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「石屋製菓」賞味期限改ざん 石水勲前社長が胸中を吐露 後編


 
「内部告発をされても問題のない会社にしておけばよかった」
“全国区”の人気を誇る「白い恋人」の賞味期限改ざんなど相次いで不祥事が発覚した石屋製菓
。同社は事件によって全商品の回収などを余儀なくされ、創業以来の窮地に陥った。
トップとして経営手腕を評価されてきた石水勲氏(63)も、社長を辞任するなど、事件の代償はあまりにも大きいものだった。以下、前編に続く、石水氏のインタビュー。
−−夏の繁忙期に「白い恋人」を「作りだめしておきます」という話は、社内の誰から出た話なのか。
石水 誰からというよりも、工場の中では7月に入ったら「白い恋人」を作りだめをするということが、わかっている話だった。8月に一挙に出るわけだから。
もっと言えば、12月に売るデコレーションケーキを8月に作っていた感じだ。ただデコレーションケーキと違ってうち(の白い恋人)は干菓子だし、チョコレートだから、18度くらいで温度設定をしていれば、1週間を過ぎたくらいが熟成しておいしくなる。
−−作りだめした「白い恋人」の賞味期限を出荷時に設定したことと、社長として賞味期限の改ざんを「知らなかった」という「白い恋人」の30周年限定品ではどのような点が異なるのか。
石水 (限定品の改ざんは)知らなかった。事件があって初めて知った。「そんなことあるのかよ」「それはやばいぞ」「改ざんはまずい」という思いだった。
限定品は賞味期限を4カ月と決めて、1回出荷している。
1度、(賞味期限を)4月30日と打ったら、帰ってきてもいいから返品にすればよかった。4月30日(の賞味期限を)5月30日にして、1カ月あれば十分に回るからということで延ばしていた。
−−改ざんを知ったときの心境は。
石水 私はそういうのが好きでないから絶対に許さんという気持ちだった。30周年のキャンペーンをやっていて、きっと返品したくなかったんだろう。
−−限定品はなぜ、改ざんすることになったのか。
石水 結局、「(限定品は)返品で帰ってくる商品ではない」「商品の性格上帰ってくるわけがない」という思いがあった。「4カ月も小売店に置いておくような回転の悪いお菓子ではない」というのがあって、戻ってきた時に日付(賞味期限の残り期間)があまりにもタイトなので1カ月伸ばしていた。1回、店頭に並んでいるなり、小売店さんの倉庫に積んであって返ってきたものを改ざんするのは良くない。
−−最終的に改ざんを決めたのは、当時の取締役統括部長だ。
石水 知らないとはいえ、責任は社長にある。(統括部長は)一緒に会社を大きくした人間。忙しくさせすぎたのも原因で、最高責任者である私の責任だ。
−−社長に改ざんを知られれば、まずいとの思いはあったはずだが…。
石水 そうだと思う。私は常々「御天道様の下を歩けないようなことをしては駄目だ」と新入社員にもみんなにも話していた。
ーー商工会議所の副会頭をはじめ、公職が多く、会社に顔を出す機会が少なかった。それも今回の問題の一因か。
石水 それもある。私はめちゃめちゃ忙しかった。(社員には)「わずらわしいことを耳に入れない方がいいんじゃないか」「俺たちの判断でやろう」ということがきっとあったと思う。彼らも日常的に忙しすぎた。
−−メーンバンクの北洋銀行が早い段階で石屋製菓に対する支援を決めた。
石水 記者会見を見たら放っておけんぞ、ということで高向(巌北洋銀行会長)さんから電話があった。2日目か3日目(8月16日)だと思うが、“陣中見舞い”に行きたいということだったので、「いいですよ」という話になって来ていただいた。高向さんが来られる前にもいろいろあって、こんなに(問題が)出てくるなら私一人の手には負えないと思った。
高向さんには「石水さん、違う社長を考えている」と聞かれたので、私は「石屋製菓のためなら社長の役職には一切未練はありません」と答えた。それで「即、手を打とう」ということになり、高向さんが来られた時、腹蔵なく話し合って、その場で決めた感じだ。
高向さんの「これだけ全国区になった会社をこの事件ひとつだけで潰してしまっていいのか」という言葉には大変勇気付けられた。高向さんのような人がいて、うれしかった。
私も60歳を過ぎた。全国で愛されているお菓子をずっと作り続けていること、いつまでもその感覚が受け入れられるのかなという思いがあり、(社長の)代わり時だとは思っていた。それでもまだ3年ぐらいは早いと思ったが、どんどん若い人にバトンタッチしてもいい頃だった。
−−石屋製菓の取締役を務めていた親族の中で、創さん一人が残った。これは島田俊平新社長の判断か。
石水 そうだし、私もそれを望んでいた。
同族会社は悪い会社で、(決済時に)判をたくさん押した会社がいいという論調は絶対おかしい。悪いところもたくさんあるが、いいところもたくさんある。稟議書がたくさん出たのはいい会社で、即断即決でぱっと決めるのは同族会社の悪いところだとか、同族が悪いとなれば、企業の95%が中小企業である日本の企業の多くが悪くなる。
ーー石屋製菓の株式は、親族で全株を保有しているのか。
