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辻 正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」 <心が洗われる音楽>


 
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| 三人のアンサンブルはどこかノスタルジックで温もりを感じる |
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〜キッコリーズ ライブ〜
「Kiccorie’s(キッコリーズ)」という名のユニークなグループ知ってます?最近テレビなんかでも取り上げられているのでご存知の方も多いかと思うけれど、札幌を中心に活動している三人組です。
ボーカルのカポウをメインに、ギターの池田靖司、ギターとヴァイオリンを務める鈴木裕の三人からなるアコースティックトリオの彼ら。どこがユニークかというと、ボーカルのカポウが担当する楽器がまず興味をそそる。
“ノコギリ”を弾いてたりするんですよ。
以前に、「サキタハジメ」というアーティストを紹介したときにも触れたけれど、ノコギリ演奏というのはなかなかお目にかかれないけれども、世界大会が行われているほど、知ってる人には人気の楽器(?)です。
アメリカのキコリさんたちが使うノコギリの柄の部分を足で挟み、片手で先を掴み湾曲させて、刃のついたギザギザとは反対の淵を弦楽器のように弓で擦ったり、あるいはマリンバなどに使うマレットで叩いて音をだす。出てくる音はおよそ「木を切り倒す」勇ましいイメージとは違った、柔らかくて繊細な音色。ちょっと「テルミン」という楽器の音に似ている。といっても「テルミン」自体があまり知られてないか。え〜と、「胡弓」にも近いかな?でもそれよりも、もっと柔らかい音色です。
なかなか文字で説明するのは難しいけど、ぜひ一度生で演奏する姿を見て音色を聴いてみて欲しい。初めての方が多い会場だと、必ず最初に「うわぁ」とか「ほぉ」とかいうどよめきが起こり、その後うっとりと聴きいるという展開になる。
「日本のこぎり音楽協会北海道支部」の支部長も務めるカポウは、その他にも、百円ショップで購入した木製のスプーンや、鉄製の洗濯板などを使いこなしながら歌う。これが、池田の繊細で歌心あふれるアコースティックギターや、鈴木のブルースフレイバーがちりばめられたギター、牧歌的で懐深いヴァイオリンの音色とのアンサンブルによって、心和む、どこかノスタルジックで温もりを感じる音楽になる。僕の大好きなグループだ。
彼らのグループ名は以前から耳にしていたし、メンバーの中には、他の活動で顔見知りの方もいたが、僕がキッコリーズの音楽を初めて聴いたのは、今年の夏。ここでも記事で取り上げた「TTC」という音楽イベントのステージだった。聴いた瞬間、涙が溢れた。「自分が今感動している」ということ認識する前に泣いちゃってたのである。
前述のユニークな演奏も楽しいが、なによりボーカル、カポウの歌声にやられた。それは外部からは一番固く防御され警戒しているはずの、僕の心の最も素直で繊細な部分(例えごく僅かだったとしても、僕にもそういう部分はあるのだ)にスっと入り込んで、あっという間に扉を全開にしてしまった。そうされることの何と気持ちの良いことか!
少し話しがそれるが、僕の好きなイギリスのグループ「フェアグラウンド・アトラクション」という人達を知っているだろうか?音楽が次第にコンピューターを取り入れ、デジタル化されつつあった80年代に、アコースティックで路上演奏し、アルバム一枚を残すだけで解散しながらも、後々定着して現在に至るまでの「アコースティックサウンド再認識」の動きに多大なる影響を与えたグループだ。そのグループのボーカリストは、現在もソロシンガーとして絶大なる支持を得ている、エディー・リーダーという女性。
カポウの歌を聴いた時、「この人は札幌のエディー・リーダーだ」と思いましたよ。ハイトーンだけどしなやかで伸びのある声、耳からではなくダイレクトに心に届く情感。音楽を愛してるというよりも、音楽に愛されてるかのように歌う人だ。
さて、そんな僕の大好きなキッコリーズが、最近では様々な場所で話題となっている。先月あたりからは、全道各地で次々にライブも行っている。
12月9日には、札幌市中央区の飲食店「ガンゲット・ダイマ」でワンマンライブがあり、僕も聴きに行ってきた。
特にライブの為の音響設備があるわけでもない店だが、まるでヨーロッパの古い街にでもありそうな、味のある佇まいの店。キッコリーズの音を堪能するには申し分のない舞台である。ここに、軽くマイクを準備しただけの、ほとんど生音と行ってもいい状態でタップリ 2時間、彼らの演奏を味わえた。
歌謡曲から、スタンダードポップス、アニメの主題歌、そして勿論オリジナル曲まで、ジャンルを問わずに選ばれた「素敵な曲」の数々を、完全に自分たちのスタイルに消化して演奏する彼ら。歌の最も大切な魅力だけを純粋培養したような響きである。
楽しく軽快な曲では思わず体が揺れるし、ノコギリの演奏はやっぱり何度きいても感嘆のため息が漏れるし、切ない想いを歌うカポウの歌声には目頭が熱くなる。そして、どの曲からも温かさが伝わる。どんな歌を聴いても、最後に拍手する時には気がつけば、微笑みながら手を叩いているのだ。聴き手の心のどこかが喜んでいるのです。
キッコリーズのライブは年内この後も、道内あちこちで行われる。詳しくはHPのスケジュールをご参照あれ。このご時世、年の瀬に疲れた心を和ませてくれる音楽です。
札幌では、 12月23日午後4時からJR札幌駅地下の「PASEO水の広場」にて、入場自由の無料ライブもあるので、まずは気軽にちょっと覗いてみてはいかがだろう?そこで気に入った方は、その後12月28日、29日はそれぞれ市内ライブハウスで、そして、31日にはカウントダウンライブも予定されているので、そちらに足を運んで、じっくり聴いてみるのもいいだろう。
個人的な話になりますが、最近キッコリーズは僕の作った曲を時おりライブで取り上げてくれてます。自分が大好きなグループが自分の曲を演奏してくれるなんて、夢のよう。自分の曲を聴いて、初めて感動しました(笑)。 






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■辻 正仁(つじ まさひと)
1966年生まれ。 FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。 自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。 |



関連サイト

kiccorie’s web
http://sound.jp/kiccories/






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