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ジンギスカン「だるま」脱税事件初公判 実務を仕切っていた経営者の妻に懲役2年を求刑


06月18日(月) 19時20分
文:東  



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ススキノの「だるま本店」
 被告はすでに約6億4,000万円を納税。

 経営破綻した在日朝鮮人系信用組合から不良債権を引き継いだ整理回収機構が、実質的な融資先である在日本朝鮮人総聯合会に対し、およそ627億円の支払いを求めた訴訟で、18日、東京地裁は請求を認め、朝鮮総聯に全額返還を命じる判決を言い渡した。

 同じく18日、札幌・ススキノのジンギスカン店「だるま」を経営、2003年から05年までに約1億7,000万円を脱税したとして、所得税法違反容疑で起訴された同社社長の金和秀(キムファス)、妻・徐澄子(ジョスミコ)両被告の初公判が札幌地裁(井口実裁判官)で開かれた。

 白髪、痩身、紺のスーツを着た67歳の金被告とグレーのスーツを着た61歳の徐被告は午後2時30分、揃って入廷した。裁判官に氏名、生年月日、国籍、仕事の人定質問をされた両被告は、間断なく答えた後、検察官の起訴状朗読に聞き入った。

 検察官は札幌西税務署に虚偽の税務申告をしたこと、「だるま」の確定申告書を作成し税理士法違反容疑で起訴されている河栄学(ハヨンハ)被告と共謀の上、所得を秘匿したことなどを指摘、所得税法違反を問う起訴状を読み上げた。

 井口裁判官が「どこか間違っているところはありますか」と罪状認否を行うと、両被告はそれぞれ「ありません」と起訴事実を認めた。

 検察官は冒頭陳述で、金被告は実母が死亡した1992年に「だるま」を引き継ぎ、翌93年に支店を開設したが、売り上げは一括して徐被告に報告されていたこと、さらに同被告が売上高と経費を恣意的に決め、仕入れ先の業者に領収書を2重に提出させていたことを明かした。

 検察官は、「だるま」の遅番従業員による供述や納入業者による請求書の不正工作に関する供述である甲号証と金被告が徐被告に対する監督を怠っていたことを述べた乙号証の証拠を提出した。

 弁護人の被告人質問に対して、金被告は「責任を押し付けるようで言いづらい面がありますが、(「だるま」の経営を実質的に取り仕切っていたのは)妻です。(店の収入、収益、経費は)全く知りませんでした。(「だるま」の経営に)手が回らないというよりは手を回そうともしなかった。総聯、商工会の活動に支障をきたすためです」と答え、だるまの経営には一切携わっていなかったことを強調した。

 金被告は札幌国税局の査察が入った翌日の昨年6月6日、朝鮮総聯北海道本部の常任委員長と在日本朝鮮海道札幌商工会の相談役を辞任した。「査察の方が金庫から売上帳を持っていき、それを見せられてはじめて売り上げの大きさ、ことの重大さを知った。辞職は当然と考えたが、同胞のために続けてきた職場がなくなることは非常に辛かった。同胞や日本の友人との信頼を失った」と語った。

 また金被告は逮捕後、脱税した金を北朝鮮に送金した可能性があると報じられたことについて「根も葉もないことで辛かった」と胸中を吐露した。

 続いて徐被告は、1992年に実質的な経営を引き継いだ際、「正確な申告をすると高額の納税をしなければならない。後ろめたい気持ちはあったが、重大には考えていなかった。前年の売り上げから数百万円を上乗せし、2003年のジンギスカンブームで売り上げが急激に伸びてからは1,000万円くらいを上乗せした」と脱税の手口に言及した。「お金を稼いだり、「だるま」の仕事をしてくれなくても、主人が公職に就いていることが誇りだった。私のせいで主人や嫁(息子の妻で逮捕後、起訴猶予)が苦しい取り調べを受けていたことは身の縮む思いだった。朝鮮人として日本に住んでいるが、日本の法律を守らなかったこと、店の繁盛ばかりに気を取られ脱税を招いたことを反省している」と述懐した。

 弁護人は公判で、両被告が検察官に告げていない使途不明金の存在を明らかにした。徐被告は「母がなくなった時、1,900万円の遺産があり、700万円の墓を買った。これに私たちが少し補充し、03年に金庫にあった現金を主人の弟に500万円、3人の妹に300万円ずつ渡した。母が亡くなり土地を相続したが、金銭に余裕のある私たちだけが相続するのはどうかと思い、母の13回忌に兄弟4人に1,000万円ずつを渡した」と明かした。

 検察官は「虚偽の過少申告は悪質」として、論告で金被告に罰金5,000万円、徐被告に懲役2年を求刑した。

 一方、弁護人は金被告が01年以降、修正申告をし、預貯金や現金、生命保険の解約、金塊の売却によって重加算税や延滞税、消費税など総額約6億4,000万円を納付したこと、昨年8月に店を株式会社化して顧問税理士の指導を受けていること、逮捕後、徐被告が心労から鬱病となっていることなどの情状を説明した上で、「被告が再犯に及ぶ可能性は皆無。金被告には低額の罰金刑、徐被告には執行猶予のついた判決が出ることを切望する」と述べた。

 判決は7月23日に言い渡される。






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今年6月、事件に関連して捜索された朝鮮総聯北海道本部






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