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辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」<静かなブーム?“のこぎりミュージック”>


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06月04日(月) 15時10分
文:辻 写真:辻 |
 
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| 自ら研究開発した弓でのこぎりの美しい音色を引き出す |
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のこぎり演奏で2度の世界一、サキタハヂメ氏の北海道ツアー。
先日身内の不幸がありまして、その葬儀の後から身体が重だるく眩暈も感じている辻でございます。行った先から何かを連れて帰ってきたかと心配してたけど、昨日からノドが腫れてきました。風邪だったみたい。
そんな折、6月2日に札幌市中央区のCDショップ、おなじみ「音楽処」でのインストアライブのお手伝いをしてきた。この日の出演はサキタハヂメ。なんと「のこぎり」を楽器のように演奏する人だ。
のこぎりを弦楽器のように弓で擦ったり、マリンバなどの叩くマレットを使って音を出し音楽を奏でるというのは、都家歌六氏が有名だ。少なくとも、僕のような演芸ファンなら知っている。それ故、日本ではもしかしたら、寄席の合間で見れる珍しい「芸」だという印象があるかもしれない。それはそれで素晴らしいものなだが、認知のされ方が音楽というより「出し物」に近いのではないだろうか?
しかし、本家アメリカではメジャーとは言えないものの「ミュージカルソウ」などと呼ばれ、今や「のこぎり音楽祭」なるものまで行われている。そして、世界中の「のこぎり演奏家」が集うこの音楽祭で過去2度の優勝経験を持っているのが、サキタハヂメ氏だ。2004年には彼を中心に、日本でも初の「のこぎり音楽祭」が開催されている。
さて、その「ミュージカルソウ」というのが一体どんなものか、実際に間近で鑑賞するのは僕も初めて。いや、楽しいもんでしたよ。
木を切るのこぎりの取手の部分を両腿に挟んで、先端部分を片手で掴み、スチールを少し曲げて持つサキタ氏。そしてもう片方の手に持った弓でのこの淵をそっとなでると、優しくて柔らかな音色がそうっと出てくる。Saw(のこぎり)なだけにね。
のこを掴んだ手で湾曲を調整することで音程をつけているようで、取っ手を挟んだ足を「貧乏揺すり」みたいに小刻みに震わせてビブラートをかけてるみたいだ。その音色を活字でお届けするのは難しいが、胡弓に似ているけれどもっと優しい音がしたし、演奏する姿がプラスされて、なんだかユーモラスな空気をかもし出してる。
この音を聴いていると、なんとなく演奏するサキタ氏の背景に森が見えてくるような気がした。今みたいに効率を追求して機械でやたらに木を切り倒す以前の、森を愛し、恐らくは自然に対する敬意を感謝を持ちながら自分の身体を使って木を切っていた「木こり」の音楽なんだろうな。多分、演奏者の人間性が如実に音にでる“楽器”だと思う。
昨今のように電源を入れてボタンを押せば誰でも同じ音が出せて、ヘタすると楽器が勝手に演奏してくれる時代に、サキタ氏がのこぎりを演奏する姿から、修練を重ねて、自ら工夫を凝らしてきた人に、それぞれの音色が与えられるという、楽器の原点を見た思いだ。
インストアライブを聴きにきた人の中には、先日買ったという自分ののこぎりを持参してきて、ライブを終えたサキタ氏に音の出し方をレクチャーされる一幕も。気づけば、他のお客さんたちも集まり、かわるがわるのこぎりを手に演奏に挑戦している。ちょっとしたワークショップ状態だ。中には、練習を積んでいるらしく綺麗な音を出す人などもいる。
今では、実際の目的ではなく最初から演奏に使うことを目的にした、楽器としての“のこぎり”も作られているそうで、どうも密かに「のこぎり音楽ブーム」が進行しつつあるようだ。まぁ、サキタ氏の演奏を聴けば、自分でもやってみたくなるのも無理はない。
サキタハヂメは、昨年12月に世界でも珍しい、のこぎり音楽によるアルバム「Musical Saw Songs”S”」を発表。その発売記念ツアーの一環として、音楽処でのインストアライブを皮切りに、約1週間の北海道ツアーをスタートさせた。最終日の6月6日は、札幌市中央区の時計台ホールにて、木で作られたホールに、のこぎりの優しい音色という最高のシュチエーションでのライブだ。開演は午後6時30分。
このライブの詳しいお問い合わせは「日本のこぎり音楽協会北海道支部」(メールアドレス e-mail:kapo@kuf.biglobe.ne.jp)まで。
こんな協会が、しかも支部まであるんだから、やはりのこぎり音楽ブームはもうそこまで来ているのだ。







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■辻 正仁(つじ まさひと)
1966年生まれ。 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。 自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。 |



関連サイト

サキタハヂメHP
http://www.musicalsaw.net






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