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自民党惨敗 キーワードは不祥事発覚後の「鈍感(力)」


07月31日(火) 17時20分
文:市民記者 高塚 



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首相就任後、初めての大型選挙で惨敗
 有権者を逆なでした問題閣僚の対応。

 周知のように自民党は29日の参院選で惨敗を喫した。

 マス・メディアはその敗因を「年金記録問題」「政治とカネ」「閣僚の失言」などさまざまな観点から分析した。

 実際、5,000万件を超える“消えた年金”問題の発覚後、回復傾向にあった安倍内閣の支持率は、各紙の世論調査で急落した。中でも時事通信が6月に実施した世論調査は、政権が発足した昨年9月以来、最低の28.8%となり、参院選の結果を予兆するかのような結果になった。

 確かに年金記録問題は大きなマイナス要因だった。だが、拙速すぎるとはいえ、24時間の電話相談回線の増設、証拠(証明書類)をもっていない人を救済するための第三者委員会設置など、首相のリーダーシップによって善後策が講じられ、参院選で被るであろう大打撃は多少なりとも回避されつつあるかのようだった。

 ところが6月30日、爆弾が炸裂。久間章生防衛相の「しょうがない」発言である。発言内容そのものよりも、翌日、テレビに出演して発言の撤回や訂正をする考えがないことを明らかにした久間氏、さらに久間氏の辞任を否定した任命権者である安倍晋三首相の事態を軽んじた対応が有権者の不信感を一層募らせた。

 辞任した久間氏の後任は小池百合子氏。「女性初の防衛相誕生」は意外にも、好意的に受け止められたが、続いて赤城徳彦農水相の政治団体の事務所費問題が取り沙汰された。野党が「やましいことがなければ、領収書を公開すべき」と迫っても、当の赤城氏や安倍首相の説明は、のらりくらりとしたもので、まったく要領を得なかった。

 何度「事務所費はルールに則ってやっている」と説明しても、それを聞いた国民には言い訳としか聞こえなかった。この問題はいまなお、収束せずにくすぶったままだ。赤城氏が“ザル法”と揶揄される政治資金規正法に定められた範囲で処理していると抗弁しても疑惑を払拭することはできない。もぞもぞと言い訳をしているという印象は強まるばかり。

 久間氏も赤城氏も東大法学部を出たエリートではあるが、有権者は「本当に大切なことは教わらなかったし、学びもしなかった」と思ったに違いない。それは政治家に対する不信感というよりは、失望だろう。誠実さを欠いた上、メモを棒読みした赤城氏の説明で納得する有権者は皆無だろう。

 好きとか、嫌いなどという感情論ではなく、単純に「こうした人物が国政の中核をなすことはアブナイ」ということだ。

 小泉純一郎前首相は、中川秀直自民党幹事長らに「鈍感力が大事だ。支持率をいちいち気にするな」とハッパをかけたと報じられた。「鈍感力」は渡辺淳一氏が刊行したエッセーのタイトルであるが、安倍内閣の閣僚は、渡辺氏の「鈍感力」とは裏腹に、悪い意味で政治家の「鈍感力」を増幅させ、不祥事や失言の際に求められる迅速で誠実な対応を怠った。

 不祥事や失言が生じた以上、真摯な説明は義務である。ところがそうした事態に陥っても有権者が抱いた不信感をさらに募らせることしかできなかったことは、重責を担うべき閣僚としての資質が欠如していることにほかならない。

 こうした政界という“ムラ”でしか通用しない論理を軽々に庶民に理解してもらおうという姿勢が安倍内閣に蔓延し、参院選での惨敗を招いたわけだ。

 一方、参院第一党の座を勝ち取った民主党に積極的な一票を投じた人はどれほどいたのだろうか。

 「自民党は酷すぎる」「一度は民主党に入れてみるか」「今回は自民党にお仕置きする」「自民党の議席は多すぎる」など、理由は十人十色であっても、民主党が掲げた政策を高く評価して投票した人はそれほど多くないはずだ。

 自民党の自滅、敵失によって躍進したのが今回の民主党。今後、自民党が参議院で苦戦を強いられるのと同様、民主党に対する有権者の視線は一層厳しくなる。

 安倍首相は当初予定されていた参院選の日程を1週間延ばし、国会会期を12日間延長した。投票率が下がる夏休み期間に投票日を順延すれば、年金問題の沈静化ばかりでなく、自民党に有利という算段も働いてのことだろう。

 参院選での勝敗を意識するならば、一連の問題が発生した際にも傷口を広げずに済む対処方法があったはずだ。にもかかわず、事態を甘く見たのは鈍感だったというほかない。

 選挙で惨敗した安倍首相の続投に対し、自民党から表立っての異論は少ない。“ポスト安倍”が見当たらないことが理由のようである。だが、実際には、浮動票を集めることができる魅力的な総裁、つまりはポスト安倍がいないかぎり、次の衆院選で落選を危惧する議員が多いということだろう。

 安倍首相は1カ月後にも内閣改造を断行するという。その際は“有事”に鈍感な人材でなく、安倍首相に苦言を呈する“強面”や“一言居士”を登用してもらいたい。そうでなければ、解散・総選挙となった場合もまた惨敗は免れないだろう。







■市民記者 高塚 智(たかつか さとる)

1965年、小樽市生まれ。札幌市在住の市民記者。
高校在学中にオートバイの事故で失明。鍼灸・マッサージ治療院を経営。
スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を用いて原稿を書く。






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