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増殖する“蛇使い”


 
「ビルヤマニシキヘビ貸してくださ〜い」。息子の三四郎が係員に声を掛けた。
休日を利用して、南区にある「ノースサファリサッポロ」に家族でやって来た。ここには、モモンガやフクロウ、ワラビー、ペリカン、スローロリス、ビーバーなど、さまざまな動物がいる。ところが、息子はほとんど「ヘビーオンリー」。娘のひなたも、ヘビとフェレットにばかり触っている。
蛇年の俺は「ビルヤマニシキヘビ??、聞いたことないな。動物図鑑の好きな三四郎が言ってんだから、ビルの谷間に生息しているビル山ニシキヘビのことだろう」と、取り敢えず好奇心を募らせた。
三四郎が手にしたヘビは、色素のない黄色いアルビノ。肌に伝わる感触はスベスベ、体長は1メートルほどだと思った。このヘビは体長は4メートル以上、大きいものだと6メートルほどになるそうだ。
ところが性格は非常におとなしい。大きなヘビを首に巻いて写真を撮影する場合、多くは、このヘビだという。小心者のイメージが定着した男は、このヘビと一緒に撮影した写真を見せれば、ケツの穴の小ささを払拭できるという誠にありがたいへビである。
俺もビルマニシキヘビの頭を持って尻尾を地面につけてみたが、本当の体長は2メートルを超えていた。適度な重量感があり、皮膚の下の骨格も十分に感じ取ることができる。脱皮して間もなくだったようで、腹部には皮が残っていた。さらに排泄口の近くには、後足の痕跡となる3ミリ程度の爪があった。
息子はすぐに「ヘビを返せ」と俺から奪い、再びじっくりと触りはじめた。
すると娘も「三四郎ばっかりズルイ。ひなたにも触らせて」と叫ぶ。我が家のガキはなぜか、ヘビが好きだが、そのきっかけは皆目見当が付かない。
最近、ヘビやトカゲをペットとして飼育する若い女性が多いというが、我が子の姿を見ていると理解できるような気もする。若い女性は、ヘビの従順さを「カワイイ」と換言しているのだろう。
ヘビに群がる人々を観察していたカミさんがこんな論評を口にした。
「女の人は、『カワイイ』とか『怖いっ』などと言いながら、楽しそうにヘビを触ってるね。逆に男の人はヘビが嫌いそうだね。男の人は彼女に言われて、嫌々ヘビを掴んでるね」
昨今の世相を反映したカミさんの一言に合点した俺は、ヘビの頭部を自分の面にぺタリと付け、周囲の野郎に誇示したが、期待した反応はなかった。 










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