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醜悪、オババの乗車マナー


02月19日(月) 17時15分
 


 「まったく近頃の若者は……」―――いつの時代にあっても、年長者が異口同音に嘆く言葉である。

 ところが、そろそろ、この言葉自体が時代の趨勢からして、世情を反映しない死語になりつつあるのではないか、と思えて仕方がない。

 そんな趨勢を端的に示す事例は地下鉄での乗車マナーだ。俺はすでに五年ほど、地下鉄で通勤しているが、車内には日々、“新しい発見”がある。

 到着する地下鉄を待つためにホームに並んでいると、大抵、平然と横入りをする輩がいる。この光景を目の当たりにするのは、ほとんど帰宅時に限定される。

 出勤時、横入りを見ることは極めて稀だ。朝、同じホームで同じ時刻に来る地下鉄を待つ顔ぶれにさほどの違いはない。さすがにホームで毎日のように顔をあわせる人々を前にして横入りことは、かなりの鉄面皮でもためらわれるということか。

 ともかく、帰宅時のホームで横入りをする光景は連日のように遭遇する。

 ただし、俺の調査(緻密なデータを集積したわけではないが…)では、横入りをする人物には、相反するふたつの傾向が見られる。

 まず、ひとつ目(以下、第一パターン)。多少、女性の比率が高いものの、男女を問わず若者。横入りこそするが、一目散に空席を目指すわけではなく、足早に居心地の良いと思われる“空間”に紛れ込む。居心地が良いというのは、比較的、他人と距離感を維持できる場所のようだ。例えば車両の連結部付近などのように、よほど込み合わないかぎり、最低限20センチは他人との空間を保つことができる“精神的な優先席”である。

 第一パターンは横入りしたにも関わらず、座席に座ることがないため、事前に並んでいた人々に実害はない。

 続いて、ふたつ目(同、第二パターン)。これは中年女性あるいは高齢者に多い。ホームに並んでいる人々などお構いなしで、車両がホームに停止すると、恥じらいもなく最前列から横入りして、ひたすら空いている席に腰を下ろす。この第二パターンは従来から見られるものだが、最近は第一パターンとの類似点が目に付く。

 俺は帰宅時、地下鉄大通駅から乗車する。大通駅は最も乗降客が多いため、第二パターンのオババが横入りをしても、“希望”は十分に満たされない。地下鉄の座席は9人掛けが最も多い。オババは9人掛けの椅子のどちらか端に座りたいようだが、大通駅で乗車しても端に座れるとは限らないためだ。

 駅をいくつか通過すると、下車する人がいるため、両端に空席が生じる。するとオババはバーゲンセールに飛びつくかのように、必死で端の席に移る(というパターンが多い)。

 端の席は、隣の席に誰かが座っていても、両端を他人に挟まれるという不快感に苛まれることはない。オババにとっては心地よい席を奪取したことになるようだ。

 このように横入りは第一、第二パターンを問わず、他人を蔑視、あるいは軽視、もしくは毛嫌いして、自らの空間確保に躍起になると一点において、極めて類似した排他的行為と言える。

 このように最近の地下鉄の乗車マナーを列挙しただけでも、到底、「まったく近頃の若者は……」などと一括りにはできない。

 最後に、一見、定職を持たないかのように見え、場合によっては他人に威圧感を与える若者が、地下鉄や列車で妊婦や老人に席を譲るすがすがしい姿を複数回見たことを付記しておく。











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