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辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」<CLO>


02月12日(月) 13時45分
文:辻 



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 観客を魅了した「CLO」の演奏
 ベテラン達の新たな冒険。

 2月1日から28日までの1ヶ月間、札幌市西区地下鉄琴似駅にある「ターミナルプラザことにパトス」で、「西区文化フェスタ2007」が開催されている。

 毎日会場にて、日替わりで様々なジャンルの音楽やダンス、芝居の上演のほか、書道や華の展示なども行われている、まさに文化的なフェスタ。2月7日、このフェスタに出演した「ケルティック・ライト・オーケストラ(以下CLO)」の演奏を聴いてきた。

 この日が初ステージとなるCLOは、日本でも人気が高いアイルランド民謡などの、ヨーロッパに広く伝わる伝統音楽、いわゆるケルト音楽と、これもヨーロッパから生れたクラシック音楽の両者の魅力を融合した演奏をするグループ。
 
 札響との共演や、次世代の演奏家の育成でも知られるバイオリン奏者の武田朗秀氏、ワールドミュージックに造詣の深い大前光弘氏をはじめ、クラシックのみならず普段はロックやフォークを演奏している人など、ジャンルを越えた5名の演奏家によって結成された。

 「グリーンスリーブス」や「ダニーボーイ」など、日本でもよく知られている音楽を中心に演奏しながら、ケルト音楽についての解説がなされ、またクラシックとケルト音楽の奏法の違いを紹介した上で、「アヴェマリア」などクラシックの曲をケルト風に演奏するなど、演奏者同様、ほぼ満席となった観客にも、ジャンルを超えて音楽を楽しんでもらえるような工夫がされていて興味深い。なんとなく小学生の時に体験した、故・岩城宏之氏による実演を交えたクラシック音楽を解説する演奏会を思い出す。アレは楽しかった。退屈だったクラシックに興味を覚えた瞬間だった。

 さて、このCLOのステージでは、ピアニスト辻千絵さんによる、初めての弾き語りや、武田氏がアイルランドの伝統楽器である「ティンホイッスル」という笛を吹くなど、それぞれの演奏家達が手馴れた演奏を披露するだけではなく、メンバーにとっての新しい挑戦も垣間見ることができた。決して「素晴らしい技術」とは言えず、正直言ってハラハラする場面もあって、演奏の水準として不満を感じる方もいたかもしれないが、僕自身はちょっとした感動を覚えた。

 自分の専門の楽器に関してはプロであり、高い評価を得ている人が、専門外の音楽と出会い、自分の音楽的な挑戦に嬉々として取り組んでいるのだ。ベテランといっていい演奏家達が、いまだに初めて楽器を手にした喜びや、音楽に対する好奇心や冒険心を失わずにいる姿は、観ているだけで暖かい気持ちになれた。

 その楽しさが伝わったのか、最初はかしこまっていた客席も後半に入るにしたがって少しずつほぐれ、メンバーが得意な楽器で存分に盛り上げたラストには、会場が手拍子と笑顔に包まれていた。

 メンバーそれぞれが引く手あまたの演奏家だけに、次回の公演がいつになるのかわからないCLOだが、また再びこの瑞々しい演奏と、そして少しずつ上達していく挑戦の過程を楽しませてくれることを願いたい。








■辻 正仁(つじ まさひと)

1966年生まれ。
FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。
自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。







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