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母親の転落死から1年 すくすく育つ円山動物園のチンパンジー「レディ」


04月26日(木) 18時55分
文:糸田 写真:糸田



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「レディ」と祐川飼育員
 1年後の群れへの復帰に向け、飼育員と“二人三脚”。

 昨年4月23日、札幌市円山動物園(中央区宮ケ丘)で、チンパンジーの「エリサ」(推定29歳、メス)が転落死した。エリサは、同園のチンパンジー館にある高さ15メートルの鉄塔から転落、全身を強く打ち、ショックによる心不全で死亡した。

 事故の際、エリサは生後2カ月の我が子「レディ」を抱いていたが、赤ん坊にけがはなかった。

 「チンパンジーが鉄塔から落ちることはほとんどないが、エリサは昔、片腕をけがして握力がかなり落ちていた。レディを抱きながら落下したため、手や足で自分の体をかばうことができず、鉄塔に体を打ちつけながら落下したようだ」と、チンパンジー担当の祐川猛飼育員は振り返る。

 当時、円山動物園のチンパンジー館には、子育て中で母乳の出るメスがいた。しかし、チンパンジーの母親が同時に2頭を育てることはあり得ず、同園では1歳未満で初となる人工保育を決断した。

 祐川飼育員が「最初は2カ月間母乳で育っていたこともあり、ミルクを飲んでくれないんじゃないかと不安だったが、元気にミルクを飲みました。現在は群れに戻れるかなどの不安もあるが、訓練ではほかのチンパンジーと楽しく遊んでいる」と語るようにレディは元気に生活している。

 祐川飼育員は、事故後の10日間ほどは寝るときもレディと一緒に過ごした。チンパンジーは5歳までは子どもして扱われ、誰かに育ててもらわないと生きることができない。現在1歳2カ月になるレディは1日3回のミルクをもらい、祐川飼育員がほかの仕事をしている間も抱きついている。

 レディは祐川飼育員を母親と認識しているという。「私以外はミルクをやれない状況になる恐れもあったので、母親を識別できるようになる生後4カ月までは、いろいろな飼育員に世話をしてもらい、現在は母親が私、ほかの飼育員は親の仲間として認識しているようだ」(祐川飼育員)

 今後は、離乳食を終える2歳をめどに、チンパンジー館に居るメスを里親として群れに戻す予定。現在は飼育員と過ごす時間を減らし、群れに戻すための訓練のため、兄のチンパンジーと遊ぶ時間を増やしている。

 人工保育で育ったチンパンジーは、群れに戻った後の成長段階でチンパンジー社会のルールが理解できず、適応できないこともある。さらに交尾の仕方が分からなかったり、トラブルに対応できず群れの中での求心力を失うオス、子育ての方法が分からず、育児を放棄するメスなど、生活に窮する場合もある。

 チンパンジーの社会では、5歳を過ぎると群れのルールを厳しく学ばされる。群れを離れて育ったレディが、群れに戻った時、そうした事態に対応することが不可欠。

 祐川飼育員は「レディのいまの状態はチンパンジーと人間の中間」と見ている。チンパンジー社会に徐々に慣れながら群れに復帰するまで、祐川飼育員とレディの“二人三脚”は続く。






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いたずらをするレディ


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ミルクを飲むレディ



関連サイト

円山動物園
http://www.city.sapporo.jp/zoo/index.html






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