日(月) 14時35分
 




 前田尚一弁護士

 >>プロフィール

 「……新聞には書かれていないこと!!」という副題を見て、マスコミで報道されていない“ここだけの話”が、BNNだけで明らかにされるなどと期待しないで下さい。

 新聞が説明を書いてくれないので、よくわからないままストレスになっていることってありませんか。今回は、そのような『いまさら聞けない“法律”小咄(こばなし)』をさせて頂くことに致します。

 この“法律”小咄は、今年の夏、ある異業種交流会でお話しさせて頂いたものです。

 もともとは、ちょっとした空欄のあるレジュメを完成してもらいながら行ったものでした。そこで、読者の皆様にもまず、そのレジュメを、次のアドレスをクリックしてダウンロードして頂くことにします。http://www.smaedalaw.com/BNN0610.pdf
 勉強会で30名ほどの参加者は皆、私とクイズに答えるかのようなやりとりをしながら、必死で空欄を埋めておられました。このような話題に対する“素人”の方々の関心の深さを窺わせます。

 完成した用紙を大事に保管しておき、どこ何処かで誰かに話題提供されることでしょう。

******************************

■ まずは、ライブドア事件、村上ファンド事件の“復習”から

東京地検特捜部は、今年1月23日、証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑でライブドアの堀江貴文氏を逮捕し、2月13日に起訴した。同氏は、2月26日に同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で再逮捕されたうえ3月14日に追起訴された。

 堀江氏は、保釈保証金3億円を納付して、4月27日、94日ぶりに保釈された(15キロ減量達成というのは素晴らしい)。堀江氏が、全面否認を続けているため、証拠隠滅などのおそれがあるとされて公判で検察側立証が終わるまで保釈が認められない可能性もあるという見方も強かった。が、5月26日の初公判を待たずに保釈が認められた。初公判前に主張の整理を済ませる「公判前整理手続」がとられたことで、被告人側の争い方が早期に明確となり証拠隠滅のおそれが低下したと判断されたといわれている。ちなみに、「公判前整理手続」は、平成11年5月までに実施される「裁判員制度」を睨んで創設され、去年の11月1日に施行されたばかりの新しい制度だ。

 一方、最近では、日銀総裁の方が主役になってしまったような村上ファンド事件。村上世彰(よしあき)氏は、今年6月5日証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された。23日に起訴され、26日には保釈された。保証金額は5億円。容疑をあっさり認めており、共犯もいないことから、スピード保釈となったようだ。

■ 保釈についての世間の誤解を正す!!

 世間では、保釈と聞くと「金さえ出せば、刑務所にも入らないで済むんだ!!」と腹を立てる人もいる。やはり、ここまで読み進まれた諸先生!!“街の法律家”としては、この誤りをきちんと正しておく必要があります。

 保釈は、起訴後も勾留(新聞などでは「拘置」とされる)されている被告人に、保釈保証金を納めるのと引換えに、身柄を釈放する制度だ。もし、被告人が裁判中に逃亡したり、裁判所の呼出しに応じなかったり、証拠を隠滅したりした場合には,再びその身柄を拘束するとともに、納められた保証金を取り上げること(没取)ができる仕組みになっている。

 裁判の結果、禁固以上の実刑判決が言い渡された場合は、保釈が失効し、収監手続がとられる。

 なお、この関連では話は山ほどある。

 例えば、身柄拘束の始まりとなる逮捕が、警察で始まる場合と検察から始まる場合があること、秋田男児殺害事件のH容疑者 は、まず死体遺棄で逮捕され、後に殺人罪で再逮捕されたが、このサイクルを2回使うためのテクニックであること、かつては、殺人としては証拠が薄いので、自白を獲得するためまず窃盗あたりで逮捕・勾留するといったやりかたが、「別件逮捕・別件勾留」と呼ばれ批判されていたこと、ついでに、警察官には、警視総監・警視監・警視長・警視正・警視・警部・警部補・巡査部長・巡査の9つの階級があること(空で言えるとすごい!!)。Gメン75の丹波哲郎。連ドラ放映中は、警視で始まり、警視正で終わったこと(もっとも、その後、スポット番組では、警察庁長官にまでなってしまう)、大きな警察署の署長は警視正で、小さな警察署の署長は警視。つまり、丹波哲郎はGメン75の終わりのころは札幌方面中央警察署の署長クラスであったこと、刑事コロンボ は、警部と呼ばれているが警部補であること、警察庁、警視庁、道警、県警などの関係等々。

 字数の都合で割愛するのがとても残念だ。

■ 保釈の具体例

 容疑を争う否認事件となると、保釈請求しても却下されるということが繰り返される。自白偏重だとか、「人質司法」等と言われ、非難されてきた。否認した場合の保釈までの期間の例として引き合いに出されるのが、衆議院議員の鈴木宗男氏。平成14年6月19日に逮捕され、平成16年11月斡旋収賄罪など4つの罪で、懲役2年の実刑判決を東京地裁に言い渡された。現在、控訴中。

 保釈されたのは平成15年8月29日。身柄拘束期間は437日間。つまり「1年と2か月と10日」であった。

 長いといえば、懲役2年8月の実刑判決を受けた被告人。保釈が認められないまま4年10か月勾留されていた例がある。判決後すぐに釈放されたそうである。

 鈴木氏の保証金額は、5000万円である。政治家の例を挙げると、田中角栄元総理は2億円。巨額脱税事件の金丸信氏はホリエモンと同じ3億円だった。

 保証金額の最高額はというと、20億円

 牛肉偽装事件のハンナン元会長の浅田満氏の場合。大阪地裁で懲役7年の実刑判決を受け控訴中。

 イトマン事件許永中氏。何と保釈中逃亡してしまった。

 平成3年7月逮捕され、起訴された後、平成5年12月保釈されたが、平成9年10月韓国で失踪。平成11年11月東京都内のホテルで身柄が確保されるまで2年以上にわたって逃亡生活を続けていた。

 逃亡を手助けして逮捕された者の中には弁護士が3名いた。そのうちの1人は札幌弁護士会所属の弁護士であった。平成12年2月、公判が2年4か月ぶりに再開され、翌13年3月に懲役7年6月・罰金5億円の実刑判決を言い渡された。控訴、上告したが、最高裁は、平成17年10月、上告を棄却し、実刑が確定した。現在服役中。

 保証金額は6億円であった。3億円については、弁護士が保証書を提出するという方法がとられていたため、その弁護士が後始末をしなければならなくなった。

 後始末というと、事件が終了するまで15年もかかると、関係者と連絡をとるのも大変。検察庁では、2万点の証拠の返還が進まず困っているようだ。「裁判員制度」や「公判前整理手続」との関係で、検察庁内に証拠品を保管するスペースを確保しなければならなくなり、返還を急いでいるそうだ。

弁護士といえば、安田好弘氏。後に東京地裁で、無罪判決を受けるが(検察官が控訴)、強制執行妨害の容疑で逮捕され起訴された後、保釈までの間295日間、10か月近くにわたって身柄を拘束されていた。保証金額は5000万円。

 最高裁での口頭弁論に欠席して話題になった山口母子殺害事件の弁護人だ。死刑廃止運動や冤罪事件の弁護で有名である。逮捕当時はオウム麻原裁判の主任弁護人であった。

■ 予告

 新聞が説明を書いてくれないので、よくわからない事件として、次回は、山口母子殺害事件最高裁判決についてお話しする予定です。

 ともあれ、ご記入が完了したら、レジュメは大事に保管しておき、話題提供にご利用下さい。







関連サイト

前田尚一法律事務所
http://www.smaedalaw.com/






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