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安倍改造内閣最初の懸案、テロ特措法延長問題に潜む「欺瞞」 後編


08月31日(金) 17時05分
文:東  写真:東 



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写真(2003年撮影)はイラクとヨルダンの国境にある難民キャンプ「ノーマンズランド」の子どもたち。戦争によって無政府状態となったイラク
 政府・与党の説明は不十分かつ稚拙。

 テロ特措法を根拠に、海上自衛隊の補給艦と護衛艦がインド洋に派遣され、各国海軍の艦艇に燃料を洋上補給している経緯と実績は前編で記した。

 2001年11月2日に施行したテロ特措法は時限立法であるため、これまで3度にわたって延長された経緯があり、今年11月1日に期限が切れる。参議院で第1党に転じた民主党は、すでに政府が提出する予定の同法改正案に反対する方針を明らかにしており、その成否は9月招集の臨時国会で最大の焦点となる。

 テロ特措法は、9・11米同時多発テロの勃発を受け、米英軍のテロ掃討を目的としたアフガニスタン攻撃を後方支援する目的で施行された。政府は同法の根拠として、同時多発テロの翌日、国連安保理が採択した決議1368(下記関連サイト参照)を挙げている。だが、この決議1368は同時多発テロに対する自衛権を認めただけであり、アフガニスタン攻撃を認めたものではない。

 一方で同時多発テロの衝撃度、手段を選ばぬテロリストの残忍さは未曾有のものであり、アフガニスタンを先制攻撃したアメリカは新たな人類的課題である「テロとの戦い」という正義をかざし、テロリズムの根絶を首肯する国際社会世界の賛同も得た。

 アフガン攻撃とイラク戦争の相違は複数あるが、最たるものはすべての主要先進国が支持し、米英に限らず、NATO(北大西洋条約機構)も協力していることである。海自の活動も国際社会から評価されており、少なくとも表立った批判をする国はない。

 とはいえ、テロ特措法の延長に関する政府・与党の説明は、「日米同盟の象徴」「日米関係にひびが入る」「国際社会で孤立する」など稚拙極まりないもので、その明確な根拠を示すには至っていない。こうした姿勢は、単なるアメリカ追従、ブッシュ大統領のご機嫌伺いと思われかねないもので、与党の数の論理に裏打ちされた欺瞞といえるものだった。

 各国海軍艦艇はインド洋上で監視活動を続け、不審船からの麻薬押収、携帯用対戦車ロケットの発見、アルカイダへの関与が疑われる乗組員の拘束などを行っている。それでも、海上阻止行動をによる武器などの押収はわずかに5トン超であり、テロリストが危険エリアを回避して行動していることは間違いない。

 こうした実情に加え、民主党の反対もあって、政府・与党の姿勢も変化してきた。だからこそ8月29日に発足した改造内閣で外相に起用された町村信孝氏や高村正彦防衛相は、テロ特措法に関する民主党との修正協議の可能性に言及したのだろう。

 テロ特措法については賛否が渦巻いているが、そもそも海自の活動情報が十分に開示されない限り、党利党略やイデオロギーに依拠した議論しか望めない。こうした政治状況でイラクに派遣された陸自隊員や厳しい訓練を続けて活動する隊員は気の毒というほかない。

 しかし、アフガン復興に支障が出る以上、海自がインド洋から手を引くことは避けるべきだ。引き揚げる場合は事前に各国と協議し、「日本は政治的な問題で撤退した」と言われないような時間が必要である。

 軍事行動(広義には後方支援も)や国際協力(貢献)をする際は、「国益」が引き合いに出されるが、国際協力は必ずしも国益とは合致せず、相反することも少なくない。そもそも各国が相互協力をしなければならない時代に狭義の国益は成り立ちにくく、各国共通の利益である“国際益”を考えるべきである。

 アフガニスタンにおける「テロとの戦い」もこうした“国際益”が存在してこそ成立したものである。

 だが、この“国際益”の真の受益者は、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどのアングロサクソンもしくはキリスト教信者が多数を占める国である。

 テロリストの多くは“イスラム原理主義者”とのレッテルを貼られているが、そもそも原理主義を表すファンダメンタリズムはキリスト教の言葉であり、アラブ世界に“イスラム原理主義者”の呼称はない。

 米軍はイラクで無辜の人々を数多く殺害した。家族や友人を殺されて憤慨したイラクの人々は武器を持って蜂起した。こうした人々をテロリスト呼ばわりしているのがアメリカだ。このような非道を理解することなく、「国益を損なう」とのあいまいな理由でアメリカに追従したのが日本である。

 世界の平和を求めるならば、アフガニスタンに医療や生活物資の支援を行うなど、独自の復興活動を提案・実行することこそ、日本のあるべき姿ではないか。







関連サイト

外務省 日本の国際テロ対策協力 安保理決議1368(訳文)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/terro/anpo_1368.html

前編
http://www.bnn-s.com/news/07/08/070829171912.html






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