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「札幌シネマ通(ツウ)」<名作オペラを完全映画化>


06月26日(火) 10時00分
文:辻 



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「魔笛」は札幌シネマフロンティアにて8月下旬からの上映を予定
 「魔笛」、8月公開予定。

 ご無沙汰しております。辻でございます。このところ妙な風邪をこじらせ、しばし床に伏せっておりました。みなさまも体調にはくれぐれもご注意を。

 さて、今回は僕が風邪をひく前日に観に行った試写会の作品をご紹介。「業務試写会」のために、一般の劇場とは別の小さな試写室で行われたこの試写会。

 時間ギリギリで到着したために、スクリーンから2メートルくらいの距離しかない一番前の席に座るハメになりましてですね。冒頭の草原を写した空撮のシーンで乗り物酔いしたような感じになりまして…思えばあれから体調を崩したのだった。でも、それと作品は別問題なので、決して「観たら体調が悪くなる映画」ではございません。どうしても心配なら画面と適切な距離をとってご覧いただければ大丈夫。

 前置きが長くなったけど、作品のタイトルは「魔笛」。クラシックやオペラに興味のない方でも、タイトルくらいは聞いたことがあるだろう。大作曲家モーツァルトの最高傑作と言われるだけでなく、「ドイツ・オペラの最高峰」と評される名作オペラである。僕も名前だけは知っていた。

 映画「魔笛」は、シェイクスピアの「から騒ぎ」を映画化したことなどで知られるケネス・ブラナー監督が、今度は傑作オペラの映画化に挑戦したものだ。ちなみに、この監督は役者としても活躍していて、最近だとハリー・ポッター・シリーズにも登場してるので、役者のほうでご存知の方も多いかもしれない。

 ケネス・ブラナーは、1791年に初演されたオペラ「魔笛」の持つ魅力はそのままに、現代の人々がスクリーンで楽しめるミュージカル映画に作り変えた。ファンタジックで神話的世界ともいえる原作の設定を(この原稿のために、少しだけ原作のほうも勉強してみた)、第一次世界大戦頃のヨーロッパに置き換え、物語を再構築。また、CGを駆使しての映像は、舞台で上演される原作を、幻想的かつスケールの大きなものに仕上げており、僕のようにオペラに馴染みのない者にも抵抗なく楽しめる作品になっている。

 その上で、モーツァルトが「魔笛」のために作曲した全22曲を完全に網羅。出演する主要な役柄は「当代随一のモーツァルトの歌い手」と賞賛されるルネ・パーペを筆頭に、現代最高峰のオペラ歌手が勢揃いするなど、本格的なオペラファンも興味を掻き立てられ、舞台と映画、それぞれの魅力を楽しめるのではないかと思う。

 映画化にあたり、ドイツ語で歌われるオリジナル曲を全て英語詞に訳している。ケネス監督によると、単純に直訳したものではなく、イギリス映画として観客にすんなり受け入れられる英語を使いながら、歌の中でドイツ語的な響きに聞こえるように工夫したという。コレは、例えば桑田佳祐が英語みたいな響きをする日本語の歌詞を歌ってるのと似たようなものなのかな? 

 ところで、僕は冒頭で書いたように、オペラに関する知識がまったくない。その上、正直言って「ミュージカル」というものがあまり好きではない。物語のセリフを唐突に歌い始めるのにどうしても違和感があるのだ。おまけに、最初のシーンで乗り物酔いして、その後は浪々と歌われる歌曲のオンパレードで、今度はその心地よさに眠気にも襲われた。隣の席の人なんか、睡魔と闘いながらそれでも勝てないのか連獅子みたいに首をグルグル回して寝ている。

 実際、2時間19分のこの映画、セリフを歌わずに物語りが進行すれば、多分40分くらいで終る話だと思う。いや、それだと何の醍醐味もないんだけど。やっぱりオペラというのは歌ってはじめて作品が面白くなるようにというか、歌う事が作品の根幹なんだなと、今更ながらよく理解できた。後半になるとそんなオペラの世界に引き込まれて歌と映像が織り成す物語を堪能していた。

 やはり、一流のオペラ歌手、そして一流の映像が持つ力というのは凄いなと。オペラに興味もなくミュージカル嫌いのものまで引き込んでしまうケネス監督の演出というのは、大したものだと思う。

 そんなわけで、この「魔笛」は従来のオペラファンは勿論だけど、僕のようにオペラに関心のない人が、どんなものなのか味わってみるにはうってつけかもしれない。いきなり舞台を観に行くとちょっと厳しいけれど、映画なら映像の素晴らしさと字幕が難解さをフォローしてくれる。
 
 物語は実に単純明快。大衆が喜ぶ娯楽作品の中に「愛と音楽の力で、世界に自由と平和を」といったテーマが盛り込まれている。こう書くと、ビートルズのアニメ映画「イエロー・サブマリン」とほとんど変らないや。

 「魔笛」の一般公開は、札幌では、札幌市中央区の札幌シネマフロンティアにて8月下旬からの上映を予定している。







■辻 正仁(つじ まさひと)

1966年生まれ。
FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。
自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。



関連サイト

映画「魔笛」オフィシャルサイト
http://www.mateki.jp






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