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酪農大に生きる創立者黒澤酉蔵の精神


 
この度、BNNさんからのお勧めがありまして「健土健民」のコーナーを担当致します。浅学非才な私でありますが、農業や食、教育に対する思いは相当強いと自負しております。60数年間農業に生まれ、育てられ、そして今、若い人達と一緒になって実学を重んじそれに挑戦しております。
表題の「健土健民」は酪農学園大学の創立者黒澤酉蔵が提唱した言葉で「良馬良牛は良い牧草から、良い牧草は良い土から」。この言葉は人も同じで、「健康な人は健康な食物から、健康な食物は健康な農地から生まれる」。土、国土、環境を大切にする人材を育てたいと開学しました(彼は田中正造の影響を強く受けて人生の指針を得た一人です)。
私はその酪農学園大学の一期生で在学時代黒沢酉蔵先生や樋浦誠学長から、その精神を聞かされておりましたが、余り気にもせず大学生活を楽しんでおりました。最近、その言葉の重みがようやく理解できる年齢になり受け継いでいかなければならないとの想いからこの言葉を決めました。まずは自己紹介を中心に書かせてもらいます。
私が農業高校の教員を勤めた40年間は、日本の農業、北海道の農業が大揺れに揺れた40年の歳月と重なっています。昭和43年に稲作の転換方針が発表されました。生産調整、減反の始まります。イネや野菜、果樹の害虫を駆除する有機塩素系殺虫剤として知られるBHCやDDTの使用が禁止されたのが46年です。石油ショックがありました。自主流通米が登場したのが昭和55年です。北海道でも売れる米づくりが求められるようになりました。昭和が終わるころには、米を含む農産物の輸入制限の撤廃が国際問題になります。酪農地帯からは離農者が相次ぐなど大変な時期でした。
この間、地域、企業、同僚達の指導と協力を得て数多くの実践を行い、学校や教え子、地域に還元してきました。例えば、減反の対象になった水田に、野菜をつくるよう指導して実績を挙げました。また、愛知県安城市の農園に3カ月間泊まり込んで、シクラメンなどの花づくりの研修を受けました。野菜だけで生き抜くことは大変厳しいと考えたからです。更に、野菜生産団地の育成指導や最新の技術を駆使した施設園芸の研究も行ってきました。
昭和50年代に、社会福祉施設と農業高校をボランティアでつないだことも農業高校の発展に繋がったと思っています。昭和60年から平成にかけて農業高校に入学する生徒が激減したため、廃校寸前にまでなった高校の生徒募集で、東京までチラシを持って出かけました。農家でない子供が農業を理解したり、農業者となって欲しいと思ったからです。
教員生活最後となった北海道岩見沢農業高等学校は印象深いものがあります。高校の前進は空知農学校です。明治40年に札幌農学校の跡を継いで誕生しました。歴史と伝統の岩見沢農業高校の学科を、これからの農業を担う人材育成のコースに編成変えしました。
大学では農業高校の教員を目指す学生に教科教育法や職業指導、ボランティア活動の必要性を指導しています。最近の学生達はやりたくないからやらないのでなく、わからないから出来ないことを理解しました。そこで実学を中心に指導しました。彼らは、どんどん成長して食料や農業の大切さを認識し自主的に小学校へ出向いて農業指導や授業支援ボランティアを行う者もいるなど頼もしいかぎりです。そんなことから教員ばかりでなく地域全体をリードする人材をも養成しています。
私は、これらの経験を生かして、NPO法人「農業塾風のがっこう」を開設しました。長い間考えていた計画です。農業後継者や新たに農業に挑戦したい人、農業の指導者、消費者との交流、生徒や学生のインターンシップなどに役立てたいと思ったからです。現在、3つの施設を中心にその夢実現に向けて挑戦しています。主な内容を紹介しますと、私が経営する「エイチアンドケイ」と農業に関する人材の育成や安心・安全に関する調査研究。札幌の会社社長の協力を得て岩見沢市栗沢に開設した有機野菜専門の研修施設「ほのぼのふぁーむ」での人材育成と有機農業の調査研究。北海道社会福祉事業団が運営する知的障害児者総合援護施設「太陽の園」との委託契約よる農場経営などを行っています。
このコーナーを通して、農業や農業教育を通して培った精神で人を育てる、農業の持つ教育力、農村の食、文化などの必要性を説きたいと思います。
■長谷川 豊(はせがわ ゆたか) 昭和16年、北海道当麻町生まれ。酪農学園大学卒。39年、北海道高等学校教員に採用。剣淵高等学校長、標茶高等学校長、岩見沢農業高等学校長などを歴任、平成14年4月から酪農学園大学教授。現在、同学教職センター教授。
NPO法人農業塾風のがっこう専務理事、農業生産法人有限会社エイチアンドケイ代表取締役を兼務。専門領域は、農業人を育てる、食・農教育、インターンシップ、野菜、花卉栽培など。
主な役職は、NPO法人あぐりびれっじ理事、NPO法人日本青年海外派遣センター顧問、日本ボランティア学習協会常任理事、日本青年奉仕協会評議員、文部科学省目指せスペシャリスト企画評価会議委員、北海道社会福祉協議会福祉教育専門委員。 






| 岩見沢市の研修施設「ほのぼのふぁーむ」で人材育成と有機農業の調査研究を実施 |
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| 伊達市にある知的障害者総合援護施設「太陽の園」と委託契約、農場経営を行う |
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関連サイト

NPO法人 農業塾風のがっこう
http://www.kaze-school.com/






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