|
辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」<北海道の豊かな音楽を堪能>


|
|
08月30日(木) 09時35分
文:辻 写真:辻 |
 
 |



| イベントのラストは「佐野史郎」氏を中心としたスペシャルライブ、バックの窓からは札幌の夜景が広がっていた |
|
|
 |
the tip connection Vol.3。
昨年に引き続き、行ってきました「the tip connection」。今年で3回目となるこの音楽イベントは、70年代から活躍し、日本のポップスシーンの礎を築いた立役者の一人であるドラマー、プロデューサーの「林立夫」氏が主催する音楽イベント。
このイベントは、画一的で無難なものにまとまりがちな現在のメジャーな音楽にはない、音楽本来が持っている豊かさがより多くの人達に伝わることを求める林氏が、その可能性を北海道で活動するミュージシャン達に見いだしてスタートした。
今年は8月25日、昨年と同様、札幌市中央区の「大倉山 札幌ウィンタースポーツミュージアム」で行われた。「中央区」といってもスキージャンプ競技場にある施設なので、当然、山の中。交通は多少不便だが、その分、札幌の市街が一望できるロケーションは最高である。
イベントは、昼間に行われるオープンステージと、夕暮れから室内に場所を移動してのメインステージの2部構成。
オープンステージは、飲み物や軽食の出店も登場し、ジャンプ台を観に来た人達も自由に楽しめる野外ステージに4組が出演。和気あいあいとしたガーデンパーティーのように、生演奏を楽しみながら飲み物を片手にステージ周辺をウロウロしていると、裏方の手伝いにも、出演しているミュージシャンの中にも知ってる顔がたくさんいる。どうやら話を聞きつけた北海道の音楽好きが、回を重ねるごとにどんどん集まってきているようだ。場所を変えるたびに知り合いに出くわして挨拶。お互いに別な知り合いを紹介しあったりと、新しい交流が生れるのも参加者の楽しみのひとつ。
メインステージでは、札幌ウィンタースポーツミュージアム内の大きな窓の向うに広がる、明かりが灯り始める札幌の景色をバックに、「こうたろう」、「F.H.C」、「キッコリーズ」の3組が登場。時間が経つにつれ表情を変えていく札幌の街並みが、セットも何もないシンプルなステージに、このイベントの趣旨にふさわしい演出効果を与えている。
ギター1本の弾き語りながら、巧みな演奏でメリハリの効いた表現力を持つ「こうたろう」。前衛的な演奏でヨーロッパの音楽誌でも評価の高い「F.H.C」の演奏は、普段テレビやラジオでは、なかなか耳にできない。「キッコリーズ」のノコギリを使った音色には会場がどよめき、歌声は涙が溢れるほど感動的だった。
どれもこれも演奏力が高いというだけでなく、確固たる個性を持った音楽だ。こうした豊かな音楽が自分の住む土地で育まれていることを嬉しく思うと同時に、普段同じ土地にいながら一般の人達がその音楽に触れることがあまりにも少ない事を改めて痛感。
メディアで大々的に売り出される商品だけを聴いて「最近の音楽はつまらない」などと嘆いている人達は、ぜひこうしたイベントに足を運んでみましょう。音楽がつまらなくなったワケではないのです。その気になれば、札幌をはじめ北海道のアチコチで、こんなにも多様で個性的な質の高い音楽を奏でる人達が活動している場所が沢山あります。すこしだけ積極的になれば、自分の楽しみがどんどん増えますよ。
さて、メインステージで今回選出された3組が演奏を終えた後は、「林立夫 with Frends」と題して、林氏のドラムと息子の一樹氏のパーカッションを含めたスペシャルライブ。
ゲストに林氏と交流の深い「ハミングキッチン」の二人を迎えての演奏の後は、どんどんメンバーが追加されていく(笑)。前回、出演した2組、ギターユニット「池庄」とボーカリスト「mama」のジョイントを経て、スペシャルゲストとして俳優でもありミュージシャンの「佐野史郎」氏が登場。昨年の出演者もゲストも主催者も、立場を超えて、一緒になって演奏できるのが音楽の良さ。会場からの暖かい声援や手拍子も一つになって、音楽がもたらす豊かな気持ちを堪能できるイベントだった。
大々的な宣伝もなく、スポンサーの打ち出しすらない手作りイベント。でも、回を追うごとに出演者、スタッフ、観客という参加者それぞれが口コミで増えていく様子はとても幸福だ。楽しく有意義なものは時間がかかっても次第に広がっていく。腕前や才能を競い合うのでなく、お互いに認め合い、調和することで高めあうことができるのが音楽の素晴らしいところ。この時代、こうしたイベントの持つ意義はとても大切なものだと思った。 






 |
 |
■辻 正仁(つじ まさひと)
1966年生まれ。 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。 自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。 |



関連サイト

the tip connection Vol.3
http://ttc-music.com/2007/index.html






このページのTOPへ




|