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「札幌シネマ通(ツウ)」 <ラジオを愛する人にはたまらない>


12月13日(木) 12時10分
文:辻 



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12月15日より、道内5劇場で公開
 12月15日公開、「Littele DJ 小さな恋の物語」。

 僕は子供の頃からラジオを聞くのが好きだった。一番聞いたのはやはり中高生の頃で、「オールナイトニッポン」などの深夜放送では家族を起さないように声を殺して夜中に笑いころげ、 FMの音楽番組でいち早く紹介される音楽情報に耳を凝らし、常にカセットテープを録音スタンバイして、いろんなアーティストの音楽を詰め込んだ。

 それより以前、小学生の頃もリクエスト番組やベステン番組を聴きあさり、最新曲や名曲の数々を知り、 DJの軽妙なトークと音楽にまつわる豊富なウンチクを楽しんだものだ。

 僕の少年時代は、ラジオこそが音楽の情報源であり、DJこそが教師だった。ちなみに、最近「DJ」というと、クラブやなんかでスクラッチしながら曲をかける人を連想するし、ラジオで喋る人は「パーソナリティ」という呼び名のほうが通りがいいかもしれないが、そもそも「DJ」というのは「ディスク(レコードの盤のこと)の音楽にジョッキー(競馬などの騎手)のように乗って、語る人」という意味だと聞いたことがある。僕がラジオに夢中だった時代は、沢山の優れたDJがラジオに君臨していた時代でもあった。「いつか自分もラジオDJというものをやってみたい」というのが少年時代の僕の夢の一つでもあった。

 今回紹介する映画「Littele DJ 小さな恋の物語」は、まさにその時代、 1977年の函館を舞台にした作品。

 主人公の少年は、昼間は野球に興じ、家に帰ってからはラジオの野球中継を聞きながら実況アナウンサーの喋りを真似たり、布団に潜ってこっそり聞く深夜の音楽番組に夢中。あの時代に少年時代を過ごしたものなら、だれでも身に覚えのある、あるいは身近にそんな友達がいたであろうという男の子だ。

 その男の子が、ある日、思い病気であることが分かり、入院生活を送ることに。そして、音楽好きな医院長の協力のもと、療養生活の退屈さと重苦しさを克服するために、院内放送で憧れのDJ番組を開始する。

 番組を通して、少年は病院内の様々な人達と出会う。彼らの為に曲を選び、メッセージを届ける、まさに「音楽に乗って語る人」DJになってゆく。少年の番組を聞いて、かたくなだった心を溶かす人、少年に自分の後悔を打ち明ける人…そして恋。

 同じ入院患者だった少女に恋をした少年は、病気と闘いながら、恋する喜びや切なさを噛みしめる。そして、自分が生きている内に、少女に自分の大切な想いを伝えようと勇気を振り絞るが…。

 ラジオという、なぜか聞くものに個人的な親密感を感じさせる媒体を中心に、親子、大人と子供、それに少年と少女の心の繋がりと「伝える」ことをテーマとしたこの映画、そこにさらに「生と死」という問題まで横たわっているにも拘らず、大仰な感動大作にせず、サラリとした肌触りで描いているのがいい。まるで、ラジオ番組を聴いている時のように、親密で優しい空気が流れている。

 主役の少年を演じる神木隆之介、少女役の福田麻由子の演技も、大げさな抑揚のない、自然体。いわば「静の演技」というのだろうか?それが余計にジンワリと爽やかな情感を伝えてくれる。いや、最近の子供って、ホント芝居が上手です。

 脇を固めるのは、原田芳郎らベテラン勢。少年の憧れるDJ役で登場するのが小林克也というのが、全編に流れる当時のヒット曲の数々と共に、我々の世代には嬉しくもあり、またリアルである。

 そういえば僕は今、コミュニティFMで番組を担当している。おかげさまで与えられた 1時間を自由に使わせてもらって、自分が良いと思う曲を自ら選んで紹介し、リスナーの方からはメールによってリアルタイムでメッセージを送ってもらって、少年時代の夢の一つを楽しく実現させてもらっている。

 でも正直なところ、申し訳ないけど2年以上続けていると、いつの間にか当初の嬉しさを忘れ、ついルーティンワークみたいな気分でスタジオに入ってしまう日もある。

 個人的にはこの映画を観て、そんな自分を反省しましたよ。子供の頃憧れだったラジオ番組がどんな存在だったのか、自分がどんな気持ちで聞いていたのかを思い出させてくれた。続けていける限りはいつまでも自分がウキウキしながら番組を作っていきたいなと、改めて感じた次第。

 もう一つ、この映画を観て思い出すのは、少年と少女の素敵な恋を描いた作品「小さな恋のメロディ」。いつまでもこんな気持ちで恋をしていたいと思ったけど、さすがにムリか?

 でも、この「Littele DJ」での少年と少女のデートの場面で、函館山の展望台で雨宿りするシーンは、あの普及の名作へのオマージュだと思うんだけど、どうだろう?

 70年代にラジオに夢中だった人、切ない恋をしていた少年少女にはぜひ観ていただきたい。

 12月15日より、「スガイシネプレックス札幌」、「函館シネマアイリス」、「シネプレックス旭川」、「ディノスシネマズ苫小牧」、「CINEとかちプリンス劇場」で公開です。







■辻 正仁(つじ まさひと)

1966年生まれ。
FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。
自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。



関連サイト

Littele DJ 小さな恋の物語
http://www.little-dj.com/






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