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辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」<レアなのに、ポップな味わい>


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06月06日(水) 10時00分
文:辻 写真:辻 |
 
札幌在住のシンガー・ソングライター松倉サオリの珠玉のポップソング。
札幌市厚別区にあるコミュニティFM放送局、“FMドラマシティ”(77.6MHz)で、僕は毎週月曜日午後6時からの1時間番組「KurageYa本舗」のパーソナリティを担当している。まぁ、ここでも何度か紹介させてもらってるんでご存知かとは思うけれど、時たまミュージシャンのゲストを迎えたりして、生放送で楽しく喋らせてもらってます。
前回6月4日の放送は、札幌在住のシンガー・ソングライター、松倉サオリさんを迎えてお届けした。5月23日に発売したニューアルバム「レアポップ」のプロモーションを兼ねてスタジオに遊びに来てくれたのだが、実は僕がこの放送局で番組を持つようになったのは、彼女の紹介のおかげだったりする。
で、ふと思いついて、今回はゲストコーナーをそっくりそのまま「音ラインにゅ〜す」の取材インタビューにしてみた。番組のトークゲストで来ていただき、ついでに原稿も書かせてもらうという「一石二鳥方式」で、ニューアルバムについて語ってもらった。
松倉サオリのニューアルバム「レアポップ」は、全10曲収録。2曲の作詞を除く全ての作詞・作曲・編曲を彼女自身で行い、できるだけ「自分の頭の中で鳴っている音楽」をそのままCDという形で表現することを目指した。
そのため、ほとんどの演奏やプログラミングなども彼女自身の手で行い、外部ミュージシャンを起用したトラックも、イメージ異なる部分は改めて自分の手でやり直したという。悪い言い方をすればミュージシャンの「マニアックなこだわり」であるが、それは「自身の表現から妥協を排除した態度」でもあるな。
デジタル機材などの最新の技術を使用しながら、効率主義とはかけ離れた手作業での制作が進められたようだ。こうした作業をあらかじめ決められた時間の中で行うのは決して楽なことではない。作業を終えてスタジオを出ようとしたら、精根尽きて床に倒れて動けなかったこともあったという。
ある意味、アーティスト松倉サオリの“執念”ともいえる製作過程を経て生まれたこのアルバムだが、収められた10曲はいずれも珠玉のポップソング。聴いている人に、音楽的な細部のこだわりや本人の執念なんか微塵も気づかせない、爽やかで心地よい音楽が伝わってくる。多分、彼女のこだわりも執念もそんな音を描くためにあるのだろう。
透明感のある伸びやかな歌声に乗って、心にさりげなくすっと馴染む歌。彼女は今回のアルバムの特徴として、自分の少女時代に親しんだ80年代中期、まだ「歌謡曲」と呼ばれていた日本のポップスを引き合いに出し「当時の歌謡曲はスゴく親しみやすいのに、いざ歌おうとすると何回も聴いて覚えて、練習しなきゃ歌えなかった」
そう、今のようにCMなどのイメージソングとしてや、短期間でのヒットをねらって、覚えやすいフレーズばかりを要求されなかった頃のポップスは、簡単そうに聴こえて、メロディーやアレンジの中になかなか真似できないような複雑な工夫が凝らされていた。そして、それが多くの人をひきつけ、長い間楽しめるような魅力に繋がっていたのだ。
アルバム「レアポップス」はそうした魅力を今の時代に合うポップスとして蘇らせたものだ。親しみやすく、自分も歌ってみたいという気になるが、なかなか歌えない。でも、どうしても歌いたいから何度も聴いてみる。そうしているうちに、ますますその歌が好きになって、また何度も聴いてしまう。
サウンドや歌声の心地よさに惹かれて繰り返し聴いているうちに、アンサンブルのさりげない工夫に気づき、魔法のタネを発見したような喜びがある。実際、専門的に聴いてみると、彼女の曲はジャズなどで使用される複雑なコードがめまぐるしく展開していて、その複雑さがナチュラルに響いてくる要因になっているのだ。
かつてどこかで耳にしたことがあるような、懐かしさを覚えるが、実は彼女の個性が光るメロディも含め、まさに滅多に出会えない「レアもの」の音楽。それが通好みとかマニアックになることなく、多くの人に親しみをもって受け入れられる「ポップ」な魅力を放つ要因として機能しているアルバムだ。
最近よく30代以降の人達の「音楽がつまらない」とか「ヒットしたから聴いてみたけど、すぐ飽きた」なんて声を耳にする。そういった方達にぜひとも聴いてもらいたいアルバムだ。一聴して心地よく、いつまでも飽きのこないアルバム。タイトルの「レアポップ」という言葉が、その魅力をそのまま語っている。
とまぁ、スタジオでのトークをもとに書いてみたけど、こういう話を実に気さくな態度で語ってくれて、しかも「レアポップってタイトルの付け方うまいよね」と言うと、「いやぁ、あとからこじつけるのがうまいだけ」なんて笑ってたことも含めて、松倉サオリ本人がレアポップな存在なのかも。 






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■辻 正仁(つじ まさひと)
1966年生まれ。 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。 自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。 |



関連サイト

松倉サオリ公式HP
http://saori-matsukura.com/






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