石水 石水家(で100%)だ。私の代ではそうだったが、将来はわからない。息子の代で上場するかもしれないし、その時の社長の判断でいいと思う。
−−株を手放すことは考えているか。
石水 考えていない。
ーー事件の発端は内部告発(今年6月、石屋製菓に告発のメールが送信)だった。
石水 私は誰が内部告発をしたのか、わかっているが、追求する必要はない。内部告発をされても問題のない会社にしておけばよかった。内部告発されたときにコンプライアンス上、問題があったので、問題になっただけだ。内部告発した人間は、一遍に問題を出せばいいのに、小出しにするみたいな癖がある。
私は内部告発が悪いことだとは思っていないが、内部告発をする前の段階で、上司などに相談し、いくら言っても変わらないというならわかるが、そういうことは一切なかった。(内部告発者は)愉快犯的なところがあり、記者が来ると面白くて仕方がない。火事場の火付けマンみたいな感じがあった。
−−石水氏の社長報酬は相当高額だったようだ。
石水 自分のために使ったというものはない。コンサドーレの道に対する5億円の借入金は、私が個人保証をしており、何かあったら最後は道に払わなければならない。
−−報酬は年間2、3億円あったのか。
石水 そんなにない。1億円くらいだと思う。石屋製菓にはもちろん、会社の内部留保もあるが、私は会社の個人保証をしているから個人でも取っておかなければならない。自分の金であって自分の金ではない。
もし自分のために使うならベンツに乗ったり、車をどんどん取り替え、マンションを建てて賃貸収入を稼ぐ。しかし、そういうことは一切ない。小樽に置いてあるプレジャーボートも、会社で200万円の安い中古を買った。社員みんなが釣りや海水浴の時に使っている。
自分のために使ったのは、強いて言えば、いい釣竿を買っただけ。(一部で豪邸と報じられた自宅は)25年前に建てたもので社宅の扱い。毎月会社に家賃を払っているが、これまで家賃が下がったことはない。
−−今回の問題で長年続けてきた社長を退いた。悔いはないか。
石水 きれいにバトンタッチしかたったが、仕方がない。
ーーバトンタッチというのは、長男の創さんにか。
石水 そうだね。石水家のDNAは結構面白い。おやじ(創業者の石水幸安氏)も新しいものというか、ユニークなことが好きで、「白い恋人」を作る前も、ほかの会社では考えられないお菓子をたくさん作った。そういうのが石水家のDNAで家族企業のいいところだと思う。
コンサドーレ(に対する支援)だって、上場企業だったらハンコが何個も必要となり、タイミングを逸してできなかったと思う。それがやれたのは、同族企業だったり、上場していない会社のいいところ。「そんなものに金を使うなら株主配当を多くしろ」と言われれば、社会貢献もできない。
小さな会社が利益をつぎ込んでいったわけだから、やるだけやってきたという感じはする。ミートホープ何かと一緒にされると腹が立つ。
−−問題発覚後の記者会見でこれ以上問題は出ないと言ったが、次々と新たな問題が出てきた。
石水 それで私は自信がなくなった。「全部出せよ」と言って出させたつもりだった。それでも「まだあります」と言いだしたので、私は自信を持って再建することはできないと言って降りた経緯がある。「どんな細かいことでも出せよ」と言ったら「これもまずいかもしれませんね」ということだった。
これまでも自分のところで(商品の)検査はしてきたが、外注だった。社内に研究室をつくり、薬科の人を入れて、自分たちで検査をしようという矢先(に起きたこと)だった。自分のことをきちんとやるべきだった。自分の会社を自分で守らなければならないというのは、その通りだった。
危機管理に関してはある程度(意識が)あった。何かの加減でまるっきり売れなくなったら、売り上げがゼロでどれくらい持つんだというシミュレーションは何回かしている。「ありっこないんだけど」と言っていたら本当にあった。おやじの代を入れると、石屋製菓は60年くらいの歴史で、一度も事故のない会社だったが、今回ドンときた。今回の問題で社員は安全、安心の認識を新たにしたと思う。
ーーこれからどうされるのか。
石水 いまは毎日が日曜日みたいで、“サンデー毎日”だ。34歳で社長になって、こういう生活を送るのが夢ではあった。きっと仕事をしたくなるとは思うが、しばらくはゆっくりしたい。
夢は「宮の沢白い恋人サッカー場」を(イングランド・プレミアリーグの強豪)マンチェスター・ユナイテッドの(ホームスタジアム「オールド・トラフォード」)のように観客とピッチの距離が近い専用スタジアムにして、2万人が入れるようにすること。どういう形でできるかはわからないが、個人であってもやりたい。
[インタビューは、9月28日、石水氏の自宅で行った]







関連サイト

前編
http://www.bnn-s.com/news/07/10/071002171758.html

札幌市が「白い恋人」石屋製菓の立ち入り調査結果を発表
http://www.bnn-s.com/news/07/08/070816183503.html

石屋製菓
http://www.shiroikoibito.ishiya.co.jp/






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